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債権回収における内容証明郵便の効力と使い方
この記事で分かること
- 請求書は内容証明郵便で送ろう
- 内容証明郵便には証拠能力と心理的圧力というメリットがある
- 内容証明郵便を送った後の動きは弁護士と相談しよう
債権回収で内容証明郵便を送るときは、この先法的手続きも視野に入れていることのメッセージになります。証拠としての能力だけでなく相手への心理的プレッシャーを与える手段としての内容証明郵便を上手に活用することで、債権回収に実行力を持たせられます。
目次[非表示]
債権回収における内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、郵便局のサービスのひとつで、ある郵便物の内容及びそれを送ったという事実を証明できます。書留だけでは配達の証明しかできないため請求書など法的な争いになりやすい文書は内容証明郵便での発送が一般的です。
もし、内容証明郵便で送らなければ相手から「送られていない」「そんな内容の郵便物は知らない」とシラを切られてしまう可能性があります。
内容証明郵便にはどのようなことを書けばいい?
内容証明郵便とはあくまで書類を送る手段ですから、債権回収において書くべき必要な情報を書けばそれで十分です。
主にこのような内容を書けば良いでしょう。書き方がわからないときはネット上からテンプレートをダウンロードすることも可能ですが案件によって書き方が多少異なる場合もあります。不安であれば一度弁護士や司法書士のチェックを受けることをお勧めします。
債権者と債務者の情報
誰が誰に請求するのかという最も基本的な情報です。氏名と住所、あとは債務を支払う振込先も書いておきましょう。
債務の内容と金額
なぜその債務が発生したのか、その債務の金額はいくらで、いつまでに支払う契約であったのかを明確に書きます。もちろん、債務不履行の事実も書く必要があります。期限の定めがない債務である場合は内容証明郵便で契約解除の旨を伝えることが可能です。
支払期日と遅延損害金
本来の支払期日は過ぎているので、債務の支払に関しては新しい期日を決めることが必要です。期限の定めない契約の場合もいつまでに支払うべきか伝えます。
債務不履行によって期日より遅延が発生している場合は年6%の遅延損害金が生じます。滞納の期間によっては無視できない金額となるので忘れずに計算しておきましょう。
法的措置の予告
内容証明郵便を送るということは、これからの法的争いの予告を意味します。気軽な話し合いで解決できるなら内容証明郵便など送らなくて良いからです。
法的措置の内容は具体的に書いても良いし、そうでなくても構いません。
実際に法的措置を行わなくても「〇月〇日までに回答がなければ〜〜」と書くことで相手の反応を得られます。和解で済むならその方が楽です。
内容証明郵便を使う際のポイントは?
内容証明で請求書を送る際のポイントをいくつか紹介します。
字数制限
内容証明郵便には字数制限があり、しかも縦書きと横書きでその制限が多少異なります。郵便局で指導を受けながら書くという方法もありますが、それは面倒だしプラバシー性の高い書面であることから弁護士や司法書士に作成代行を頼んだ方が良いと思われます。
法人の場合は代表名も書く
法人を相手に請求する場合は代表名を書きます。こちらが法人として請求する場合も同様です。代表とは代表取締役や代表社員のことを指します。
電子内容証明郵便とは?
電子内容証明郵便とはオンライン上で内容証明郵便を作成できるサービスです。形式のルールで迷うことが格段に少なくなります。事前登録が必要であるものの時間を気にせず提出できる点やアドレス帳登録ができる点は大きなメリットです。
債権回収の際に内容証明郵便を送るメリットは?
