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住宅の地盤沈下は誰の責任?原因別に見る交渉相手と対処方法
この記事で分かること
- 地盤沈下トラブルには下記のような様々な原因がある
- 盛土が原因の地盤沈下
- 地盤改良工事が不十分で地盤沈下
- 外構部分の地盤改良をしていないことが原因の地盤沈下
- 近隣工事の影響による地盤沈下
- 地盤沈下トラブルはまず弁護士に相談することが重要
地盤沈下トラブルを解決するには法的知識も必要となりますので、不動産に強い弁護士へできるだけ早期に相談を行うことが重要になります。
目次[非表示]
住宅の地盤沈下トラブルへの対処法は?
最近では地盤調査の技術が向上したこともあり、住宅購入後の地盤沈下トラブルに悩まされる方は少なくなりました。しかし、地盤調査業者の調査力や解析力には実力差があるため、地盤調査業者選びを失敗したことなどが原因となり、地盤沈下トラブルに巻き込まれてしまうケースはまだまだ多く見られます。
また、しっかりと地盤調査を行い、地盤改良工事を完了していたとしても、地盤沈下が起こる可能性があることを考えれば、万全を期していても安心することはできません。そこで今回は地盤沈下が起きた場合どうすればいいのか、その交渉相手と対処方法を地盤沈下の原因別に紹介していきます。
住宅購入後の地盤沈下トラブルの原因は大きく分けると下記の4つに分類できます。
- 盛土が原因の地盤沈下
- 地盤改良工事の不十分さが原因の地盤沈下
- 外構部分の地盤改良をしていないことが原因の地盤沈下
- 近隣工事の影響による地盤沈下
次から、それぞれの原因による地盤沈下トラブルに見舞われた場合の交渉相手と対処方法について解説していくことにしましょう。共通の対処法としては、まず弁護士に相談してみることは有効ですので、まずは弁護士に連絡をとってみることをおすすめします。
盛土が原因の地盤沈下トラブル
住宅購入後の地盤沈下トラブルで一番多く見られるのは盛土が原因となるケースです。住宅建設に用いる宅地は平坦なところばかりではなく、傾斜地を造成した宅地も多く見られます。そのような造成地では、ほぼ必ずこの盛土による地盤改良工事が行われています。
盛土とは傾斜のある地表に土を盛って平坦な敷地に造成する工法となっています。そのため、転圧(締め固め)が不十分な場合は軟弱な地盤となってしまい、地盤沈下トラブルが発生する原因となります。この盛土に使われる土は、他の場所から掘って出た土が利用されますが、土には空気が入って膨れ、その容積は掘り出す前の1.5倍ほどに膨張します。したがって、しっかりと転圧(締め固め)をしないと空気を含んだままの地盤となり、そこに建てられた家の重さによって空気が締め出され地盤沈下が起こってしまいます。
盛土はまず30cmほどの土を敷き詰め転圧作業用重機で転圧した後、その上に30cmほどの土を再び敷き詰めさらに転圧するという過程が理想とされています。しかし、この工法での造成は長い時間がかかるため、施工業者によっては一気に土を敷き詰め、十分な転圧をしないまま住宅の着工にかかる業者も一部見られるようです。これが地盤沈下トラブルを引き起こす原因を作り出しています。
土地改良工事を行った施工業者に無償補修工事を請求できる可能性
つまり、盛土が原因の地盤沈下トラブルの責任所在は、土地改良工事を行った施工業者になります。住宅設計、施工を行う設計施工業者は建設予定地の地盤を調査し、その地盤の状況に応じた基礎の設計と施工を行う責任を求められます。
このケースでは、施工業者が設計通りの強度を得るための土地改良工事を行っていなかったことが原因と考えられますので、施工業者は住宅品確法に定められている「10年間の瑕疵担保期間義務付け」に基づいて、補修工事を無償で行わなければなりません。つまり、対処法としては、施工業者に補修工事を無償で行うように請求するということになります。
地盤改良工事の不十分さが原因の地盤沈下トラブル
住宅設計や施工を行う設計施工業者は、建設予定地の地盤を調査し、その地盤の状況に応じた基礎の設計と施工を行う責任を求められます。しかし、冒頭でも説明しましたように、地盤調査業者の調査力や解析力に実力差があるため、地盤調査の結果が適正なものでないケースが発生します。
この場合は下記のようなミスが原因となり、住宅購入後に地盤沈下トラブルが発生するケースがしばしば見られます。
