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家族が逮捕されたら~まずは弁護士に相談!身内が取るべき対処法
この記事で分かること
- 刑事事件は逮捕から3日間が勝負であり、弁護士による早期の弁護活動が必須。
- 逮捕後は48時間以内は取り調べ&検察に送致。その後、24時間以内に勾留請求が決定する。逮捕から最大72時間以内に勾留か釈放かが決定する。
- 起訴されると99%以上が有罪となる。
- 家族にできることは、①警察に逮捕事実の確認をする、②弁護士に依頼する、③接見すること、である。
- 弁護士にできることは、①取り調べのアドバイス、②示談交渉を進める、③早期釈放のための弁護活動、である。
刑事事件は弁護士による弁護活動により、逮捕から3日以内に釈放を目指すべきです。逮捕後48時間以内に検察に送致、その後検察は24時間以内に勾留請求の可否を決定します。勾留の間に起訴・不起訴が決定し、起訴となれば有罪の可能性が極めて高いため、勾留前の釈放を目指すのが得策です。家族は、逮捕事実を確認して弁護士に相談しましょう。弁護士は、早期釈放のために必要な示談交渉、取り調べ時のアドバイスなどを進めます。
目次[非表示]
身内や家族が逮捕されたら、すぐに弁護士に相談を
警察から身内やご家族が逮捕されたとの連絡が入れば、誰でも動揺します。しかし、刑事事件の進展は早いため、最初にすべきことは弁護士に相談することです。その理由をお伝えします。
刑事事件は時間が勝負
ご家族が逮捕された場合、みなさんが動揺して逮捕されたご家族のことやこれからご自身の周囲に起きることが心配になります。家族がこのまま「犯罪者になってしまう」と不安に駆られてしまうのです。
しかし、ここで不安になり物事をストップさせてはいけません。難しいですが、逮捕されたご家族のためにも冷静さを取り戻す必要があります。というのも、刑事裁判は思っている以上にあっというまに進んでいってしまうからです。逮捕後、3日が勝負と言っても過言ではありません。
ご家族としては、まずは早期釈放を目指して弁護士をつけることを考えてあげてください。なんとかご家族だけで対処しようと思うと、無駄に時間が過ぎてしまい、釈放が遅れてしまいます。逮捕された家族をできるだけ早く家に返し、通常通りの生活を送るためにも、まずは弁護士に相談することが大切です。
被害者と連絡を取るのは危険
逮捕は突然訪れるものです。犯行現場を目撃されて現行犯逮捕となったなどのケースも考えられますが、薬物犯罪など隠密に行われている犯罪の場合は被疑者にバレないように捜査を進めていくものです。そのため、いきなり家族が逮捕されてしまい、訳がわからない状況に巻き込まれていきます。
警察から連絡があった後、被害者がいる事件の場合は、「身内で収めなければ」と考え、被害者と連絡を取ろうとする方がいます。しかし、これは間違った対応です。警察に聞いても通常は被害者の連絡先は教えてもらえません。というのも被害者に被害届を取り下げるように脅迫行為を行う可能性も否定できないからです。
仮に被害者や被害者のご家族の連絡先を知っていても、連絡するのは危険です。「加害者の家族から脅された」と言われると、逮捕されたご家族が不利になってしまうケースもあります。そのため、ご自身で被害者や共犯者とされる人には連絡はしないようにしてください。
このように、ご家族が専門家の力を借りず、勝手に動いてしまうとトラブルになってしまう可能性もあります。逮捕されたご家族のために最初にできることは、弁護士に相談することです。
「弁護士の探し方がわからない」と不安になるかもしれませんが、今はインターネットですぐに見つけられる時代です。ご自宅か連絡があった警察署の近くの刑事弁護を扱う弁護士事務所を選べば、対応も迅速です。
家族・身内が逮捕!逮捕後はどのように手続きが進む?
