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債務整理にかかる費用はどのくらい?弁護士・手続きの費用相場
この記事で分かること
- 債務整理にかかる費用は裁判所と弁護士にそれぞれ支払う費用がある
- 債務整理のための弁護士費用は弁護士事務所によって違う
- 債務整理の費用が払えない場合でも、分割払い、後払い、あるいは法テラスの利用などの方法がある
借金の返済が苦しくなって債務整理を考える場合には、手続きのための費用がどのくらいになるのかが心配でしょう。しかし、手持ちのお金がほとんどなくても債務整理をすることはできます。今回は、債務整理にかかる費用の相場、債務整理費用の弁護士事務所ごとの比較、および債務整理の費用が払えない場合はどうしたらいいかをご紹介します。
債務整理にかかる費用の相場
それでは最初に、債務整理でかかる費用の相場がどれくらいなのかを見ていきましょう。債務整理にかかる費用は、裁判所に支払う費用と弁護士に支払う費用との2種類があります。
債務整理でかかる費用の種類
債務整理の方法には、貸金業者や金融機関などの債権者と弁護士が直接話し合うことによって手続きを進める「任意整理」と、裁判所で手続きを進める「個人再生」「自己破産」の3つがあります。
3つの方法のいずれも弁護士費用がかかりますが、個人再生、自己破産の場合には、その他に裁判所に対して納める費用があります。
裁判所に納める費用の内容は、予納金、収入印紙代および郵便切手代などです。また、弁護士に支払う費用は、着手金と報酬金です。
裁判所に支払う費用
個人再生と自己破産の手続きで裁判所に支払う費用は次のようになります。
個人再生
予納金 | 1万2,268円(個人再生委員が選任されない場合) 31万2,268円(個人再生委員が選任される場合) |
---|---|
収入印紙代 | 1万円 |
郵便切手代 | 1,600円程度 |
※個人再生を行う場合は中立な立場で手続きを進める「個人再生委員」が選ばれることがあります。
自己破産
予納金 | 1万584円~1万3,834円(同時廃止の場合) 50万円~(管財事件の場合) |
---|---|
収入印紙代 | 1,500円 |
郵便切手代 | 3,000円~1万5,000円(債権者の数で変わる) |
※自己破産の手続きには、財産がほとんどない場合の手続き方法である「同時廃止」と、一定の財産がある場合の手続き方法である「管財事件」の2つがあります。
弁護士に支払う費用の相場
任意整理、個人再生および自己破産のそれぞれで、弁護士に対して支払う費用の相場は次のようになります。
任意整理
着手金 | 債権者1社あたり2~5万円 |
---|---|
報酬金 | 減額できた金額の10% 過払い金の20% |
個人再生
着手金 | 30万円程度 |
---|---|
報酬金 | 減額できた金額の10%~20% |
自己破産
着手金 | 20万円~50万円 |
---|---|
報酬金 | 原則としてなし |
債務整理費用の弁護士事務所による比較
債務整理のために弁護士に支払う費用は、弁護士事務所によって異なります。ここでは、いくつかの弁護士事務所の比較を見ていきましょう。
A弁護士事務所の費用
任意整理 | 着手金 | ・過払い金の発生が見込まれる場合 …1万円 ・過払い金の発生が見込まれない場合 …4万円 (いずれも1社あたり) |
---|---|---|
報酬金 | ・債務額を減額または免除できた場合 (解決報酬)1万円 (減額報酬)減額・免除された額の10% ・過払い金が任意の交渉で返還された場合 (解決報酬)2万円 (減額報酬)減額・免除された額の10% (過払い報酬)回収できた額の20% ・過払い金が訴訟により返還された場合 (解決報酬)2万円 (減額報酬)減額・免除された額の10% (過払い報酬)回収できた額の25% |
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個人再生 | 着手金 | ・住宅ローン特例ありの場合 …48万円 ・住宅ローン特例なしの場合 …38万円 |
申立費用 | 3万円 | |
自己破産 | 着手金 | ・同時廃止の場合 …27万円 ・管財事件の場合 …38万円 |
申立費用 | 3万円 |
※「住宅ローン特例」とは、住宅ローンの返済を継続することによりマイホームを手放さずに個人再生の手続を行うことです。
B弁護士事務所の費用
任意整理 | 着手金 | 1社につき4万円 |
---|---|---|
報酬金 | ・債務額を減額または免除できた場合 (解決報酬)0円 (減額報酬)0円 (減額報酬)0円 ・過払い金が任意の交渉で返還された場合 (解決報酬)0円 (減額報酬)0円 (過払い報酬)回収できた額の20% ・過払い金が訴訟により返還された場合 (解決報酬)0円 (減額報酬)0円 (過払い報酬)回収できた額の25% |
|
個人再生 | 着手金 | ・住宅ローン特例ありの場合 …38万円 ・住宅ローン特例なしの場合 …28万円 |
申立費用 | 3万円 | |
自己破産 | 着手金 | ・同時廃止の場合 …20万円 ・管財事件の場合 …28万円 |
申立費用 | 2万5,000円 |
C弁護士事務所の費用
任意整理 | 着手金 | 1社につき4万円 |
---|---|---|
報酬金 | ・債務額を減額または免除できた場合 (解決報酬)0円 (減額報酬)減額・免除された額の10% ・過払い金が任意の交渉で返還された場合 (解決報酬)0円 (減額報酬)減額・免除された額の10% (過払い報酬)回収できた額の20% ・過払い金が訴訟により返還された場合 (解決報酬)0円 (減額報酬)減額・免除された額の10% (過払い報酬)回収できた額の20% |
|
個人再生 | 着手金 | 30万円 |
申立費用 | 3万円 | |
自己破産 | 着手金 | ・同時廃止の場合 …28万円 ・管財事件の場合 …40万円 |
申立費用 | 3万円 |
債務整理の費用が払えない場合はどうしたら?
