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軽犯罪法違反とは?違反にあたる意外な行為と罰則まとめ

この記事で分かること

  • 軽犯罪法は軽い犯罪を取り締まるための法律
  • 意外な行為が軽犯罪法違反になる
  • 軽犯罪法違反では拘留または科料に処される
  • なるべく早く弁護士に相談することが重要

「軽犯罪法」とは、その名の通り軽い犯罪を取り締まるために定められた法律で、意外な行為で逮捕されてしまう可能性もあるといえます。軽犯罪法での逮捕であっても前科がつく可能性はありますので、刑事事件に強い弁護士にできるだけ早く相談することをおすすめします。弁護士の初回無料相談などを活用するというのも有効です。

軽犯罪法とは

軽犯罪法」とは、その名の通り軽い犯罪を取り締まるために定められた法律です。

基本的に犯罪は「刑法」で違反となる行為と対応する罰則規定が設けられています。しかし、刑法だけではすべての犯罪形態に対応することは困難なため、軽犯罪法やその他の法律などでも合わせて規定されています。

軽犯罪法では比較的軽微な犯罪行為を羅列し、これらの行為について一律の罰則を適用させています。意外な行為が軽犯罪法違反として逮捕される可能性もありますので、以下で説明する各種行為に該当しないよう配慮しなければなりません。

ワンポイントアドバイス
「軽犯罪法」とは、その名の通り軽い犯罪を取り締まるために定められた法律で、意外な行為が軽犯罪法違反になる可能性もあります。具体的な行為が軽犯罪法違反になるかについては弁護士に相談してみるのがベストでしょう。

軽犯罪法違反となる行為

軽犯罪法に定められているのは条文内にある全34号(21号については削除済)にあたる行為です。ここでは、取締件数の多いものや、日常生活において抵触してしまう可能性の高いものをピックアップして紹介していきます。

廃墟等に侵入する行為

軽犯罪法第1条第1号には、廃墟となり管理もされていない建物等に理由なく潜む者を処罰するとの規定があります。他人に出入りさせないような措置を何らとっておらず、自由に侵入ができる状態の建物等に限ります。肝試しなどで廃墟などに勝手に入ると、軽犯罪法違反で逮捕される可能性もあります。

出入りをさせないような措置を取っている、または人が住んでいるような建物等に入った場合には軽犯罪法違反とはならず刑法に抵触します。そのため、より重い住居侵入の罪として3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処される可能性が出てきます。

刃物の携帯

第2号では正当な理由のない刃物など危険な器具を隠し持つことを禁止しています。正当な理由は職業上携帯することが予想される場合など、さまざまな要因が考慮されます。

隠し持つことが禁止されていますので、他人から見える形で携帯すれば軽犯罪法違反とはなりませんが、刃物をぶら下げて歩くことで条例違反などを理由に取り締まられる可能性はあるでしょう。

ちなみに、刃の長さが6センチを超えるものについては軽犯罪法の枠を超え、銃刀法が適用され、これの携帯によって2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処されることとなります。

ドライバーの携帯

ドライバーを携帯しているだけで必ず取り締まられるわけではありませんが、これを隠すように携帯していると処罰されるかもしれません。

これは第3号に定められており、ドライバーだけでなく合鍵やガラス切りなど、他人の建物等に侵入する際に用いられるような器具を指しています。隠しているかどうかが重要なポイントで、隠していなければ罪にはなりません。

ただし、より特殊な開錠用具(ピッキング用具など)であれば軽犯罪法の枠を超え、「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」の規定により1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。

引火しやすい物の近くで焚火をする

第9号では、相当の注意もないまま建物や森林などの近くで火をたく行為が禁止されています。

さらに、実際に火災が起こってしまうと場合によっては刑法の放火罪として死刑または無期もしくは5年以上の懲役という非常に重たい処罰が下されることもあります。

電車待ちの列に割り込む

第13号において割り込み行為を禁止する規定があります。同号にはさらに公共の場所において多数の人に乱暴な言動で迷惑をかける行為についても定められています。

乱暴な言動の程度が強すぎると脅迫罪として2年以下の懲役または30万円以下の罰金、さらに相手に義務のない行為を行わせると強要罪として3年以下の懲役に処される可能性があります。

嘘の通報をする

第16号では、警察や消防などに対し嘘の犯罪や災害の事実を申し出る行為を禁止しています。警察に対し嘘で万引きが行われていたことを伝える行為、火事が起こっていると消防に伝える行為などが該当します。

この行為がいきすぎると業務妨害の罪として3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されるかもしれません。単なる嘘の通報だけでなく、冤罪により他人を処罰してもらおうと告訴した場合には虚偽告訴の罪として3月以上10年以下の懲役に処されることもあります。