逮捕後はどのように刑事手続きが進んでいくのでしょうか? 次に、逮捕後の流れをご説明します。
- 警察による取り調べ(最大48時間)
- 検察への送検決定(24時間以内)
- 勾留請求(最大20日間)
- 起訴~刑事裁判へ
最大48時間の警察による取り調べ
逮捕後、どのような流れで進んでいくのかを理解しておきましょう。
逮捕が行われるとまず、被疑者に対し逮捕理由と弁護士を選ぶ権利があることを告知します。その後、警察署に連行し、取り調べが行われます。これを弁解録取と言いますが、犯行の動機や詳細、犯罪事実を認めるか否か、などの内容が聴取されます。
取り調べ後、検察に送検されるか24時間以内に決定
逮捕後に関しては厳格な時間制限に縛られます。具体的には、逮捕後48時間以内に捜査機関は検察に被疑者の身柄を送致しなければいけません。その後は、検察が24時間以内に勾留請求を行うかどうかを決定します。逮捕から勾留までは最大72時間を超えると法律に違反することになります。
身柄拘束が長期化するかは逮捕から3日で決まる
つまり、一番初期の段階では、逮捕から3日で釈放するかどうかが決定するということです。この間に容疑が晴れれば釈放ということになりますが、さらに取り調べが必要となれば、このまま釈放されず身体拘束が続く可能性もあるのです。
このように、捜査機関に身柄が拘束されているのは逮捕から48時間しかありません。一番早い釈放を目指すのであれば、この2日間の間に弁護活動を開始させることが大切です。
勾留請求されれば、延べ23日の身柄拘束の可能性
検察に被疑者の身柄が送致された後は、検察が同様に被疑者に対し事件について聴取を行い、勾留が必要かどうかを判断します。
勾留とは、留置施設等に被疑者を拘束し、家に帰らせないようにする措置です。被疑者が逃走したり、証拠隠滅を図ることを防止する目的があります。勾留期間中は、継続して警察や検察からの取り調べを受けることになります。実況見分や証拠物の確認なども求められるでしょう。
勾留期間は、原則として10日間ですが、必要性があれば更に10日延長することができます。逮捕時から計算すると、最大で23日間も拘束される可能性があるということです。そのため、被疑者やそのご家族としては、勾留を回避できるように弁護活動を行うべきです。
勾留が決定してしまうと、学校や会社に対し休む理由を打ち明けなければいけなくなります。そうすると、元の生活に戻ることに困難が伴う可能性もあるでしょう。できるだけ穏便に物事を終わらせたいと考えるのであれば、勾留請求前の釈放を目指すべきです。
起訴されたら、99%が有罪に
勾留請求がなければ釈放となりますが、勾留が始まるとこの期間内に検察は起訴を行うかどうかを決定します。
起訴とは、当該刑事事件について裁判所に刑事訴訟を起こすことを指します。起訴権限があるのは、検察官のみであり、これまでに収集した証拠や捜査結果などを踏まえて判断します。すべての証拠を総合的に考慮して、起訴するかどうかを決定するのです。
また、起訴前は被疑者であったのが、起訴が行われると被告人と呼び名が変わります。起訴後も勾留される可能性があり、この場合は原則1ヶ月ですが、起訴前の勾留とは異なりその後何度でも更新が可能となります。
起訴から裁判までは約1ヶ月程度です。裁判の期間は、事件の複雑さによっては変わります。単純な裁判であれば2週間程度で判決が下ることもありますが、重大犯罪で被告人が否認しているような場合は1年かかることもあります。
日本では、刑事裁判で起訴が行われると99%以上は有罪になると言われています。そのため、前科がつかないようにするためには、不起訴を勝ち取ることが重要です。
逮捕された家族に対して身内ができること
家族が逮捕されたら、身内としてはなんとかして力になりたいですよね。そこで、身内が逮捕されたご家族に対してできること3つをご説明します。
