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出会い頭の交通事故の8つの原因や特徴、過失割合を徹底解説!

この記事で分かること

  • 出会い頭での交通事故は、信号機のない交差点で多発している
  • 出会い頭での交通事故の原因には、「認知ミス・判断ミス・操作ミス」など人的要因あり
  • 出会い頭での交通事故は、安全確認の徹底等で予防できる
  • 出会い頭での交通事故では、被害者でも過失割合を取られる可能性あり
  • 出会い頭での交通事故でお悩みの場合には、弁護士に相談を!

出会い頭での交通事故は、信号機のない交差点で多発しています。その原因には、人的要因が多く関与していますが、安全確認の徹底等で、出会い頭での交通事故を防ぐことができます。しかし、もし出会い頭での交通事故に遭った場合には、被害者であっても過失割合を取られる可能性もあるため、お悩みの場合は弁護士に相談しましょう。

出会い頭事故とは?交通事故は安全確認で予防を!

出会い頭の交通事故とは、別々の方向から進入してきた車両や人が衝突する事故を指します。

出会い頭での交通事故の大半は交差点で起きており、車両相互の交通事故のなかでは追突に次いで発生件数が多いです。

警察庁交通局が作成した「平成29年中の交通事故の発生状況」という資料では(※)、出会い頭での交通事故は、平成29年中に115,704件も起きており、これは車両相互の交通事故の28%を占めます。

本記事では、出会い頭の交通事故のなかでも、自動車対自動車の事故にフォーカスして、事故の原因と特徴、過失割合についてご説明します。これらをよく知ったうえで、安全確認の徹底などの対策を講じ、交通事故を予防しましょう。

(※)本記事内に出てくるデータは、警察庁交通局による「平成29年中の交通事故の発生状況」を基にしています。
参照元:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/H29zennjiko.pdf

出会い頭での交通事故の原因

出会い頭での交通事故は、その原因を、「人的要因」と「道路環境要因」の二つに分けることができます。

人的要因

まず人的要因ですが、これには、

  • 認知ミス
  • 判断ミス
  • 操作ミス

の3つがあります。

認知ミス

自動車の運転に必要な「認知」とは、安全に通行するために、周囲の必要な物を見て認識することを言います。

しかし、

  • 交差する相手車両を見ない
  • 交差する相手車両以外の車両に気がそれる
  • 同乗者と雑談する
  • カーブミラーを見たが相手車両に気づかない

などの認知ミスを犯すと、出合い頭での交通事故を引き起こしてしまいます。

判断ミス

自動車の運転に必要な「判断」とは、認知した物の行動を予測し、自分が取るべき行動を決定することを言います。

しかし、

  • 認知した相手車両が停止するはずだと思いこむ
  • 優先道路ではないのに、自分が優先道路にいると勘違いする

などの判断ミスを犯すと、出会い頭での交通事故につながります。

操作ミス

自動車の運転に必要な「操作」とは、判断に従い、ハンドル等を正しく操作することを言います。

しかし、

  • 手元が狂う
  • 体が動かない

などの操作ミスを犯すと、出会い頭での事故につながります。

道路環境要因

道路環境要因には、

  • 隣接する建物、フェンス、塀などにより道路の見通しが悪い
  • 路面標示や道路標識が不足している
  • カーブミラーの破損など交通安全施設の不備がある

などの事情があります。

これらは、その道路を管轄する国や自治体(道路管理者と言います。国管理の国道であれば国土交通省の国道事務所、県管理の国道または県道であれば県庁、市町村道であれば市役所、町村役場を指します)に交通安全施設の設置や修理などの要望を出すことで、改善される可能性があります。

しかし、必ずしも要望が通るとは限りませんし、そもそも交通安全施設は、あくまでも交通事故予防の補助でしかありません。

つまり、交通事故に遭わないようにするには、最終的な安全確認は自分自身の目で行うことが重要なのです。

ワンポイントアドバイス
出会い頭での交通事故には、人的要因と道路環境要因の2つがありますが、重要なのは、安全確認の徹底です。自分の信号が青だから、自分の走行道路が優先だからと過信せず、しっかりと安全確認を行いましょう。また、見通しの悪い道路では一層の注意が必要です。