- 地盤改良工事のミス
- 基礎補強工事種別の選択ミス
- 基礎設計のミス
地盤の再調査のため、売主・設計施工業者を通して交渉が必要に
実際に、地盤調査の結果から、地盤改良工事を行ったにもかかわらず、地盤沈下トラブルが起きたケースは、全体の35%もあるようです。このような原因での地盤沈下トラブルについて責任所在は、当然地盤調査を行った業者ということになるります。
地盤調査を行った業者の責任を問うためには再度地盤調査を行い、調査結果に問題があったことを証明する必要が出てきます。よって、問題解決には売主、または設計施工業者を通しての話し合いとなるでしょう。
当事者同士で冷静に話し合いなどを行うことは難しくなりますので、弁護士などの第三者の専門家に依頼をして、話し合いや請求を代理で行ってもらうのがいいでしょう。
外構部分の地盤改良をしていないことが原因の地盤沈下トラブル
基本的に住宅建設時の地盤改良は住宅が建設される部分に限定されます。そこで問題となってくるのが、地盤改良の施されていない庭や外構部分の地盤沈下です。特に建設予定地が軟弱地盤で地盤改良が必要となるケースでは、家周辺の外構をはじめとする造作物がある部分は地盤沈下が起こる確率は高くなります。
実際に家周辺の地盤沈下で外構から玄関ポーチまでに高低差が生まれて階段が必要になったり、家周辺の地下に配された上水・下水管やガス管の配管が地盤沈下に引っ張られてしまったりして、改修工事が必要になるケースが見られます。
瑕疵担保の対象として売主・設計施工業者への請求が可能
家周辺や外構部分も家と同じように地盤改良を行ってやれば地盤沈下は防げますが、家周辺まで高額な費用をかけて地盤改良する人はほとんどいないのが実情です。しかし、このケースでの地盤沈下は住宅品確法に定められている「10年間の瑕疵担保期間義務付け」の対象となるため、売主または設計施工業者が無償補修することになります。
そのため、外構部分の地盤改良をしていないことが原因の地盤沈下トラブルは、売主または設計施工業者が無償補修を請求することで対処することができます。
近隣工事の影響による地盤沈下トラブル
近隣の住宅工事などが原因で、自宅が地盤沈下してしまうというトラブルも多く見られます。特に深い掘削工事が必要となるマンション建設では、周辺に地盤沈下が発生する確率が高くなってきます。このケースでの地盤沈下の責任所在はその工事を行った工事業者となるのですが、近隣工事が原因で起こる地盤沈下は因果関係の証明が難しいのが実情です。
工事と地盤沈下の因果関係の証明ができなければ、工事業者が話に応じることはないでしょう。最近は大手業者ならば事前に土地測量を行い、工事による地盤沈下に備えた保証をしてくれるケースも見られますが、すべての工事業者が同じ対応をしているわけではありません。工事業者に原状回復を求めても「元の状態がどうだったかわからないから」と拒否されてしまう可能性も出てきます。
自宅の測量がリスク対策となるが、因果関係の証明が難しい
そのリスク対策としておすすめなのが自宅の測量です。自宅の測量を工事前に行っておけば、工事に入ってからの地盤に変化が起こったかどうかが確認でき、工事によって地盤沈下が起こった場合には証拠として提示することができます。リスク対策として、この対応策を取っておくだけの価値はあるでしょう。
とはいえ、地盤沈下トラブルが発生する前に、自宅の測量などを行っているケースは少ないとは思います。そのような場合であったとしても、原状回復などを請求できる場合もありますので、不動産に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。
地盤沈下トラブルは不動産に強い弁護士に相談!
地盤沈下トラブルは様々な原因で起きる可能性があります。原因ごとに請求先や対応も変わりますので、地盤沈下トラブルに上手く対処するためには、不動産に関連する法律の知識が必要となってきます。
最近では、初回の相談は無料で受け付けてくれる法律事務所も増えていますので、地盤沈下トラブルに巻き込まれた場合には、法律の専門家である弁護士に相談することがベストです。弁護士にはそれぞれ得意分野がありますので、不動産を専門分野として打ち出しているような、不動産に強い弁護士に相談することをおすすめします。
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