警察に事実確認を行う
まず、ご家族ができることとしては、どのような事実で逮捕されたのかなど、警察に対し事実確認を行うことです。警察から連絡があったら、以下のことを尋ねてメモを取るようにしてください。
- 逮捕日時
- 逮捕の理由
- 警察署の名前・場所
- 担当の刑事の名前
- 被害者の有無
- 現在の捜査の進展具合
特に逮捕日時と逮捕理由、どこの警察署かということを聞くのは大切です。先にご説明したように、逮捕時から厳格な時間制限に縛られていますので、これらを把握することが必要不可欠といえるためです。
以上から、まずは警察に逮捕に関する事実を確認することが大切です。非常に重要なことですので、ぜひご家族が協力してあげてください。
弁護士に依頼後、職場・学校に連絡する
事実確認が終わったら、弁護士を探して弁護士に相談しましょう。できるだけ早い段階で弁護士がつくことにより、逮捕されたご家族が不利な状況に追い込まれないようにすることがでいます。取り調べの状況を記録するための被疑者ノートを弁護士から差し入れてもらえるだけでも状況は異なります。
逮捕されたご家族も「家族が弁護士をつけてくれた」ことに気づくだけで安心できます。誰にも頼ることができない取り調べは想像以上に辛いものです。特に容疑を否認している場合は、追求もきびしくなることがあります。できるだけ早い段階で味方となる弁護士をつけてあげる事が、家族にできることといえるでしょう。
また、弁護士に依頼したら、職場や学校にも連絡を入れてください。無断欠勤や無断欠席となってしまうと、変に勘ぐられてしまうこともあります。病欠と嘘をつく方も多いですが、判断できない場合は弁護士にこの点も相談してみましょう。
勾留期間中に接見をする
勾留期間中の本人と会えるのは弁護士だけ!家族でも会えない
ご家族はできるだけ早い段階で逮捕された身内に会いたいと考えるでしょう。しかし、残念ながら勾留前までは家族との面会は制限されています。この期間に面会できるのは弁護士だけです。
このような場合でも、弁護士から逮捕されたご家族に対し伝言を伝えるなどは可能です。「励ましたい」など伝えたい事がある場合は、弁護士に相談してみてください。
また、勾留が決定した後は、接見禁止でなければご家族でも面会が可能です。取り調べで心身ともに疲れている事が予想できますので、可能である場合は弁護士に相談の上会いに行ってあげてください。家族と少し話すだけでも安心するはずです。
ご家族による面会は1日1回のみ、一回15-20分程度となっています。警察官の立ち合いがありますが、話ができる機会は限られていますのでぜひ活用してください。
これを防ぐために、報道されないように警察に意見書を提出する事ができます。センセーショナルな事件である場合、報道される可能性があるため、実名報道をしないように弁護士にお願いすることも1つの方法です。
逮捕された家族・身内に弁護士ができること
刑事事件について家族が弁護士に依頼したとしても、実際どのようなことを行ってもらえるのでしょうか? そこで、ここでは刑事事件で弁護士ができることをお伝えします。
取り調べや今後の見通しに関するアドバイスができる
被疑者として逮捕されてしまったら、捜査官から連日取り調べを受け、心身ともに疲弊します。この間、不利になることを話さないようにするのは大変難しいことです。
弁護士がいれば、取り調べに対するアドバイスができます。接見にて、被疑者ノートを渡し、取り調べの内容を記録するように指示します。その内容などから違法な取り調べがあれば、弁護士から不当・違法な捜査をやめるように抗議することも可能です。
また無罪の場合は、やってもいないことを認めてしまう可能性もあります。そのような事態にならないよう、弁護士から取り調べの対応などの助言を行い、早期に釈放されるように尽力します。
