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リベンジポルノのリスクと対策~軽率な行動が人生を狂わす!
この記事で分かること
- リベンジポルノの被害が近年増加しています。
- データを公開された後の段階の対応は「削除申請すること」です。
- 被害に遭ったら早急な対処が肝心です。
リベンジポルノの被害が近年増加しています。データを投稿される前の段階の対応としては、「画像・動画を公表せず削除してもらうよう冷静に交渉する」ことが挙げられます。難しい場合は専門機関に相談するのがよいでしょう。データを公開された後の段階の対応は「削除申請すること」です。リベンジポルノの加害者は元パートナーだけとは限りません。大切となるのは、できる限り早く行動することです。
目次[非表示]
リベンジポルノ被害が年々増加している
近年、仕返しのために元恋人や元配偶者などの裸の画像・動画をネット上に公表するいわゆる“リベンジポルノ”の被害が急増しています。被害に遭えば長きに渡って苦しむことになり兼ねません。まずは被害の実態など、リベンジポルノについて大まかに解説します。
リベンジポルノの実情
元交際相手らの裸の写真や動画を、復讐目的でネットに晒す“リベンジポルノ”。近年被害が急増しています。それに応じた法の整備なども進んでいるものの、取り締まりきれていないのが現状です。
SNSの発展などにより近年被害が急増している
元パートナーらの性的な写真などをインターネットに晒す行為自体は、昔から一定数はありました。けれども昨今のスマートフォンの普及や情報共有SNSの発展によりその被害数は爆発的に増えているのです。
警視庁の「私事性的画像に係る事案の相談等件数」によると、平成26年には110件だった相談数が平成29年には1234件にまで跳ね上がっています。この内どの程度をリベンジポルノが占めるのかは定かではありませんが、増加傾向にあることは間違いないでしょう。
そしてこの値はあくまでも被害相談の数であり、潜在的には更に多く被害が見込まれるわけです。
法の整備が進むも被害は一向に減らないのが現状
このような事情を背景に、法の整備も進んでいます。例えば2001年にはプロバイダ責任制限法が制定されています。この法律ではネット上の権利侵害被害者に「送信防止措置請求権」を認めており、記事の削除請求ができるようになりました。
また2014年には「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(通称リベンジポルノ被害防止法)が施行され、リベンジポルノ行為を処罰対象としました。
具体的には“撮影対象者を特定できる方法でインターネットを通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供したり公表する行為“を「公表罪」、“公表する目的で第三者に提供する行為”を「公表目的提供罪」として禁止しています。
違反すればそれぞれ「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処される可能性があります。けれどもこうした法律をもってしても被害は減らないのが現状なのです。
リベンジポルノへの対処は
リベンジポルノに限らず、インターネット上に一度投稿された情報はあっという間に拡散します。一度情報が出回れば長きにわたり苦しむことになり兼ねません。では、卑劣なリベンジポルノへの対処はどのようにすればよいのでしょうか。
リベンジポルノ被害への対処法としては「発信者と交渉して画像・動画を削除してもらう」「該当ウェブページの管理者に画像・動画の差し止め請求する」などがあります。
リベンジポルノへの対応~データを公表される前の段階~
リベンジポルノ法に違反すれば「公表罪」や「公表目的提供罪」で罰せられることは解説した通りです。けれどもこれらはいずれも親告罪です。事の性質上、被害に遭っても申告を躊躇するケースも多いでしょう。
そのため、完全にこうした行為を取り締まりきることは不可能で、被害はなくならないのです。ではリベンジポルノの被害に遭った場合、どのような対処が可能なのでしょうか。
まずはデータがネット上に投稿される前の段階での対応について説明します。
ポイントは投稿を阻止すること
言うまでもなく投稿される前の時点でのポイントは、何としてもデータの公表を阻止することです。
加害者に見当がつく場合は削除依頼をする
加害者の見当がつく場合は、データの公表はせずかつ削除するよう依頼しましょう。このとき、相手が行っている行為はリベンジポルノ法に抵触することや、その罪状も伝えることが肝心です。
ポイントは「公表罪」や「公表目的提供罪」と言った罪名や罰則を具体的に伝え、法律の名称も通称ではなく正式名称の「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」の方を使うことです。そうすることで相手も犯罪行為をしている実感が沸きます。また、被害者側がしっかりと調べていること、つまり覚悟も伝えられるのです。
脅された場合は証拠をとっておく
リベンジポルノに関しては、加害者側が実際にそれを投稿する前に裸の画像をネタに“ゆすり”をかけてくるケースも多いです。
例えば金銭の要求、交際や肉体関係などを迫ってくるわけです。こうした行為は“脅迫罪”に問える可能性があります。ですから脅迫を受けた証拠を保全しておくことが大切です。メールがあれば保存し、電話や脅しの言葉は録音しましょう。
証拠をとっておけば、後に加害者側が言い逃れできなくなります。
感情的にならずに相手と交渉することが大切
この際、注意すべきは相手を刺激しないようにすることです。下手をすればかえって相手を逆上させかねず、さらなる被害に繋がらないとも限りません。
冷静に交渉を!