債務整理をしなければならないケースでは、経済的に逼迫していて弁護士費用が支払えない場合も多いでしょう。
弁護士費用が支払えない場合には、弁護士費用の分割払いや後払いを弁護士事務所で相談してみることができます。また、状況によっては「法テラス」の利用を検討するのがおすすめです。
分割払いをする
弁護士事務所の分割払いを可能としている弁護士事務所はたくさんあります。債務整理をする前は経済的に苦境にあっても、債務整理を行えば借金の返済は大幅にラクになります。分割払いにすれば支払いができる人も多いのではないでしょうか。
後払いをする
弁護士費用の後払いを可能としている弁護士事務所もあります。債務整理が必要な人が経済的に大変なのは弁護士事務所もよくわかっています。債務整理が終わってすぐに支払いをするのではなく、支払える範囲で少しずつ支払えばいいように配慮している弁護士事務所も多数あります。
法テラスを利用する
債務整理の弁護士費用が支払えない場合には、「法テラス」を利用することも検討できます。「日本司法支援センター」が正式名称となる法テラスは、経済的に余裕がない人がトラブルにあった際に、無料で法律相談を行って弁護士費用の立替えをする業務を行います。
法テラスを利用することのメリット
法テラスを利用することのメリットは、次のようになります。
- 手持ちのお金がなくても弁護士費用を立替えてもらえる
- 弁護士費用が通常より大幅に安くなる
- 立替えを受けた費用を月額5,000円程度の分割払いで返済できる
法テラスを利用できる収入と資産の基準
法テラスを利用できるのは、収入および資産が一定の基準を満たさなければなりません。法テラスが利用可能となる収入および資産の基準は次のようになります。
家族の人数 | 手取り月収額の基準 | 家賃・住宅ローン 負担の際の加算限度額 |
---|---|---|
1人 | 18万2,000円以下 (20万200円以下) |
4万1,000円以下 (5万3000円以下) |
2人 | 25万1,000円以下 (27万6100円以下) |
5万3,000円以下 (6万8000円以下) |
3人 | 27万2,000円以下 (29万9200円以下) |
6万6,000円以下 (8万5000円以下) |
4人 | 29万9,000円以下 (32万8900円以下) |
7万1,000円以下 (9万2000円以下) |
※()内の金額は、東京や大阪などの大都市に住んでいる場合です。
家族の人数 | 資産合計額の基準 |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人 | 300万円以下 |
法テラスを利用しての債務整理の費用
法テラスを利用して債務整理を行なうと、その際の弁護士費用は次のようになります。
債権者数 | 実費 | 着手金 | |
---|---|---|---|
任意整理 | 1社 | 1万円 | 3万2,400円 |
2社 | 1万5,000円 | 4万8,600円 | |
3社 | 2万円 | 6万4,800円 | |
4社 | 2万円 | 8万6,400円 | |
5社 | 2万5,000円 | 10万8,000円 | |
個人再生 | 1~10社 | 2万3,000円 | 16万2,000円 |
自己破産 | 1~10社 | 2万3,000円 | 12万9,600円 |
※過払い金がある場合には、上の金額以外に報酬金がかかります。
法テラスを利用するための流れ
法テラスを利用する際の流れは、次のようになります。
- 無料法律相談をする
- 収入を証明する書類などを提出した上で審査を受ける
- 援助の開始が決定され、弁護士費用の立替えを受ける
- 立替えを受けた費用の分割での支払いを開始する
- 事件が終了する
債務整理の費用については弁護士に相談しよう
債務整理をするにあたって多くの人が心配なのは「弁護士費用」など、費用面のことでしょう。
しかし、以上で見てきた通り、弁護士費用を支払える見込みが当面ない人であっても、支払いが可能となる方法を弁護士は考えてくれます。
まずは、債務整理に強い弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
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