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不動産競売の申立からの流れ!必要書類や予納金など費用も徹底解説!

この記事で分かること

  • 不動産競売の流れは、申し立てから配当まで1年程度の時間がかかる
  • 競売を申し立てるためには予納金などの費用が必要
  • 競売にはリスクもあるので、手続きは慎重に進めることが大切

不動産の競売は、取引先の債権を回収するために有効な手段の一つです。ただし、それが本当に最善の手段なのかは弁護士などの専門家とよく相談する必要があるでしょう。この記事では競売を申立からの手続きの流れと競売に必要な書類と費用、および競売の注意点について解説します。

不動産競売申立からの流れを紹介!

競売の手続きをはじめてから、落札までには長い場合は1年以上かかることがあります。不動産競売の申立からどのようなスケジュールで競売は進むのか、確認してみましょう。

不動産競売申立からの流れは、

  1. 競売の申立
  2. 裁判所による開始決定
  3. 現況調査と価格評価
  4. 入札および売却手続き
  5. 買受人が代金納付
  6. 配当手続き

となります。それぞれの手続きについて、以下で詳しく見ていきます。

(1)競売の申立

最初に、債権者が競売の申立を、対象不動産を管轄する地方裁判所に行います。競売の申立をする際には、下で詳しく解説する通り、差し押さえの権利を証明する公的文書をはじめとした多くの書類が必要です。

差し押さえの権利を証明する公的文書とは、抵当証券や、裁判所による判決書、または裁判所で作成した和解調書・調停調書、公正証書などの債務名義です。

(2)裁判所による開始決定

裁判所は、債権者が提出した書類を確認し、問題がないと判断すれば、不動産の競売を開始する決定を下します。決定が下されると、不動産の登記に差し押さえの登記がされ、勝手に処分、売却することはできなくなります。

また、同時に、債権者、債務者、所有者に「開始決定」の通知が送られます。

(3)現況調査と価格評価

裁判所の指示により、執行官が、不動産の形状や占有物、権利関係などの状況を調査し、現況調査報告書を提出します。また、不動産鑑定士により、不動産の評価額、環境の概要、個別要因、評価額算出の根拠などが記載された、評価書が提出されます。

これらに基づき、裁判所は、買受人が引き継ぐべき権利や売却の条件を示した物件明細書を作成します。これらの書類は、誰でも自由に閲覧できるようになります。

(4)入札および売却手続き

裁判所の調査が終了すると、実際の競売手続きに移ります。競売手続きの詳細は、次の通りです。

売却基準価格の決定

不動産を競売によって売却する際の売却基準価格が、裁判所によって決定されます。買受を申し出る場合の価格は、この売却基準価格の8割を下回ることはできません。

不動産売却方法等の公告

裁判所は、新聞広告などにより一般公開します。公告するのは以下のような内容です。

  • 当該不動産が売却されること
  • 売却基準価格
  • 入札期間
  • 入札の結果を確認する日である開札期日

ここまでの時点で、すでに6ヵ月ほどの期間が必要になります。
なお、開札が始まる日の前日までであれば、債権者は競売を取りやめることは可能です。

開札期日

不動産の買い受けを希望する人は、入札期間のあいだに、裁判所に入札金額を届け出ます。

開札期日に、不動産の買い受けを希望する人が申し出た、入札金額を確認します。そのうち、最高額で買い受けを申し出た人に、裁判所は買受人としての適性を判断した上で、売却を許可します。

(5)買受人が代金納付

買受申出人は、指定の期限までに代金を納付します。支払いは、現金一括払いです。代金が納付されると、裁判所は所有権移転登記を行い、不動産は買受人の所有となります。

(6)配当手続き

不動産の買受代金が納付されると、裁判所はその代金を債権者に分配する手続きを行います。この「配当手続き」は、次の段階を踏んで行われます。

債務計算書の提出

裁判所はまず、配当を行う日である「配当期日」を決定します。債権者はそれぞれ、それまでの指定された期間内に、不動産に対する債権額を記載した「債権計算書」を裁判所に提出します。

配当期日

配当期日に、裁判所は債権計算書をもとに、不動産の買受代金を債権者に分配します。分配に際しては、競売をするためにかかった費用や税金などが優先され、それ以外の債権者についても優先順位を考慮して配当されます。

ワンポイントアドバイス
不動産の競売には、申立てから配当金を受領するまで、通常1年程度がかかります。時間がかかり、手続きもやや複雑ですので、弁護士などの専門家に相談しながら、慎重に手続きを進めましょう。