更衣室を覗く

第23号で、他人の住居や風呂場、更衣室、便所などをひそかに覗き見る行為が禁止されています。同性や異性かを問わず取り締まられます。

また注意したいのは、こういった場所を覗く行為を禁止しているのであり、実際に見られたかどうかは関係なく処罰されます。覗くために他人の家等に侵入すると、やはり住居侵入の罪に問われることになります。

水路に障害物を置く

第25号では、溝など、水路の流通を妨げるような行為が禁止されており、いたずら感覚で障害物を置くなどすれば処罰されます。

上で説明した第9号火気の乱用と同様に、結果が発生してしまうとさらに重い罪として罰せられます。このケースにおいては水防妨害罪などが適用され、1年以上10年以下の懲役に処されるかもしれません。

道端に唾を吐く、立ちションをする

第26号では道端や公園といった公衆のいる場所での唾を吐く行為を禁止しています。同様にたんを吐く行為、立ち小便をすることも禁止されます。他人の物にかけた場合には器物損壊罪として3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料に課せられることがあります。

つきまとい行為

第28号で他人に不安や迷惑を感じさせるつきまといを禁止しています。進路に立ちふさがることも同様に禁止されます。また、これらの行為を繰り返し行うことでストーカー規制法に抵触し、悪質なケースでは2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処されます。

他人の田んぼに入る

正当な理由なく他人の田んぼに入る行為は第32号により禁止されています。この田畑等侵入による取り締まり件数は刃物の携帯や火気の乱用などに並んで多く、軽犯罪法が有効活用されている一例になります。

基本的に田畑は建造物の敷地と認められない限り住居侵入の罪にはなりませんが、侵入時に踏み荒らしてしまうと器物損壊罪にあたる可能性が出てきます。

ワンポイントアドバイス
軽犯罪法違反となる行為をいくつか紹介しました。意外な行為が軽犯罪法違反となる可能性がありますので注意が必要です。

軽犯罪法における罰則

軽犯罪法に違反すると「拘留」または「科料」に処されます。ただし比較的軽い罪ですので情状によっては刑を免除することができるとも定められています。

つまり上記の行為で逮捕されたとしても、行為に至るまでの背景や、なぜそのような行為をしてしまったのか、深い反省をしているか、どれほどの被害が出ているのか、などを判断材料とし、処罰をせずに済まされることもあるということです。

逆に情状によって免除どころか拘留と科料を併科させることも可能とされています。軽犯罪法の枠を超え、その他の法律に抵触するほどではないものの、悪質で反省もしていない、被害も大きいなどの事情があれば両方の罰を併せて与えることも合法とされるのです。

それでは、拘留および科料に処されるとどうなるのか説明していきます。

拘留

拘留とは身柄の拘束を受ける刑罰のことです。懲役刑についてはよく耳にするかと思いますが、共通点も多いといっても拘留と懲役は異なる刑罰です。

懲役と比べて、主に2点相違するポイントがあり、ひとつは期間の長さが挙げられます。拘留は短期に限られ、最短1日~最長29日が科されます。これに対し懲役刑は数か月から数十年という長期間で言い渡されます。

もうひとつ異なる特徴は、作業義務があるかどうかです。懲役ではその期間中作業を行わなければならず、刑務所内で仕事をするような形になります。一方で拘留では作業義務が科されずただ何もせず拘置されるだけにとどまります。この間、退屈だということで自ら願い出て作業に取り組むことも可能で、実際こうした請願を出す者も多いようです。

懲役刑が比較的重い罪を犯した者に対して科せられる罰であるのに対して、軽犯罪法違反は軽い罪ですので、こうした拘留という罰にとどめられています。しかしながら懲役の場合とは違って執行猶予が付されることが拘留にはありませんので注意が必要です。

科料

科料は罰金に類似した刑罰で、強制的に金銭を徴収される財産刑になります。罰金刑との違いは金額の差です。

科料では下限と上限が定められており、最低1000円~最高9999円となっています。それ以上、1万円からが罰金刑の領域と区別されています。また、罰金刑だと前科が残り、その後の再犯による執行猶予の可能性にも影響してきますので、そういう意味でも科料は軽い罰と言えるでしょう。

軽犯罪法違反では多くの場合、上の拘留ではなく、科料が科せられます。もちろん、具体的な犯行事情などが考慮されますが、何度も繰り返しているといった悪質なケースなどでなければ科料の言い渡しが一般的です。

しかし、この科料で設定された金を全額納めることができなければ労役場に留置され、労務に服することとなります。宣告された科料の金額に相当する労務をこなせば完納として扱われます。