出会い頭での交通事故の特徴

道路形状別の出会い頭での交通事故件数

出会い頭での交通事故は、交差点内の発生が82%

出会い頭での交通事故は、冒頭でも述べたとおり平成29年中に115,704件、起こっています。その内訳は、

  • 交差点98,650件(交差点内95,207件、環状交差点付近1件、交差点付近3,442件)
  • 単路15,567件(カーブ・屈折361件、一般単路15,182件、トンネル9件、橋15件)
  • 踏切5件
  • その他の場所1,482件

となっており、交差点内の事故が約82%を占めています。

交差点内の交通事故の分類

もっとも多い交差点内の事故95,207件を細かく分類すると、

  • 環状交差点内5件(※)
  • その他信号機あり19,271件
  • その他信号機なし75,931件

となっており、その他信号機なしの交差点は約80%にも上り、おおかたの予想通り高い割合を占めています。

※環状交差点とは、車両の通行部分が環状(ドーナツ状)の形になっていて、車両が右回り(時計回り)に通行することが指定されている交差点を言います。

ワンポイントアドバイス
信号機のない交差点では、特に注意して運転しましょう。例えば一時停止の標示がある交差点では、一時停止を徹底し、一時停止がない交差点でも減速をすることが大切です。

出会い頭での交通事故の過失割合は?

交通事故における過失割合とは、事故原因や事故による損害の発生に対する、加害者と被害者の責任の割合のことです。

過失割合によって損害賠償額が減額される

被害者にも過失がある場合、その過失割合にしたがって、受けられる損害賠償額が減額されます。

例えば、損害額が1,000万円で、加害者の過失が70%、被害者の過失が30%となる場合、被害者の受け取れる損害賠償額は、
1,000万円-(100%-30%)=700万円
となります。

この例では、本来の損害額1,000万円から300万円も減額された700万円の損害賠償しか受け取れません。

このように、もともとの損害額が大きいほど、過失割合の影響は大きく、受け取れる損害賠償額に数百万円、場合によっては数千万円の差が生じてしまうのです。

以下では、出会い頭での交通事故の中から、代表的な例を取り上げて、過失割合を見ていきます。

信号機のある十字路交差点での出会い頭事故

基本過失

信号機のある十字路交差点で、直進車同士が出会い頭に衝突した場合の基本過失割合は、
A車(青信号で直進)→0%
B車(赤信号で直進)→100%
です。

※進路前方が渋滞していたために停止していた車両や、交差する道路等を走行する車両の通過を待つために停止していた車両等に衝突した場合は除きます。

修正要素

基本過失を修正する要素としては、下記のものが挙げられます。

(1)A車に何らかの過失あり→A車の過失割合+10%

何らかの過失とは、A車の、「通常の前方に対する安全不確認またはB車発見後の回避措置懈怠(怠り)」を指します。

(2)B車の明らかな先入→A車の過失割合+10%

明らかな先入とは、B車が「交差点進入時にただちに制動または方向転換の措置をとれば容易に衝突を回避することができる場合」を指します。

(3)A車の著しい過失→A車の過失割合+10%

著しい過失とは、わき見運転等著しい前方不注視、著しいハンドル・ブレーキ操作不適切、携帯電話等の無線通話装置を通話のために使用したり、画像を注視しながら運転すること、おおむね時速15km以上30km未満の速度違反、酒気帯び運転等を指します。

(4)A車の重過失→A車の過失割合+20%

重過失とは、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、おおむね時速30km以上の速度違反(高速道路を除く)、過労、病気および薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある場合等を指します。

(5)B車の著しい過失→A車の過失割合-5%

著しい過失とは、(3)に同じです。

(6)B車の重過失→A車の過失割合-10%

重過失とは、(4)に同じです。

信号機のない十字路交差点での出会い頭事故

基本過失

信号機のない十字路交差点で、直進車同士が出会い頭に衝突した場合の基本過失割合は、
左方A車(AB同程度の速度)→40%
右方B車(AB同程度の速度)→60%
です。

修正要素

基本過失を修正する要素としては、下記のものが挙げられます。

(1)A車の著しい過失→A車の過失割合+10%

著しい過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(3)』」に同じです。それに加えて、左方車であるA車が幅員の余裕があるにも関わらず道路右側部分を通行していたことが事故の原因となっているような場合の左方A車や、一方の車両の先入が明らかな場合の他方の車両にも、著しい過失があると言えます。

