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土地や家、不動産を相続したら?~必要な手続きを知っておこう!~
この記事で分かること
- 不動産等を相続した際の相続登記に期限はありません。
- 相続登記をしないと後に税金で損をしたり、不動産を売却できないなど様々な問題が生じます。
- 登記をしていない期間が長ければ長いほど相続人は増えて複雑化します。
不動産を相続したとき、登記をせずに放置しておくと様々なデメリットが発生します。不動産の名義を変更する相続登記は、書類を集めたり、書類を作成したりするのに時間がかかり、日常の生活を送りながらでは困難な場合があります。自分で手続きを進めることも可能ですが、専門家に依頼して短期間で済ませた方が合理的です。
相続した土地や家の不動産は登記する
被相続人が亡くなって、現金だけなく、土地や家などを相続することがあります。もし、不動産を相続することになったら、どうしたらいいのか分からず、不安に思う人多くいるでしょう。不動産を相続したときの流れについてご紹介します。
相続登記とは
「相続登記」とは相続が発生して、被相続人にあたる亡くなった方が所有していたマンションや土地、家などの不動産の名義を、相続人に変更する手続を言います。これは、不動産を相続したら、だれもが行わないといけない手続きになります。不動産の情報はすべて法務局に登録されているため、不動産の所有者が変われば、当然、変更した情報を登録しないといけないのです。
相続登記には、所有者が亡くなってからいつまでという期限はありませんし、必ずしないといけないものでもありません。しかし、相続登記をしないで放置しておくとさまざまな不都合が生じます。
たとえば、遺産分割協議で不動産を売却して現金を分けることができないため、相続税を滞納することで多額の延滞金を払うはめになることもあります。
相続登記のパターンは3通り
相続登記のパターンは次の3通りあります。
遺言書の通りに登記する
遺言書があれば遺産分割協議をしなくても、原則、その通りに相続登記できます。ただし、相続人全員が同意すればその限りではありません。
遺産分割協議で決めて登記する
相続人全員で話し合って、だれが不動産を相続するかを決め、遺産分割協議書を作成して相続登記する方法です。相続人が1人の場合は、遺産分割協議書は不要です。
法定相続分を登記する
法定相続分であれば、他の相続人との同意なしに相続登記ができます。しかし、勝手に登記してしまうと後で売却したいと思ったときに、不動産の共有者全員の同意が必要になるため問題になってきます。
家や土地の不動産相続登記までの流れ
不動産を相続することが決まったからといって、いきなり法務局に行っても申請できません。相続登記をするまでの流れについて説明します。
不動産の所有者を決める
不動産の名義を変更するためには、まず、誰が不動産の所有者になるか決めなくてはいけません。それについては、遺産分割協議で話し合うことになります。必ず相続人全員が話し合う必要がありますが、必ずしも対面でなくてはいけないわけではなく、メールや電話でもかまいません。また、相続人一人が協議書を作成し、それを見て、他の相続人が了承すればよいのです。
遺産分割協議書を作成
遺産分割協議が成立すれば、次は遺産分割協議書を作成する番です。協議書には必ず相続人全員で話し合ったことと、不動産についての情報をきちんと明記しなければ無効になります。そして、全員が署名、捺印します。
相続登記申請書を作成
相続登記は、司法書士に依頼することもできますが、自分で行うこともできます。自分で申請する場合は、法務局に不動産の名義変更を申請するA4用紙1枚程度の相続登記申請書を作成する必要があります。登記申請書は、法務局のホームページからダウンロードできます。
相続登記に必要な書類を整理する
不動産の名義変更をするために必要な書類は以下の通りです。
- 登記簿謄本(法務局で取得できます。不動産の基本情報が必要です。)
- 被相続人の本籍記載の住民票の除票(住民票から外されたもの)
- 被相続人の戸籍謄本(亡くなった方の出生から死亡するまでの改製原戸籍謄本、除籍謄本一式)
※被相続人の最終本籍地の市区町村の役場で取得し、出生まで遡ります。 - 不動産を相続する相続人の住民票
- 不動産の固定資産税評価証明書
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書(遺言書通り、法定相続分通りに相続登記する場合、相続人が一人の場合は不要)
- 遺産分割協議書(遺言書通りに相続登記する場合は不要)
