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賃貸契約で多いトラブルとは?〜契約書のチェックポイントを解説!〜

この記事で分かること

  • 入居申込み・契約から解約まで、どの場面でもトラブルが起きる可能性はある
  • 特に、原状回復や敷金返還についてはよく起こるトラブルとして有名
  • 無用なトラブルを避けるためには契約時にきちんと取り決めをしておくことが大切

賃貸契約は貸主・借主相互の信頼関係で成り立っています。借主が契約してから退去するまでお互いに不愉快な思いをしなくて済むよう、重要なことは契約時にきちんと取り決めを交わしておきましょう。

入居申込み時・賃貸契約時に起こりうるトラブル

賃貸物件を借りて気持ち良く生活を始められるかどうかは、入居申込みや、契約の締結がスムーズにいくかどうかがカギとなります。しかし、残念ながら申込や契約の段階でトラブルが発生することもありえます。それはどのようなトラブルなのでしょうか。

入居申込みに関するトラブル

不動産業者は、空き物件の契約を早く決めたいために物件を見学しに来た人に対して早く入居を決めるように迫るものです。しかし、実際に入居の申込みをするかどうかは、一度冷静になってよく考え、安易に申込みをしないことがトラブルを避ける秘訣です。

申込を撤回しようとしたら「撤回できない」と言われた

入居申込みをした後に申込みを撤回しようとしたら、不動産業者から「撤回できない」と言われることがあります。しかし、契約書に署名・押印するまでは申込みを撤回することは可能です。申込みを撤回する場合は、その旨を文書で早めに不動産業者に伝えましょう。また、別の書類に署名・押印を求められることもありますが、応じないことが大切です。

申込金を払うように言われたときは

入居申込みをするときに申込金を請求されることがありますが、申込金を支払う義務はありません。申込金は預かり金としての性格を持つもので、必ず申込者に返還されなければならないものですが、一部の業者では返還を拒まれるケースがあります。そのため、求められても支払わないほうがよいでしょう。

契約時のトラブル

入居後や退去時のトラブルは、契約時にきちんと詳細について定めておかなかったことで起こるものも少なくありません。できる限りトラブルの芽を摘んでおくためにも、お金のことや原状回復のことなど、大事なことは契約時にきちんと取り決めをしておきましょう。

契約金を事前に払うように言われたらどうする?

「契約金を契約の日よりも前に振り込まなければ契約ができない」と不動産業者から言われることがありますが、借主に初期費用を事前に支払う義務はありません。契約金は契約内容に従って支払う性格のものなので、契約する当日に持参すれば問題ないでしょう。

損害保険は不動産業者指定の保険会社に入らなければいけない?

借主には、契約の際に損害保険や火災保険などへの加入が義務付けられていることが一般的です。不動産会社に保険会社まで指定されていることは多いものの、加入する保険会社は本来契約者が自由に選択することができます。ただし、保険会社によって保障内容は異なるため、貸主の希望条件をみたすものであるかどうか加入前に確認が必要です。

ワンポイントアドバイス
何事も最初にトラブルが起きると、その後もいやな気持ちを引きずりがちです。入居の申込みをする際や実際に契約書にサインをする際には、重要なことをよく話し合った上で行うようにしましょう。

賃貸契約期間中トラブルのよくあるケース

無事契約が終わり、新生活をスタートさせられたと思っていても、契約期間中にもさまざまなトラブルが起きる可能性があります。ここでは、家賃や転貸をめぐるトラブルについて見ていきましょう。

家賃をめぐるトラブル

家賃をめぐるトラブルは非常に多くなっています。貸主・借主間でのもめごとを避けるためにも、契約時に家賃や支払い方法を明確にしておきましょう。お金の問題は信用問題になりやすいため、万が一トラブルが起こった際には真摯に対応することが大切です。

家賃を滞納したらどうなる?

家賃は貸主・借主双方が納得いく形で定め、支払い方法についても振込みなのか持参なのか等、契約時に細かく決めておきます。一回払い忘れたくらいならあまり問題になりませんが、何度も滞納するようであれば貸主から退去を命じられる可能性があります。その場合は、貸主に事情を説明して謝罪をした上で、今後はきちんと支払う旨を申し出ましょう。

家賃が実情に合わなくなってきたら増減の請求はできる?