心配されているご家族に対しては、現在の捜査状況や取り調べの状況、今後起訴が行われそうかなど一定の見通しをお伝えする事ができます。もちろん、逮捕されたご家族の状況もお伝えできますので、精神的にもご安心いただけるでしょう。
示談交渉を進めることができる
早期釈放や不起訴を目指すために、一番効果的な方法は被害者との示談を成立させる事です。示談とは、当該事件に関する当事者間の和解を意味します。起訴するかどうに当たって、検察は必ず被害者感情を考慮しますので、当事者間で和解が成立していることが明らかであれば、被害者の処罰感情は大きくないとして不起訴とする事件も多いといえます。
もちろん、事件の内容にもよりますが、軽犯罪であれば当事者同士の示談があれば、早期釈放や不起訴の可能性は高くなります。もっとも、先にご説明したように弁護士を挟まず示談を成立させることは困難です。警察は被害者の連絡先を教えてくれないことがほとんどですので、まず連絡手段すらありません。
この点、弁護士であれば被疑者家族に連絡先を渡さないことを条件に連絡先を教えてもらうことも可能です。「加害者の家族とは話したくない」という被害者であっても、弁護士であれば交渉に応じてくれる方もたくさんいらっしゃいます。
また、仮に被疑者のご家族が被害者に連絡できても、相場より大きな示談金を請求されるなど、無用なトラブルに巻き込まれる可能性もあります。示談も他の弁護活動と同様に、できるだけ早く成立させることが、事件解決には必要不可欠ですので、弁護士に示談交渉を依頼するのが適切です。
弁護士なら、迅速かつ円滑に示談交渉を進めることができ、早期に示談を成立させる可能性が高いといえるのです。
早期釈放・不起訴を目指すことができる
ご家族や逮捕された方の社会生活への影響を少しでも少なくするためには、やはり早期釈放を目指すべきです。
逮捕後3日以内、勾留前の釈放を目指せば日常生活への影響を最小限に抑えることができます。会社や学校に逮捕事実を伝えなくても済む可能性は高いといえますし、釈放されれば不起訴の可能性も高まります。
しかし、これを目指すためには逮捕後すぐの弁護活動が必要不可欠です。逮捕後すぐの弁護活動により、示談交渉を早期に成立させ、勾留回避を図ることができるためです。仮に勾留が決まったとしても、勾留する必要性がないことを裁判官に説明し勾留取り消しの準抗告を行うこともできます。
また起訴前に示談が成立すれば、不起訴の可能性も大きく高まります。不起訴となれば、前科がつかないため、ご家族の将来への影響を少なくすることが可能です。
さらに起訴された場合でも、実刑を免れるように弁護活動を行います。刑事裁判では、きちんと弁護活動を行えば、ほとんどが執行猶予付き判決や罰金刑です。罪を最小限にできるように弁護士による弁護活動は非常に重要といえるでしょう。
このように、弁護士に依頼すれば、早期釈放、勾留回避、不起訴、執行猶予判決など、逮捕されたご家族に有利に刑事事件を解決することができます。
家族や身内の逮捕・勾留には弁護士への相談が問題解決への近道
ご家族が逮捕されたことについて警察から連絡があったら、弁護士を探しましょう。民事事件とは異なり、刑事事件の場合は弁護士が必要不可欠です。また身内が逮捕されたという事実は、できれば近所や友人、職場にバレたくないと考えるものです。
周囲にバレないようにするためには、本人が早く家に帰ってくることが大切です。弁護士であれば被害者との示談を成立させ、早期釈放への道のりも短縮できます。逮捕されたら、刑事弁護に強い弁護士にご相談ください。
刑事事件に巻き込まれたら弁護士へすぐに相談を
- 逮捕後72時間、自由に面会できるのは弁護士だけ。
- 23日間以内の迅速な対応が必要
- 不起訴の可能性を上げることが大事
- 刑事事件で起訴された場合、日本の有罪率は99.9%
- 起訴された場合、弁護士なしだと有罪はほぼ確実