被相続人の戸籍謄本が必要なので、もし、被相続人が遠く離れていた場所に住んでいたりすると大変になります。また遺産分割協議書は、一人でも相続人の押印が遺産分割協議書に欠けていれば無効となるので注意が必要です。
不動産の相続登記申請方法
相続登記に必要書類を揃えたら、次は名義変更をする不動産を管轄する法務局に相続登録申請を行います。申請方法は、窓口・オンライン・郵送の3つのパターンがあるので、やりやすい方法で行うといいでしょう。いずれの場合も必要な書類は共通しています。
相続登記申請の費用
相続登記の申請の際は、集めた書類と作成した相続登記申請書を添付します。登記手続きをする場合にかかる費用は、登録免許税「固定資産税評価額×0.4%」です。郵便局で収入印紙を購入し、登記申請書に貼ることで納めます。固定資産税評価額は市区町村から送られる課税明細書に記載されているので、確認してみましょう。その他、登記事項証明書発行に600円、その他、戸籍謄本などの発行手数料や郵便代がかかりますが、数全円程度です。
親が亡くなった後は法要などもあり忙しい状況が続きます。自分で申請を行うより、司法書士などの専門家に任せたほうが、効率がよいでしょう。印鑑証明書以外は代理で書類を整えてくれます。
窓口申請
法務局の不動産登記係窓口に、書類一式を持参して出向き申請します。申請から約1週間から10日程度が登記完了予定日になるので、登記完了予定日に法務局に書類(登記識別情報通知書・登記完了証・相続登記申請に使用した原本・戸籍謄本等)を取りに行き手続きが完了します。登記簿を取り、間違いなく登録されているか確認しておきましょう。
オンライン
オンラインで申請することもできます。パソコンの設定や申請人の電子署名が必要です。
詳しい申請方法は法務局のホームページで確認できます。
郵送
準備した書類一式を法務局に郵送して申請します。登記完了予定日を法務局のホームページで確認して、窓口に完了書類を受け取りにいきましょう。返信用の封筒と切手を送れば、完了書類を郵送で受け取れます。
土地や家の不動産を相続登記しないとどうなるか
不動産を所有する名義を変更しないと、たとえ相続したとしても売却したり、貸したり、担保に入れてお金を借りたり(抵当権を設定)することができません。したがって不動産を相続した相続人の権利が保全されないのです。相続人同士で長男が不動産を相続すると決めたとしても、相続登記をしなければ正式な所有者とはなりません。さらに法的に保護を受けられため、不利益を被る恐れがあります。
相続登記をしない場合のリスク
土地や家を相続することになった場合、忙しかったりすると、その手続きが非常に面倒ですし、つい放置したくなるでしょう。しかし、相続登記しないとリスクが生じます。考えられるリスクは以下のようなものがあります。
法定相続分で登記するリスク
法定相続分で登記をするのであれば、遺産分割協議書がなくても、他の相続人が同意しなかったとしても、一人で勝手に登記できてしまいます。相続登記をしないで放っておいて、後で相続登記しようとしたら、すでに相続人の誰かに法定相続分で登記されていたということもあります。
相続人が増えてしまって複雑に
相続登記せずに放置していたら、年月が経つうちに、ほかにも相続人がいることが判明することがあります。遺産分割協議書を作成し相続登記するためには、相続人全員の同意と実印が必要ですが、見知らぬ相続人と連絡をとり、実印を得るのは困難になります。このように、時間が経過したことで、新たな相続人が出てきたり、最初は不動産はいらないと言っていた相続人が途中で、やっぱり不動産が欲しいと言い出したりといったこともがあるのです。
相続人が亡くなりその子供の代に影響
相続人が亡くなりその子供の代に影響
相続登記をしないうちに、相続人が亡くなれば、不動産の相続の権利は子供の代に移ります。そうなれば、相続人がさらに増えていくことになり、、頭を抱えてしまうことになりかねません。
代位登記されるリスク
多額の債務を抱えていたり、税金を滞納していたりすると、まだ相続登記されていない不動産の持ち分を代位登記され、強制競売にかけられる可能性があります。代位登記には、相続人全員の同意は必要ないのです。
土地や家の不動産を相続したら、専門家に相談!
不動産を相続することになったら、専門的な法律の知識を有してないのに、自分で何とかしようとしても時間的にも、難しいことがあります。仕事などの日常の生活は動いているので、その合間を縫うように書類を整えるのは、大変なことです。めんどうな手続きは弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談して、間違いがないように進めていくとよいでしょう。
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