削除を依頼する際も脅された際も、感情の赴くままに言葉を発するのではなく落ち着いて話をしましょう。扇動的な発言は相手を刺激し、更なる被害を招きかねません。
難しい場合は専門機関に依頼
それが難しい場合は、専門機関に相談してアドバイスをもらいましょう。
「セーファーインターネット協会」は“インターネットの悪用を抑え自由なインターネット環境を護るために、実効的な対策を立案し実行していく”目的で2013年に設立された民間団体で、リベンジポルノ被害の相談なども実施しています。
リベンジポルノへの対応~データを投稿された後の段階で
裸のデータをネット上に投稿される前の段階でのポイントは、何としても投稿を止めさせることです。
では、一度公表されてしまったらもうどうしようもないのでしょうか。実は、そうとも限らないのです。ここからは、データを投稿された後に行える対応について解説します。
ネット上に投稿された情報は消せないのか
一般的に「ネット上に投稿された情報は、回収することは不可能」とよく言われます。しかしそれは正しくもあり誤りでもあります。と言うのも、ネットに投稿された情報を消す方法が存在し、早期に対処すれば事態を収拾させることも不可能ではないのです。
ネット上に公開された情報も消すことが可能
“ネット上に一度公開されたデータは消せない”と言われますが、データを消す方法はあります。
それがウェブページの管理者・運営者といったプロバイダに当該データの削除依頼をすることです。プロバイダが応じてくれればデータの削除や非表示などの措置がなされることとなります。
プロバイダに削除依頼を出す権利は法で認められている
こうした措置を「送信防止措置」と呼びますが、送信防止措置を請求する権利はプロバイダ責任制限法によって権利侵害被害者に認められているのです。
リベンジポルノ以外にもネット上の権利侵害事件は近年増加しており、従来の体制では対処が追い付かなくなりました。そこで2001年に新たに制定されたのがこのプロバイダ責任制限法です。同法はプロバイダの損害賠償責任に一定の基準が設けたもので、送信防止措置請求権の他“発信者情報開示請求権”も認めています。
またSNSなどの場合比較的簡単に削除ができます。近年のネット上の権利侵害事案の増加を受けて、各社共に対策を講じているわけです。例えばTwitterの場合「嫌がらせや迷惑行為の報告」から削除申請ができますし、LINEやFacebookでもそれぞれ「問題報告フォーム」「ヘルプセンター」から削除依頼が可能です。
ポイントはスピーディな対応
データを公開された後の段階で最も重要なこと、それは可能な限り迅速に対応することです。
措置が遅れるほど被害は拡大する
早期に対処すれば被害を最小限に抑えることができますが、この手の被害は時間と共に拡大していきます。ですからできる限り迅速な対応が肝心です。
証拠を保全しておくことも忘れず
そして裸の画像や動画をアップロードされてしまった場合、該当ページのURLを記録する、該当箇所のスクリーンショットを撮るなど証拠を保全しておくことが大切です。
投稿されたデータの内容・投稿日時なども詳しく記録しておきましょう。そうすることで警察も対処し易くなるのです。
リベンジポルノの被害で知っておきこと
ここまでリベンジポルノ被害の実情や関連法、データがネット上に投稿される前と投稿された後の対応策について解説していきました。最後にリベンジポルノ被害について知っておきたいポイントについて解説します。
リベンジポルノのリスクを把握し軽率な行動は控える
関係が良好な間は被害に遭うことなど想像もせず、パートナーを信頼し撮らせてしまうのです。けれども別れた後、豹変したパートナーがデータをばら撒くケースがリベンジポルノの典型なのです。ですから被害に遭えばどうなるかを考え、軽率な行動は控えるのが賢明です。
元パートナー以外の人物も加害者になり得る
リベンジポルノ被害で最も多くみられるのは元パートナーによるものです。しかし必ずしも被害者と加害者の間柄が交際関係にあった場合にだけ発生するわけではありません。
と言うのも、例えば仕事上の関係者とそれが望んだものであろうがなかろうが性的な関係を持った場合、裸の写真を撮影されることはあり得ますし、それをネタにゆすられる可能性もあるわけです。
リスクを頭に入れ行動することが大切
実際には裸の写真が拡散されても被害者を知っている人がそれを目にする機会、また知っていても写真に写っている人物がそうであると気がつくケースは、被害者が気にするほどは多くはないかもしれません。
しかし、裸の写真がネットに出回り、誰でも閲覧できる状態に置かれるだけでも非常な苦痛でしょう。特にこの手のデータは瞬く間に拡散することが予想されます。つまり一度拡散すれば一生苦しむことになり得るのです。
そのことをきちんと頭に入れ如何なる間柄であっても一時の感情で裸の画像や動画を撮影しない、させないことが重要です。
被害を抑えるために大切なこと
繰り返しになりますが、リベンジポルノに遭ってしまった場合、被害をできる限り抑えるためには迅速な行動が何より大切です。
被害の経緯に関わらず早急な対処を
最近では、ネット上で知り合った相手に自ら撮影・送信し被害に遭うといったケースも出ています。このようなケースでは被害者側にも非があることは明らかです。そしてそれゆえに被害相談を躊躇し、その間に被害はどんどん拡大してしまうわけです。
リベンジポルノ被害への対処法としては「発信者と交渉して画像・動画を削除してもらう」「該当ウェブページの管理者に画像・動画の差し止め請求する」などがあります。
リベンジポルノを防ぐため裸の写真や動画を撮らせない!
リベンジポルノ被害に遭わないための対策として最も重要なことは、親しい間柄においても裸の写真・動画を撮らせないことです。写真や動画が存在しなければ被害に遭うこともないのですから如何なる場合も裸を撮影させない、撮影しないことが大切です。
リベンジポルノの被害にあったら、できるだけ早く、ネット問題に強い弁護士に相談することも大切です。