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社員が有給休暇を取得したので給料をカット!? 会社の対応は間違ってる?
この記事で分かること
- 計算方法や発生条件など有給休暇について詳しく解説。
- 有給休暇は法律で定められた労働者の権利。
- 有給取得を認めない・給料カット・減給は労働基準法違反になるので注意。
- 業務に支障が出る場合は時季変更で対応する。
社員が有給休暇を取得したことで給料をカットした場合、会社は労働基準法違反を問われることになります。有給休暇は労働者の権利であり、一定の条件を満たせばフルタイム社員だけでなく、パート・アルバイト社員も取得することができます。どうしても業務に支障が出る場合、社員と話し合い、有給休暇の時季を調整できるかお願いしましょう。
目次[非表示]
給料がカットされない有休休暇について詳しく解説
有給休暇とは、労働者との契約で労働の義務のある日について、その労働を免除する制度です。簡単に言えば、労働者が給料の額を減らされることなく仕事を休むことができる制度です。
有給休暇は法律で定められた労働者の権利
労働者が働かなければならない日に休んだら、その分の賃金は支払われない、という「ノーワーク・ノーペイの原則」がありますが、有給休暇は所定の休日以外に休んでも、賃金が支払われる休暇です。法律上、当然に生じる権利であり、労働者の請求により生じるものではありません。
有給休暇の発生と有効期限
フルタイムで働く社員の場合、半年勤めた時点で10日の有休休暇が発生します。
有給休暇は1年ごとに新たに発生し、2年目以降は年度に合わせ社員へ一斉に付与している会社が多いようです。有給休暇は次年度に繰り越すことができますが、有給休暇には有効期限あるので、発生してから2年経過後には消滅してしまいます。
ちなみに「年次有給休暇」とはその年度内に発生した有給休暇で、繰り越した年次有給休暇を合算したものを有給休暇と呼び、ほぼ同じ意味で使われています。
有給休暇の日数について
有給休暇の日数は、勤続年数に伴って増えていきます。前述したとおり、入社した社員に最初の半年経過後に10日、1年半で11日の有給休暇が付与されます。勤続年数が長くても、1年間に付与される最大の有給日数は20日です。
有給休暇は2年で消滅しますので、一度に繰り越せる最大日数は40日になります。
勤続年数 | 6ヵ月 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
また有給休暇には有効期限があり、発生後2年で消滅します。
休んでも給与はもらえる、有給休暇はパート社員にも付与される
労働基準法では有給休暇について「年次有給休暇は労働者が取得することができる法律上の権利である」と定めています。この労働者には、パート社員やアルバイト社員も含まれますので、当然有給休暇を取得する権利があります。
有給休暇が発生する条件はフルタイム労働者と同じ
パートやアルバイト社員でも、有給休暇が発生する条件はフルタイム労働者と同じです。入社後半年で付与され、1年ごとに新たに発生し翌年に繰り越しできますが、最初に付与された有給は2年で消滅します。
パート社員の有給休暇日数は週間労働日数によって異なる
パートやアルバイト社員の場合、フルタイム労働者に比べ労働日数が少ないため、付与される有給休暇日数も少なくなります。また1日あたりの労働時間も短いため、有給休暇を使用し受け取ることができる金額も労働時間分になります。
なお週間労働日数が5日以上のパート・アルバイト社員の場合、フルタイム労働者と同じ日数が与えられます。
週間/ 労働日 |
6ヵ月 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
有給休暇が発生する条件はフルタイム社員と同じですが、日数は週間労働日により異なります。
有給休暇を取得した社員の給料をカット。会社の対応にどんな問題がある?
労働者は、要件を満たせば有給休暇を取得し、自由に利用できる権利があります。労働基準法では、有給休暇について主に以下のように定められています。
有給休暇についての原則
- 有給休暇は労働者が取得することができる法律上の権利である。
- 有給休暇は、労働者の請求する時季に与えなければならない。
- 有給休暇の期間については、賃金が支払われる。
- 有給休暇を取得したことに対し、会社は賃金減額等の不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
- 制裁規定によらない一方的な賃金カットは、賃金全額払いの原則に反する。
給料カット・減給は法律違反
会社は、社員に対し有給休暇を与えないことや、所定日数より少なく付与することは労働基準法違反です。さらに「金減額等の不利益な取扱いをしてはいけない」と規定されているため、有給休暇を取得した分の給料をカットすることはもちろん、減給することも許されていません。
労働基準法に違反した場合、刑罰を科されることも
会社は労働基準法に違反した場合、違反事項により懲役や罰金刑などに科される可能性があります。ただし、違反するとただちに刑罰に科されることはなく、まず労働基準監督署より違反状態を是正するための「是正勧告」が出されます。是正勧告は行政指導のため強制力はありませんが、違法状態はすみやかに是正しなければなりません。
労働基準監督署により是正勧告を受けたら直ちに是正をする必要があります。
有給休暇の日を変更してもらう時季変更で対応を
社員は有給休暇を取得する際、事前に会社へ申し出ることは必要ですが、会社は基本的に社員が希望した日に有給休暇を与えなくてはいけません。
ただし、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社は社員に対し有給休暇を他の日に変更してもらう権利があります。
有給休暇の時季変更権とは
労働基準法 第39条5項では、「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」としています。
つまり、会社は業務に支障が出る場合に限り、社員に他の日に調整してもらうことができます。
時季変更権は会社の業務に支障が出る場合に限る
会社には時季変更権がありますが、「業務に支障が出る場合」というのは単に会社が忙しいという理由では認められません。大勢の社員が同じ日に有給休暇を申請したり、その日に重要な業務があり代替要員を確保することが難しい、などといった場合に限ります。
また時季の変更はあくまで会社から社員へのお願いであり、強制であってはいけません。
有給休暇が労働者の権利と言っても、社員が忙しい時期に連続して休んだり、急に有給を申請してくることは会社にとって確かに業務に支障がでることでしょう。日頃から社内のコミュニケーションを良好にすることで、有給休暇についてのトラブルもある程度避けることができるのではないでしょうか。
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