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離婚裁判を起こす前に知っておきたいポイント!早期解決なら和解離婚を

この記事で分かること

  • 離婚裁判を起こすには、調停不成立の証明と法的に認められる離婚原因が必要
  • 弁護士に依頼したほうが離婚裁判を有利に進められる
  • 早期解決を望むなら、和解離婚の選択肢もある

裁判離婚は最終的な離婚の手段であり、調停での話し合いなしにいきなり訴訟を起こすことはできません。離婚裁判を起こしたら、できるだけ早く解決できるように弁護士に依頼するのがおすすめです。

離婚裁判を起こす前に知っておきたいポイント

協議でも調停でも離婚が成立しなかった場合の最終的な手段が裁判離婚です。裁判になると、裁判所は客観的な事実や双方のさまざまな事情を考慮して、離婚成立、または不成立の判決を下します。裁判所の判決には強制力があり、離婚に対する双方の合意は不要です。そのため、離婚裁判を起こすにはそれなりの条件をクリアする必要があります。

離婚裁判を起こすための条件

早く離婚したいかたらといって、いきなり離婚裁判を起こすことはできません。どのような条件があるのか見ていきましょう。

調停不成立の証明

2人の話し合いだけでは離婚の合意が得られなかった場合に、家庭裁判所に調停の申立てを行い、第三者を介して話し合う方法が調停離婚です。最終的に離婚裁判を起こすことになったとしても、その前に必ず離婚調停を行う必要があります。これを調停前置主義と言います。

調停では、話し合いは必ず調停委員を介して行われ、夫婦が直接やり取りをすることはありません。そのため、当事者同士だけで話し合うよりも冷静になれ、離婚の合意だけでなく慰謝料や財産分与、養育費などについても取り決めができる利点があります。

調停での話し合いがまとまらなければ、裁判へと移行することになります。離婚裁判の訴訟を起こす際には、訴状とともに調停終了後に作成してもらえる「調停不成立の調書」が必要です。

法的に認められる離婚原因があること

離婚調停の場合は明確な離婚の原因は必要なく、離婚したいという意思だけで家庭裁判所に調停を申し立てることが可能です。しかし、離婚裁判の場合は、法律上認められる離婚の原因が必要です。法的に認められる離婚原因とは、以下に上げる5つのいずれかを指します。

  1. 配偶者に不貞行為(浮気など夫婦の貞操義務に反する行為)があったこと
  2. 配偶者に悪意の遺棄(夫婦生活が破綻することを知りながら、夫婦の同居義務や協力・扶助義務に違反する行為をすること)があったこと
  3. 配偶者の生死が3年以上不明なこと
  4. 配偶者が回復の見込みがない強度の精神病にかかっていること
  5. 配偶者との間に「婚姻を継続しがたい重大な事由」があること

5つの離婚原因のうち、⑤の「婚姻を継続しがたい重大な事由」は抽象的ですが、たとえば配偶者から日常的な暴力を受けていたなどの事実は、⑤の離婚原因に当てはまるといえるでしょう。しかし、離婚の原因が性格の不一致や価値観の違い程度の場合は、婚姻を継続しがたいとまではいえないと判断され、離婚が不成立となる可能性もあります。

離婚成立までの流れ

離婚裁判を起こしても、すぐに判決がでるわけではありません。離婚裁判を起こしてから離婚が成立するまでの流れについて見ていきましょう。

調停不成立

離婚調停でも離婚が決着しなかった場合は、「調停不成立の調書」を作成してもらい、離婚裁判へと進みます。

離婚訴訟の提訴

訴えたい内容を記した訴状を作成し、調停不成立の調書とともに家庭裁判所へ提出することで、離婚訴訟が提訴されます。訴えられた側は訴状に対する答弁書を作成し、家庭裁判所へ提出します。

口頭弁論・尋問

訴状が提出されてから約1カ月後に1回目の口頭弁論が行われます。口頭弁論は、判決が出るまでの間に月に一度くらいの頻度で繰り返し行われます。

裁判官が判決ではなく、和解ができるのではと判断した場合、和解を促されることがあります。原告、被告が和解案に納得できれば、和解調書が作成されて、判決はせずに裁判が終了します。

判決

また、口頭弁論だけでなく、証拠の取り調べや本人・証人への尋問も行われることがあります。本人尋問はまず原告側から、原告の弁護士から原告に対して行われます。それに対して、今度は被告側の弁護士から原告に対して質問がされ、原告はそれに対して回答します。被告側からの質問に対しての受け答えは、弁護士に頼ることができません。裁判官に納得してもらうためにも、矛盾のないように受け答えすることがポイントになります。

お互いの主張や証拠などが出し尽くされたと判断されたところで、裁判所の判決が下されます。離婚成立の判決が下された場合は判決が確定した日が離婚成立の日となりますが、判決が確定した日から10日以内に、役所へ離婚届、判決書、確定証明書の提出が必要です。
判決には強制力があるものの、納得ができなければ控訴・上告も可能です。

ワンポイントアドバイス
離婚訴訟の提訴から判決までに要する期間はケースバイケースですが、多くは1~2年程度です。その間、月に1回は口頭弁論や尋問があり、長きにわたってずっと離婚のことを考えなければならないというのは、精神的に大きな負担となることが予想されます。

離婚裁判を弁護士に依頼するメリット・デメリット

離婚裁判を自分1人で進めていくことも可能ですが、1人ですべてやろうとすると手続きや書面の作成、証拠集めにかかる時間は相当なものになりますし、精神的な負担も大きなものになります。その場合、弁護士に早い段階から依頼することをおすすめします。

離婚裁判を弁護士に依頼するメリット

特に、証拠集めや口頭弁論などは法律の専門家である弁護士に任せたほうが裁判を有利に進められる可能性が高くなります。離婚裁判を弁護士に依頼するメリットは次のようなものです。

