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給与ファクタリングの被害が急増!弁護士に相談してできること
この記事で分かること
- 給与ファクタリングの運営者の大半は違法ヤミ金業者
- 給与ファクタリングは利用しないのがベスト
- 給与ファクタリングを利用した場合、受け取ったお金も利息も返済する必要はない
- 取り立てが止まらない場合は警察や弁護士に相談を
- 弁護士に相談すれば給与ファクタリングの契約無効を主張できる。
給与ファクタリングに手を出し、被害を受けてしまうケースが話題になっており、弁護士への相談も増えつつあります。給料日前にお金を借りれるかわりに法外な手数料を取る給与ファクタリングは貸金業法違反の可能性が高く、仮に利用したとしても返済の必要はありません。弁護士に相談すれば、厳しい取り立てを止めさせ、給与ファクタリングの契約無効を主張することが可能です。給与ファクタリングの取り立てや返済のための借金でお悩みなら弁護士への相談をご検討ください。
目次[非表示]
給与ファクタリングとは?
給料ファクタリングは、サラリーマンなどの給与所得者が将来受け取ることになる給与債権を業者に売却し、現金化する方法です。
個人事業主や中小企業などが手持ちの売掛債権を業者に売却し、運転資金を調達する方法をファクタリングといいます。
債権の支払い期日が到来する前に資金調達ができるのがファクタリングのメリットであり、それを給与という形で応用したのが給与ファクタリングです。
給料日の前に急に出費が必要になったものの、手持ちのお金が不足している場合に、給与ファクタリングを利用して現金を取得するなどの方法で利用されます。
一般的なファクタリングは、まだ支払いが行われていない債権を業者に譲渡して資金調達する方法で、商取引においてよく行われています。一方、給与ファクタリングは一般的なファクタリングとは異なり、様々な問題がある点に注意しましょう。一般的なファクタリングと給与ファクタリングは全く異なるものです。
給与ファクタリングの仕組み
給与ファクタリングの仕組みは、給与取得者が有する給与債権を業者に譲渡し、手数料を差し引いた分の現金を業者から受け取ります。給与債権とは、会社に給料を支払ってもらう権利のことです。
給与ファクタリングの業者に対して、給与所得者が次回に受け取る予定の給与債権を譲渡すると、業者は給与債権の額に応じて手数料を差し引いた金銭を支払います。
たとえば、毎月25日に24万円の給料をもらっているサラリーマンが、給料日が到来する前に20万円の支払いが必要になったとします。
サラリーマンが給与ファクタリングの業者に20万円の給与債権を譲渡すると、業者は債権の額から手数料として4万円を差し引いた、20万円の現金をサラリーマンに支払いました。
次回の給料の24万円は、サラリーマンが会社から受け取った後に業者に支払うことになります。業者は手数料の4万円分を利益として得ます。
給与ファクタリングの問題点
給与ファクタリングは給料日の前に現金を調達できることから、一見すると便利なサービスのようです。しかし、実際には給与ファクタリングには様々な問題点があります。
給与ファクタリングの問題点を順番に解説していきます。
利息制限法による上限金利を遥かに越える利率
給与ファクタリングを利用すると、利息制限法の上限を遥かに超える利率を実質的に支払うことになります。その理由は、給与ファクタリングを利用する際に差し引かれる手数料にあります。
給与ファクタリングを利用すると、一般に給与債権額の20%程度の手数料を差し引かれますが、これは実質的には、異様に高い利率の利息を支払っているのと同じです。
たとえば、一ヶ月後に支払われる予定の10万円の給料を給与ファクタリング業者に譲渡し、手数料として給料の20%分の2万円を差し引かれて、8万円の現金を受け取ったケースで考えてみましょう。
業者から現金を受け取ってから一ヶ月後に給料日が到来し、当日に給与ファクタリング業者に10万円の給料を支払ったとすると、実質的に月2万円の利息で8万円を借りたのと同じことになります。給与債権額の20%を手数料として差し引かれる場合、利息に換算すると単利でも月利20%、年利では240%です。
利息制限法が定める上限金利は年利15〜20%なので、手数料という名目だけで実質的に年利240%もの高金利を支払うことになるのは、いかに異様かがおわかりいただけるでしょう。
運営者の大半が貸金業登録のない違法ヤミ金業者
給与ファクタリングの運営者の大半は、貸金業登録をしていないヤミ金業者です。ヤミ金とは、国や都道府県に貸金業の登録を行わず、いわゆるモグリとして貸付を行っている業者のことです。
ヤミ金業者は一般的な消費者金融と比べて、はるかに高額な違法な金利でお金を貸すのが大きな特徴です。
多重債務やいわゆるブラックリストによって、一般的な消費者金融からお金を借りることができなくなった方を狙って、相手の弱い立場を利用して高利を貪ろうとします。
給与ファクタリングが規制強化で営業が難しくなったヤミ金の隠れ蓑に
それではなぜ、ヤミ金業者が給与ファクタリング業者として営業をするのでしょうか。その理由は、本業であるヤミ金に対する規制が厳しくなったからです。