家賃の増減請求については、法律上その土地建物の価格が上昇・下降したり、近隣の同種の土地建物の家賃と比較して不相当になったりすれば、将来に向かって家賃の額の増減を請求することができるとされています。ただし、増減が裁判所の調停などで確定するまでは、相当の家賃を支払わなければなりません。

転貸に関するトラブル

借主が借家権を第三者に譲渡・転貸できるかどうかは、家主との間で取り決めが必要です。この特約がないと、通常は譲渡・転貸は禁止されているとみなされます。第三者に転貸する場合は、必ず家主の承諾が必要です。承諾を得たときは、承諾書をとっておきましょう。

一部屋だけの転貸でもNG?

たとえば、戸建てを借りていて1部屋だけ知人に貸すことになった場合、転貸とみなされて契約解除事由となりえます。賃貸契約は貸主・借主相互の信頼関係で成り立っている者であり、借主が貸主に無断で他人に部屋を貸すことは、貸主との信頼関係を裏切る背信行為であると考えられるためです。

親戚などを一定期間同居させるのは転貸に当たる?

たとえば、自宅近くの大学に進学することになった孫を在学期間中に同居させる場合は「特段の事情がある」とみなされるため、転貸には当たらないと言えるでしょう。ただし、その孫が独立の世帯をなしていない場合に限ります。

個人事業を法人化すると無断転貸?

今まで個人事業を営んでいた事業者が法人化する場合、個人と法人で借主が別人格になってしまうため、転貸とみられることがあります。しかし、個人が法人組織になったとしてもその土地建物は実質的には同一人物が使っていることになるため、個人企業・商店なら問題ないとされています。

ワンポイントアドバイス
家賃のことも転貸のことも、貸主との信用問題に関わります。トラブルになった際には、どちらもお互いが納得いくまで話し合いをすることが大切です。

賃貸契約更新時のトラブルに注意!

契約を更新する際には、更新時の契約がどのようになるかを契約書であらかじめ確認しておきましょう。また、契約期間満了を迎えて契約を終了する場合や契約期間の途中で解約する場合は、原状回復や敷金の返還についても契約書でよく確認しておくことが大切です。

更新に関するトラブル

契約更新の際、問題なく更新ができると思っていたのに思いがけず「更新できない」と不動産業者や貸主から言われるケースがあります。それはどのような場合なのでしょうか。

契約書に「更新はしない」との特約があった場合

大抵の賃貸契約は更新の生じる「普通借家契約」ですが、法律上、正当事由のある場合でなければ貸主側から更新の拒絶や解約の申し入れができないようになっています。そのため、契約書に「更新はしない」との特約があっても無効です。

子どもの生活音がうるさいから更新できないと言われたら?

子どもの出す騒音の程度が契約解除の原因になるか否かが、更新できるかどうかの判断の分かれ目になります。契約解除の原因とまではならなければ契約を更新してそのまま住み続けることができると考えられますが、騒音防止の対策は必要となるでしょう。

ワンポイントアドバイス
更新については、借主保護の観点からよほどのことがない限り契約更新はなされるようになっています。だからと言って、居住に関するマナーは守る必要があります。更新時のトラブルがあれば、弁護士に相談するのも一つの策です。

賃貸契約解約時のトラブルにも注意!

また、契約期間満了を迎えて契約を終了する場合や契約期間の途中で解約する場合は、原状回復や敷金の返還についても契約書でよく確認しておくことが大切です。

原状回復に関するトラブル

退去時の原状回復をめぐるトラブルは非常に多く、2016年に全国の消費生活センターと国民生活センターに寄せられた相談の件数は1万件近くにものぼっています。貸主・借主がどこまで原状回復にかかる費用を負担するかがポイントです。

リフォームや修繕費用は借主の全額負担になる?

国交省のガイドラインによると、原状回復の際に借主が負担すべきなのは「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」のみであるとされています。すなわち、通常使用しているときに自然に劣化・摩耗したものなどについては、貸主の負担となります。

「敷金の一部を原状回復費用として償却」の特約は有効?

敷金の一部を原状回復費用とすることは一般的には有効であると考えられます。具体的にどれくらいの費用を差し引かれるかについては、入居時の物件の状態や借主の使用状況にもよって異なります。納得いかない場合は不動産に強い弁護士などに相談してみましょう。

賃貸物件を借りている人にとって、その物件は生活や仕事の拠点となる大事な場所です。そこでトラブルが起きると、落ち着いて生活や仕事ができなくなり、精神衛生上よくありません。何かもめごとが発生した時には、不動産に強い弁護士に相談しながら迅速な解決を目指すようにしましょう。

ワンポイントアドバイス
賃貸契約を解約した際、原状回復についてはすべての責任を借主が負う必要はありませんが、何をどこまで借主が負担するのかを事前に確認しておくことが大切です。行き過ぎた原状回復の請求があったときは、自己判断で解決しようとせず、弁護士に相談した方がよいでしょう。
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