不動産競売の申立に必要な書類

では不動産の競売を申立るのに必要な書類を見ていきましょう。

申立に必要な書類は次の通りです。担保不動産競売や強制競売の場合は一部必要書類が異なりますので、ご注意下さい。

  • 競売の申立書
  • 差し押さえの権利を証明する公的文書
    担保不動産競売の場合 …競売する不動産の不動産登記事項証明書、抵当証券など
    強制競売の場合 …執行力のある債務名義正本(裁判所による判決書、または裁判所で作成した和解調書・調停調書、公正証書)、および送達証明書
  • 不動産登記簿謄本(申立より1ヵ月以内のもの)
    競売する不動産が建物だけであっても、敷地分が必要。また土地だけであっても、建物があれば建物分も必要。
  • 公課証明書(評価証明書は不可)
  • 申立る債権者が法人の場合なら登記事項証明書、個人なら住民票(それぞれ申立より1ヵ月以内のもの)
  • 土地の所有者の、法人なら登記事項証明書、個人なら住民票
  • 意見書

その他の提出書類

  • 担保権・被担保債権・請求債権目録(担保不動産競売申立の場合)または、請求債権目録(強制競売申立の場合)
  • 住宅地図・公図・建物所在図
  • 物件案合図(住宅地図)
  • 建物図面・各階平面図
  • 参考事項票

不動産競売の申立に必要な予納金などの諸費用

次に申立に必要な費用についても見ていきましょう。

申立手数料

担保権または債務名義1個につき4,000円

郵便切手等

多くの裁判所が16,000円としていますが、不要や、92円切手1枚としている裁判所もあります。

予納金

裁判所や物件の数によって異なりますが、50万円~100万円くらいです。予納金は、原則として売却の成立後、返還されることになっています。

登録免許税

請求債権額の4/1,000(3,000万円の請求なら12万円)

ワンポイントアドバイス
競売を申立るためには、さまざまな書類と少なくない費用が必要です。書類については、自分で揃えることもできますが、慣れていない人にとっては難しいこともあるでしょう。その場合には、手続きを弁護士に任せれば、時間と手間を節約できます。

不動産の競売を申立する際の注意点

不動産の競売は、債権を回収するためにはたしかに強力で手っ取り早い方法です。しかし、競売を行う際には注意点もありますので、ここではそれを見ていきましょう。

(注意点1)売却価格以上の抵当権が設定されていると無意味に

不動産の競売を申立ても、もしその不動産にすでに抵当権が設定され、その金額が売却価格以上なら、競売をすることは無意味になります。

競売による売却の代金は、まず抵当権者に優先的に配当されます。その時点で代金に余りがなければ、他の抵当権をもっていない債権者には、1円も配当されないからです。

したがって、不動産の競売を申立る際には、その不動産に抵当権が設定されているか、および、もし設定されているのならその金額を、慎重に確認することが必要でしょう。

(注意点2)予納金は全額返還されるとは限らない

予納金は、売却後に代金から優先的に返還されることになっています。しかし、全ての場合で返還されるとは限りません。

競売は、買受人が現れないなどの理由で、売却できないこともあるからです。売却できなければ、代金もありませんので、予納金の返還は、使用した経費が差し引かれ、納付した額の半分以下になることもあります。

(注意点3)競売より高値で売却できる場合もある

一般に競売で不動産を売却すると、売却価格は市場価格の7割程度になると言われています。それは、競売によって売却される不動産は、

  • 競売の公告を一般の不動産購入希望者が見ることが少ない
  • 購入希望者が事前に建物の中を見ることができない
  • 入札方法が複雑で、支払いは現金でしなくてはならない

などの理由で、一般個人が競売物件を購入することが少ないからです。ケースによっては、任意売却などの方法を取ることにより、競売より高値で不動産を売却し、その分、より多くの債権を回収できることもあります。

ワンポイントアドバイス
競売は、時間と手間がかかりますし、高額な予納金が返還されないリスクがあります。さらに、他の方法で売却する場合と比べ、売却価格が低くなることもあります。したがって、債権を回収するために、競売が本当に最善の方法なのか、弁護士などの専門家とよく相談する必要があるでしょう。

不動産競売の申立は弁護士に相談しよう

競売は、たしかに債権を回収するには強力な方法ですが、時間と手間がかかりますし、注意しなければならないことも多々あります。場合によっては1年以上かかることもある競売の手続きには、裁判所が絡んでくるため、法律の素人だけでは難しいかもしれません。

競売を申立る際には、不動産についての専門知識をもった弁護士の存在が、大変心強いものとなるでしょう。
不動産競売について詳しく知りたい方は、不動産に強い弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

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