2003年の第156回国会において、いわゆるヤミ金融対策法(貸金業規制法及び出資法の一部改正法)が成立し、登録制度の強化、罰則の引き上げ、違法な利息や取り立ての規制などが行われました。
規制強化によって本業のヤミ金の営業が難しくなったことから、一見するとヤミ金にあたらないように見えるファクタリング業者を装って、実際にはヤミ金と変わらない違法な貸付を行うという仕組みです。
金融庁や東京地裁は「給料ファクタリングは貸金業」と判断
これまでご紹介してきましたように、給与ファクタリングは実質的には高金利の貸金業と同質のものです。
給料ファクタリングは一見すると給料債権を買い取っているようですが、実際には顧客が給料として受け取った金銭を回収しているだけであり、貸金を回収しているのと変わりません。
本当に債権を回収しているのであれば、給与ファクタリング業者は給料を支払う会社から直接、給料債権を引き上げることができるはずです。
ところが、使用者は給料を労働者に直接支払わなければならないことが労働基準法で定められているため、給与ファクタリング業者は給与債権に手を出すことができません。
このことからも、給与ファクタリングは単にファクタリングを装っているだけで、実態は高利の貸金業と変わらないことが伺えます。
既に「給与ファクタリングは貸金業に該当」とした判例も
金融庁の見解や東京地裁の裁判においても、給与ファクタリングは貸金業であると判断されています。
2020年3月5日、金融庁は給与ファクタリングが貸金業に該当するとの見解を公表しました。同年2月に行われた照会に対して回答したもので、ファクタリングを装いながら実質的には高金利の貸金業にあたるものを、貸金業法の規制の対象である「貸金業」に該当すると判断しています。
また、同年同月24日には、東京地裁が2件の給与ファクタリングについて金融庁と同じく、貸金業法における貸金業に該当するとの判決を下しています。
金融庁の発表と東京地裁の判決によって、ファクタリングの体裁を装いながら実質的には高金利の貸金業を営んでいる業者については、貸金業法の規制の対象になるという認識が広まりました。
給与ファクタリングと契約してしまった場合
様々な問題があることから、給与ファクタリングがなるべく利用しないのがベストです。
しかし、給料日の前に急に高額な出費が必要になったなど、やむを得ず給与ファクタリングを利用してしまうケースもあるかもしれません。
もし既に給与ファクタリングを利用してしまっている場合に、理解しておくべきポイントや取るべき対応をご紹介します。
給与ファクタリングで受け取ったお金は「返済の必要なし」
給与ファクタリングを利用して受け取ったお金は、基本的に返済する必要はありません。
その理由は、貸金業法という法律で規制が設けられているからです。
貸金業者が年109.5%を超える利息で貸付契約を行った場合、その契約は無効になります(貸金業法第42条)。なお、ここでいう貸金業者は登録業者だけでなく、無登録の業者も含みます。
給与ファクタリングの高利な手数料にも貸金業法は適用される
金融庁は給与ファクタリング業者は基本的に貸金業者にあたると判断していることもあり、給与ファクタリング業者による給与債権の譲渡についても、基本的にこの規定が適用されると考えられます。
貸付契約が無効になった場合、利息(給与ファクタリングの場合、手数料が実質的な利息にあたると考えられます)だけでなく元本も返済する義務はありません。
10万円の給料と引き換えに手数料2万円を差し引いて8万円を借りた場合、利息にあたる手数料2万円だけでなく、借り入れた8万円の返済義務もないということです。
取り立てが止まらない場合、警察や弁護士に相談
給与ファクタリング業者は実際はヤミ金業者なので、支払いが滞ったり業者の意に添わない行動をしたりすると、
- 勤務先や家族に取り立ての電話をする
- 1秒おきなど短時間に何度も電話をかけてくる
- 自宅に嫌がらせの張り紙をする
など、厳しい取り立てをしてくる場合が少なくありません。
給与ファクタリング業者からの悪質な取り立てが止まない場合は、泣き寝入りせずに警察や弁護士に相談することが大切です。
ヤミ金被害取り締まりの強化で、警察の対応も積極的に
警察は一時期は民事不介入などを理由として、借金問題に介入することに消極的だった時期もありまましたが、ヤミ金被害に対する取り締まりの要請が強くなったこともあり、以前よりも積極的に動いてくれる傾向があります。
特に、給与ファクタリング業者による取り立てが脅迫罪や強要罪などの犯罪に該当する場合、警察に相談することで事態の改善につながる可能性が高くなります。また、貸金業法第21条は、貸金業者による悪質な取り立てを罰則つきで規制しています。
弁護士に相談することで給与ファクタリングの問題を法的に解決できる
警察に相談しても解決につながらない場合は、借金問題に知見のある弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談すると、給与ファクタリング業者の取り立てに法的にどのような問題があるかを的確に判断し、悪質な取り立てをやめさせる解決法を見いだしてくれることが期待できます。
給与ファクタリングを弁護士に相談して依頼できる対応
給与ファクタリングでお金を借りたら利子が膨らんでしまった、借金の金額が大きすぎて返済しきれない、などの問題が生じたら弁護士に相談するのがおすすめです。