債権回収の際に内容証明郵便で請求書を送るメリットは大きく分けて証拠能力と心理的圧力の二つです。どちらも法的紛争を有利に進めるためには大切な要素です。
証拠能力
内容証明郵便は裁判における重要な証拠になることから用いられます。ただし、ここでいう証拠能力とは契約の存在や有効性という意味ではありません。
契約解除の証拠
ここで重要となるのは期限の定めがない契約です。期限の定めがある場合は契約書そのものが債務不履行の証拠となります。また、相手から債務を履行したという証拠を出される場合はあります。
訴訟の正当性についての証拠
訴訟がなぜ最後の手段と言われているのか。それは訴訟以外に問題解決できる手段があるケースまでいちいち受け入れることが業務の支障になるからです。日付や内容について公的に証明できる内容証明郵便は裁判の前に手を打ったが債務が履行されなかったという証拠になるわけです。
時効中断の証拠
内容証明郵便は、時効を中断させられる催告のひとつです。事項は1回だけ、6ヶ月間中断させることができます。口頭で催告すると証拠が残らないため認められづらいです。
心理的圧力
内容証明郵便という見慣れない書類はそれだけで相手に心理的なプレッシャーをかけることができます。
債権者の本気度を示す
内容証明郵便を出すことで試験車の本気度を示します。はぐらかすだけでは解決できないと感じた債務者は何らかの行動を見せるはずです。
法的紛争の始まりを示す
内容証明郵便は法的紛争の始まりによく用いられます。中にも法的紛争について言及された書類が入っているわけですからこのまま債務を知らぬ存ぜぬでやり過ごせないと考えるでしょう。逆に、債務者が自信を持っている場合は望むところだと交渉や訴訟を受けて立つでしょう。
相手が債務履行してくれることが目的
内容証明郵便一枚でもこの後の流れを債務者に想像させる効果があります。しかし、目的はあくまで債務履行です。過度に相手を怖らがらせるような内容にする必要はありません。事実と今後の予定のみ淡々と書き記しましょう。
内容証明郵便を送った後の債権回収については弁護士と相談を
内容証明郵便だけで解決するのは良心的かつ資金に余裕のある債務者です。そうでない債務者を相手にする場合は内容証明郵便を送った後の対応を迅速に行う必要があります。
こちらでは内容証明郵便を送った後の流れを簡単に紹介します。
示談
示談とは任意の話し合いです。訴訟を恐れている債務者が内容証明郵便に応じた場合はまず示談で解決するでしょう。示談の結果は示談書に認められます。裁判所に持ち込んで債務名義にすることも可能です。
調停
裁判所での話し合いである調停も債権回収の手段です。示談と異なり調停委員が間に立って話し合いを進めることができます。調停の結果として作成された調停調書も債務名義としての効果を持ちます。
調停は相手が出席しなくても進められますが、相手が合意しない調停調書は認められません。
訴訟
訴訟の場合は相手が出席しなくても進めることができ、欠席裁判の場合は勝訴しやすくなります。時間とお金がかかるため訴訟の選択は慎重に行いましょう。債権回収には法的な正しさ以上に難しい問題があるのです。
強制執行
決着がついてもお金が支払われない場合は、債務者の財産を差し押さえるしかありません。これを強制執行と言います。ただし強制執行は財産を指定して差し押さえる手続きであるため事前に財産の調査をしておくことが推奨されます。
担保権の執行
担保権を持っている場合は担保権に基づく差し押さえが可能です。
内容証明郵便も弁護士の名前で書いてもらうと実行力が上がる。
内容証明郵便は法的手続きをする上で基本となる書類です。裁判をするなら間違いなく送付が必要となるので正しく作成してください。
内容証明郵便を書く手間を減らしたいなら弁護士へ相談しましょう。弁護士は内容証明郵便の作成代行が可能ですし、弁護士の名前で内容証明郵便を出すことで債務者への更なるプレッシャーが期待できますよ。
- 状況にあわせた適切な回収方法を実行できる
- 債務者に<回収する意思>がハッキリ伝わる
- スピーディーな債権回収が期待できる
- 当事者交渉に比べ、精神的負担を低減できる
- 法的見地から冷静な交渉が可能
- あきらめていた債権が回収できる可能性も