必要な手続きや書類作成をすべて任せられる

裁判に必要な手続きや書類作成はすべて弁護士が行ってくれるので、手間と時間を省き、負担を減らすことが可能です。特に仕事を持っている方で裁判に費やせる時間が限られている場合は、手続きや書類作成にかかる時間を口頭弁論の準備や証拠集めに充てることもできるでしょう。

裁判に有利な証拠を集めやすくなる

離婚裁判を有利に進めるためには、自分の主張を裏付ける証拠の提示が欠かせません。たとえば、離婚原因が浮気や不倫なら現場を押さえた写真など、相手の暴力なら暴力によって負ったけがや傷の写真、医師の診断書などが有力な証拠になります。

離婚裁判を弁護士に依頼すれば証拠集めを手伝ってもらえるのでよりたくさんの証拠を集めやすくなりますし、証拠として何を用意するべきかなどの疑問にも法律のプロとして的確に答えてくれるでしょう。

裁判が短期間で決着しやすい

当事者だけで行う口頭弁論は、ただお互いの主張をぶつけ合うだけでなかなか解決の糸口が見つからない状況に陥りがちです。離婚裁判にかかる期間はだいたい1~2年ほどですが、お互いに妥協点が見つからず主張し合うことになると、3年以上と長期化することも考えられます。
一方で弁護士は、争点となっている重要なポイントを押さえてこちらの主張を論理的に説明し、裁判官や相手を納得させる術を知っています。そのため、口頭弁論がよりスムーズに進みやすく、離婚裁判そのものも短期間で決着しやすくなります。

慰謝料や財産分与の額が大きくなる可能性がある

離婚裁判を弁護士に依頼すればこちらの主張を通しやすくなるため、自分1人で裁判に臨むよりも、慰謝料や財産分与の金額が大きくなる可能性があります。また、確実な証拠の有無も慰謝料や財産分与の額に大きく影響するため、自分に有利な条件で勝訴するためには、弁護士に依頼して有力な証拠をできるだけ多く集めることが重要です。

離婚裁判を弁護士に依頼するデメリット

このように、離婚裁判では弁護士に依頼するメリットは非常に大きいといえます。1つだけデメリットを挙げるとすれば、依頼にかかる費用が高額になることです。

離婚裁判にかかる費用の目安

弁護士に依頼せず離婚裁判に臨む場合、かかる費用は書類の作成や切手代などをトータルしても数万円程度です。しかし、弁護士に依頼するとなると、かかる費用は着手金と成功報酬を合わせて数10万~数100万円と非常に高額になります。

離婚裁判で何を争うかによっても異なりますが、離婚の成立のみを争う場合の着手金は30万円程度、離婚の成立と親権者の指定を争う場合の着手金は40~60万円程度が目安です。離婚の成立と親権者指定に加えて慰謝料や財産分与などについても争う場合は、さらに着手金の費用がかさみます。また、着手金とは別に成功報酬も支払わなければならず、経済的負担はかなり大きなものになります。

ワンポイントアドバイス
現在の収入や貯蓄だけで弁護士費用をまかなうのは難しい場合も、弁護士費用の立て替えを行ってくれる「法テラス」を活用することで、経済的な負担を減らすことが可能です。法テラスの無料法律相談も検討してみましょう。

離婚裁判を早く終わらせたいなら「和解離婚」を目指そう

離婚裁判では、裁判の進行中に裁判官から双方の話し合いによる解決をすすめられたり、和解の内容を提案されたりすることがあります。話し合いで離婚の条件に納得でき、離婚が合意に至った場合、また、双方が裁判官による和解内容の提案を受け入れた場合は、裁判の判決を待たずに和解離婚が成立します。

和解離婚なら数ヵ月~1年以内の解決も可能!

通常なら1~2年、場合によっては数年がかりで行われる離婚裁判ですが、比較的早い段階で和解に持ち込めれば、数ヵ月から1年以内の早期解決が望めます。ケースバイケースですが、お互いが妥協し合って和解提案をすぐに受け入れることができれば、1ヶ月も経たないうちに解決することもあります。

離婚裁判が長期化しそうなら「婚姻費用分担請求」を行おう

婚姻費用とは、婚姻中の夫婦の共同生活に必要なお金のことで、自分や子どもの生活費や子どもの教育費などが含まれます。また、婚姻費用は、基本的には収入の多い側が少ない側に支払います。

たとえ別居中であっても、正式に離婚が成立するまでは、夫婦のうち収入の多い側には少ない側へ婚姻費用を支払う義務があるとするのが通例です。離婚裁判は長期化すればするほど経済的な負担も大きくなります。別居しているからなどと生活費の支払いを拒否された場合は家庭裁判所へ「婚姻費用分担請求」を行い、生活費を確保するようにしましょう。

ワンポイントアドバイス
お互いが気持ちよく新たなスタートを切れるような離婚がもっとも望ましいかたちだといえます。裁判が泥沼化する前に、お互いの妥協点を見出し、和解の道を探ってみましょう。

離婚裁判は精神的・経済的な負担大!解決を目指すために弁護士に依頼

離婚裁判を起こして離婚成立の判決が確定すれば相手の合意なしに離婚ができるものの、これまで見てきたように、裁判を経て晴れて離婚となるためには、大変な道のりを覚悟しなければなりません。調停離婚であれば弁護士への依頼なしで臨むことも十分に可能ですから、できるだけ協議離婚や調停離婚で解決できるように努めることをおすすめします。

裁判離婚に頼るしか方法がないところまで話し合いが膠着してしまったら、離婚に強い弁護士へ依頼することをおすすめします。

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