軽犯罪法違反で逮捕される条件

軽犯罪法に違反した場合でも、処罰の可能性とは別に逮捕の可能性というものがあります。つまり、身柄を一時的に拘束されるかどうかということです。

逮捕されて警察などに身柄拘束されると自由に行動することができなくなり、自宅に帰ることもしばらくできなくなります。さらに逮捕された事情等を家族であっても伝えることができるとは限らず、外界との情報伝達も困難になってしまいます。

犯罪をした者はすべて逮捕され、牢屋に入れられるようなイメージを持っているかもしれませんが、実際にはすべての違反者に対して逮捕が行われ身柄が拘束されるわけでもないのです。人の本来持つ自由などの権利を侵害するにはそれ相応の理由が求められるためであり、法定の条件を満たす場合に限って逮捕は認められます。

そこで、どのような場合に逮捕されるのか、逮捕の種類別に説明していきます。軽犯罪法違反で関係してくるのは「現行犯逮捕」および「通常逮捕」と言えるでしょう。

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、逮捕本来のあるべき姿ではなく、例外的な逮捕という分類になります。基本的には不当な逮捕を起こさせないよう、逮捕状を発付するのが原則です。

しかし、こうした令状主義を絶対的に厳守していたのでは実務上不便で、かつ、目の前で行われている明らかな犯罪を止めることができません。そのため、犯罪者を見過ごすことがないよう現行犯逮捕というものが許され、警察以外、私人でもすることが認められています。

目の前で罪を行っている者などであれば現行犯人としてこれを捕まえることができますが、軽犯罪法違反のような軽微な罪の場合にはさらに特則が設けられており、条件が追加されています。

簡単に説明すると、目の前で軽犯罪法に抵触する行為が行われていたとしても、犯人の住居もしくは氏名が明らかでなければ逮捕ができないという規定です。ただし、犯人が逃走するおそれがあれば逮捕できます。

つまり、犯人としては逃走をする素振りを見せず、かつ名前や住所を伝えれば逮捕を免れる可能性が出てくるということです。これらの情報があれば即座の逮捕をしなくても、後日に逮捕をしようと思えばできるためです。

通常逮捕

通常逮捕では原則通り逮捕状を要します。警察は裁判官から逮捕状を発付してもらわなければならないため、犯行からしばらく期間が空いての逮捕ということになります。

ただし、軽犯罪法が適用される犯行に対してはやはり定まった住居を有していないか出頭の求めに応じない場合などに限られます。現行犯逮捕・通常逮捕のどちらにおいても、できるだけ身柄拘束をしないように条件が追加されています。

そして、同様の条件が「勾留」にも求められています。勾留とは前述の拘留とは異なり刑罰ではありません。刑事手続上必要に応じて被疑者・被告人を一定期間身柄拘束することを言います。

逮捕された場合、その後釈放とならなければ、およそ4日後以降はこの勾留期間に突入していくことになります。また、軽犯罪法においても時効制度が適用されますので1年を経過するともはや公訴はできず、処罰されることはありません。

他人をそそのかしたり手伝ったりした場合

罪を犯している者に加担しこれを手伝ったり、そもそも罪を犯すつもりのなかった者をそそのかすことによって実行させたりした場合でも処罰されます。前者の行為を幇助(ほうじょ)、後者を教唆(きょうさ)と呼びます。

原則は拘留や科料といった軽い罰則が適用される犯罪で幇助犯および教唆犯は処罰されません。しかし、軽犯罪法では同法においてわざわざ幇助犯・教唆犯を処罰すると規定がありますので、これらの者であっても実行者と同等に扱われます。

ただし、教唆者を教唆する行為までは罰することができないと解されていますので、たとえば、ある人物Aをそそのかすことを別の人物Bにそそのかした者は処罰されません。

ワンポイントアドバイス
軽犯罪法に違反した場合でも、逮捕される可能性があり、逮捕されて警察などに身柄拘束されると自由に行動することができなくなり、自宅に帰ることもしばらくできなくなります。

軽犯罪法違反で逮捕されたら弁護士に相談

ここまでで軽犯罪法違反となる行為や、逮捕される条件、そしてどのように処罰されるのかということを説明してきました。軽い罪ということで罰則も軽く設定されていますが、行為の程度によっては刑法に抵触しより重く罰せられることもあります。

そして、その境目が明確でないことも多いため、もしも軽犯罪法違反で捕まった場合などには弁護士を依頼するようにしましょう。できるだけ刑法違反ではなく、罰則が軽い軽犯罪法違反として処分してもらえるように働きかけてくれるでしょう。

刑事事件では対応のスピードがとても重要になりますので、軽犯罪法違反で逮捕された場合であっても、できる限り早く、刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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