(3)A車の重過失→A車の過失割合+20%

重過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(4)』」に同じです。

(4)見とおしがきく交差点→A車の過失割合-10%

見とおしがきく交差点とは、交差点進入直前において沿道の建物、駐車車両など道路の状況等により、車両が進行している道路と左右に交差する道路の見とおしがきかない交差点を言います。左右両方の見とおしがきかない場合のほか、右か左の一方の見とおしがきかない場合も含まれます。

(5)夜間→A車の過失割合-5%
(6)B車の著しい過失→A車の過失割合-10%

著しい過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(3)』」に同じです。

(7)B車の重過失→A車両の過失割合-20%

重過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(4)』」に同じです。

一方に一時停止の規制がある場合の出会い頭事故

基本過失

一方に一時停止の規制がある交差点で、直進車同士が出会い頭に衝突した場合の基本過失割合は、
一時停止規制なしA車(AB同程度の速度)→20%
一時停止規制ありB車(AB同程度の速度)→80%
です。

修正要素

基本過失を修正する要素としては、下記のものが挙げられます。

(1)A車の著しい過失→A車の過失割合+10%

著しい過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(3)』」に同じです。

(2)A車の重過失→A車の過失割合+20%

重過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(4)』」に同じです。

(3)B車の著しい過失→A車の過失割合-10%

著しい過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(3)』」に同じです。

(4)B車の重過失→A車の過失割合-20%

重過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(4)』」に同じです。

一方が優先道路である場合の出会い頭事故

基本過失

一方が優先道路(※)である場合の交差点で、直進車同士が出会い頭に衝突した場合の基本過失割合は、
優先車(優先道路走行中)A車→10%
劣後車(非優先道路走行中)B車→90%
です。

※優先道路とは、道路標識等により優先道路として指定されているものおよび、当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線(センターライン)または車両通行帯が設けられている道路を言います。

修正要素

(1)B車の明らかな先入→A車の過失割合+10%

明らかな先入とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(2)』」に同じです。

(2)A車の著しい過失→A車の過失割合+15%

著しい過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(3)』」に同じです。

(3)A車の重過失→A車の過失割合+25%

重過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(4)』」に同じです。

(4)B車の著しい過失→A車の過失割合-10%

著しい過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(3)』に同じです。

(5)B車の重過失→A車の過失割合-15%

重過失とは、「信号機のある十字路交差点での出会い頭事故『修正要素(4)』に同じです。

ワンポイントアドバイス
本章で述べた基本過失・修正要素は、東京地方裁判所の交通事故専門裁判官が書いた書籍、「別冊判例タイムズ:民事交通事故訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)」(判例タイムズ社)より抜粋しています。
この過失割合は、損害保険会社の示談交渉や、交通事故訴訟における裁判官の判断で活用されています。ただし、交通事故は個々の事案ごとに態様が異なるため、詳細は弁護士に尋ねることをオススメします。

出会い頭の事故まとめ

 

出会い頭での交通事故には、人的要因と道路環境要因とがあります。しかし、安全確認の徹底等の対策を講じることで、予防することができます。

例えば、出会い頭での交通事故の発生場所で最も多い、信号機のない交差点では、通常以上に注意を払って走行し、減速などをした上で、しっかり安全確認をしましょう。

しかし、いくら気をつけていても、交通事故をゼロにするのは難しいもの。もし、出会い頭での交通事故の被害に遭ってしまったら、被害者にも過失ありと判断される場合が多いです。そうした場合は、迷わず弁護士に相談しましょう。

弁護士は交通事故の専門家

交通事故に遭って今後どうしたらいいかわからない、保険会社とのやり取りが上手くいかない、訴訟も検討しているなどでお悩みの場合は、一度、弁護士への相談することをオススメします。

弁護士は、交通事故の示談交渉・訴訟の専門家です。タフな交渉力と、確かな法的知識で、被害者に代わって保険会社と対峙してくれます。

交通事故に関しては、無料で法律相談を受けている弁護士も多く、着手金ゼロの成果報酬型をとっている場合もあります。ぜひ一度、弁護士に相談してみましょう!

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