給与ファクタリングの悩みを弁護士に相談すると、どのような対応をしてくれるのかを解説します。
- 貸金業登録のない違法業者なら契約無効を主張
- 給与ファクタリングで受け取った代金の返還拒否
- 過払い金返還請求
貸金業登録のない違法業者なら契約無効を主張
すでにご紹介しましたように、給与ファクタリング業者が年109.5%を超える利息で貸付を行った場合、契約が無効になります。
また、年利が109.5%を超えない場合でも、給与ファクタリング業者が貸金業の登録を受けていない場合などは、民法第90条の公序良俗に反する違法なものであるとして、契約を無効にできる可能性があります。
いずれにせよ、法律に詳しくなければ給与ファクタリング業者に契約の無効を主張することは簡単ではありません。仮に主張したとしても、素人の言うことだからと取り合わない可能性が高いです。この点、弁護士に相談すれば給与ファクタリング業者に対して的確な主張をしてくれます。弁護士の名前で主張や交渉をすれば、相手は危機を感じて応じやすくなります。
給与ファクタリングで受け取った代金の返還拒否
給与ファクタリング業者との貸付契約が無効だとすると、借りた金銭は返還しなければならないのでしょうか。
この点、契約が無効になった場合は、契約をした当事者の権利関係を契約前の状態に戻す必要があります。そのため、借りた金銭は相手に返還しなければならないのが原則です。
しかし、無効になった契約が民法第708条の不法原因給付に該当する場合、相手から受け取った金銭の返還を拒否することができます。
不法原因給付とは
不法原因給付とは、社会倫理に著しく反するような不法な原因によって、相手に金銭や物などを交付した者は、その金銭や物の返還を請求することができない制度です。
不法原因給付の例として、愛人契約や博打の支払いなどがあります。愛人になるかわりに金銭を支払う、博打に負けたから金銭を支払うなどの契約は、一般に不法原因給付にあたります。愛人契約として渡した金銭や、博打に負けたから支払ったお金は、相手に返還を請求できないということです。
同様に、給料ファクタリングの貸付契約が不法原因給付にあたる場合、給与ファクタリング業者から受け取った金銭は不法な給付に該当するため、返還する必要がなくなります。
過払い金返還請求
貸金業者に借りたお金を返済する際に、法律で規制されている以上の利息を払っていた場合、いわゆる過払い金返還請求として、払いすぎた利息の返還を求めることができます。
給与ファクタリング業者が貸金業に該当すると判断されれば、支払った手数料は実質的に利息にあたるため、過払い金返還請求の対象になる可能性があります。
自分で過払い金返還請求するのは現実的に困難
すでにご紹介しましたように、給与ファクタリングは実質的に貸金業にあたると金融庁や東京地裁も判断しているため、過払い金請求によって手数料の返還が認められる可能性は低くありません。
ただし、給与ファクタリングの利用者が自力で過払い金の返還を求めても、業者に応じてもらうのは簡単ではありません。
「あなたは自分の意思で契約に同意したのだから、手数料を返還する必要はない」などと突っぱねられてしまうのが一般的でしょう。
この点、法律の専門家である弁護士であれば、法的な観点から的確な法律構成ができるので、業者と交渉した場合に返還請求に応じてもらいやすくなります。
業者がどうしても請求に応じない場合は、必要に応じて訴訟という形での返還請求を検討することになりますが、弁護士であれば訴訟の代理人としてスムーズに手続きを進めることができます。
債務整理
弁護士に相談すると、給与ファクタリングの問題を解決しやすいでなく、根本的な課題である借金問題も解決しやすくなるメリットがあります。
特に、給与ファクタリングに返済するために他の消費者金融から多額の借り入れをしたなど、給与ファクタリング以外の借金が多い場合は、弁護士に相談する必要性が高くなります。
債務整理を弁護士に相談すれば借金や利息の減額、支払い猶予を実現できる
借金問題を整理するための方法として、債務整理があります。債務整理は借金や利息を減額したり、支払い時期を猶予したりする手続きです。
債務整理は自己破産や個人再生など複数の方法がありますが、それぞれメリットとデメリットがあり、制度に詳しくなければどの方法が適切かを判断するのは困難です。債務整理をして借金の減額や支払い時期の変更をしたとしても、その後に無理なく返済できるのでなければ、債務整理をしても実質的な意味はありません。
債務整理に詳しい弁護士であれば、依頼者の状況に応じてどの方法を選択すべきかを的確に判断できるので、デメリットを最小限に抑えつつ、債務整理の効果を最大限に引き出すことが可能です。
給与ファクタリングによる借金の悩みは弁護士に相談を
給与ファクタリングは商取引で利用されるファクタリングのような体裁を装っていますが、実際には手数料という名目で高額な利息をとっており、その手口はヤミ金と変わりません。
給与ファクタリングの多くは実質的に貸金業であり、貸金業法の適用を受けることは金融庁や東京地裁も認めるところです。
違法な給与ファクタリングでお金を借りても契約は無効ですが、悪質な業者に対抗するには法律の専門家の協力が非常に重要です。できるだけ早く弁護士に相談しましょう。
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