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子供が交通事故に遭った場合の慰謝料や過失割合は?
この記事で分かること
- 子供が交通事故に遭った場合、過失割合は減算されます。
- 子供が交通事故に遭った場合、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の算出方法・相場は大人と同じですが、死亡慰謝料は同じもしくはやや低い設定になっています。
- 子供が交通事故にあった場合、弁護士に依頼するのが得策です。
子供が交通事故に遭った場合、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の算出方法・相場は大人と同じですが、過失割合は減算され、死亡慰謝料も低い設定になります。また、妊婦が事故に遭った場合、生きて産まれた場合に限り胎児の慰謝料請求が可能です。流産・中絶した場合は母親の慰謝料増額で調整することとなります。
目次[非表示]
子供の交通事故で過失割合や慰謝料などに違いはあるか
交通事故に遭うのは成人だけとは限りません。子供や赤ん坊が事故に巻き込まれることもあります。その場合、過失割合の算定には影響するのでしょうか。またもちろん賠償支払いを受けられますが、額などにおいて大人との取り扱いに何か差はあるのでしょうか。
過失割合は減算される
交通事故において最も重要となるポイント、それが賠償額にダイレクトに影響してくる「過失割合」でしょう。そこでまずは子供が交通事故に遭った場合過失割合はどうなるのかについて見ていきましょう。
子供は減算される
子供は運転できないので、事故に遭うとすれば歩行中となります。大人なら車や自転車の往来に気を付けなければならないことを理解しています。しかし子供に大人と同じ注意義務を課すわけにはいきません。そこで子供が事故にあった場合、過失割合は減算されるのです。
注意能力や衝突を避ける力が劣るため
事故に遭った歩行者が「児童・高齢者」「幼児・身体障害者など」である場合、車に対する危険を見通し注意したり、、機敏な動きで衝突を避けたりする能力が落ちます。
特に幼児の場合自動車に対して注意する必要があると認識する力(事理弁識能力)が備わっていないとみなされます。なお実務上は、過失割合が5%~20%程度減算されます
慰謝料の違いは
次に慰謝料についてです。そもそも慰謝料とは精神的苦痛に対して発生する賠償金です。しかし、子供や赤ん坊では痛みや苦しさを訴えることができない場合もあります。ではそのような場合にも、慰謝料支払いを受けることはできるのでしょうか。
結論から言うと答えは“Yes”で、子供や赤ん坊でも慰謝料支払いを受けられます。これは、痛みや苦しさは年齢や性別に関係なく発生するものであるからです。
子供が交通事故にあった場合の慰謝料
交通事故の慰謝料は大きく分けて「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つがあります。大人の場合と相場は異なるのかなど、子供の事故特有のそれぞれの慰謝料について順番に解説していきます。
入通院慰謝料は同じ
まずは入院慰謝料についてです。入通院慰謝料の計算方法は基本的に大人と同じですが、子供の場合通院に付き添いが必要になるので付き添い費も請求できる場合があります。
算出方法も相場も大人と差はない
入院慰謝料は年齢や性別に関係なく、入院した日数を基準に算出されます。従って子供の場合でも相場は大人と同じです。次に通院慰謝料ですが、これについても通院した日数で計算するので大人の場合と同じです。子供であるために減算されるようなことはありません。
それどころか、賠償金をプラスオンで受け取れることもあります。
受診するには保険証の提示や受付、問診票の書類の記入などが求められますが、子供だけでそれらのすべてを抜けなくするのは難しい場合があります。そのため親の付き添いが必要であると認められおり付き添い費も請求できるのです。
相場は一日3000円ですが、病院に同行するために仕事を休んだケースで10000円の付き添い費が認められたケースもあります。
後遺障害慰謝料も同じ
次に、後遺障害慰謝料です。交通事故により後遺障害が残り後遺障害等級認定を得られればその等級に応じた慰謝料を請求することができます。
これに関しても計算方法は基本的に大人と同じですが、“逸失利益”については子供の方が高くなる傾向にあります。
逸失利益は高くなる
交通事故で後遺障害が残れば将来利益の損失“逸失利益”を請求できます。
逸失利益は基礎収入や就労可能年数などを考慮して算出されます。基礎収入は大人の場合事故前の収入をベースに計算しますが、子供や赤ん坊は働いていないので収入はありません。そこで年齢や性別、職種や学歴、勤続年数など労働者の属性別の賃金の統計調査をまとめた “賃金センサス”における平均賃金を基に16歳から67歳までを就労可能年数として算出することになります。若ければ若いほど就労可能年数が多いことになるので、子供の逸失利益は大人のそれより高くなる傾向にあります。
死亡慰謝料は大人と同じかやや低い
死亡慰謝料についてはどうでしょうか。
死亡慰謝料は、年齢だけでなく家族の扶養など家庭の中で当人が担っていた役割が額に反映されます。
子を亡くした家族の苦しみは筆舌に尽くしがたいものがありますが、この点子供は家族の扶養の役目は果たしていないので独身の男女と同程度、もしくはやや低い相場に設定されています。
交通事故での胎児に対する慰謝料は
妊婦が交通事故に遭うことも考えられます。特に妊娠中は通常時と比較して機敏な動きができません。ではこの場合、胎児に対する慰謝料請求は可能なのでしょうか。
胎児に対する慰謝料請求はできる場合とできない場合がある
まだ生まれていない場合には、慰謝料請求できる場合とできない場合があります。では、その判断基準はどうなっているのでしょうか。
生きて産まれた場合は請求可能
民法721条に「胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。」との規定があり、胎児に対する慰謝料も発生することとなります。
一方民法3条では「私権の享有は出生に始まる」とされており、本来出生前の赤ん坊には私権はありません。けれども例外的に損害賠償請求や相続における権利については認められているのです。
なぜならば、仮にこうした権利を出生前の赤ん坊には認めないとすると、母親の胎内にいるか外にいるかの違い、すなわちわずかなタイミングの差だけで不公平が生じる場面がでてくるためです。
例えば、胎内にいるときに父親が交通事故で死亡した場合、わずかでも出生が父親の死より遅ければ赤ん坊は“父親の死亡”に対する賠償請求権を取得できないことになるわけです。
しかし、死産すなわちおなかの中で胎児が死亡した場合には慰謝料請求はできません。
赤ん坊に後遺障害が残った場合は揉めやすい
生きて産まれてきた場合に特にトラブルになり易いのが、後遺障害慰謝料についてです。
赤ん坊の後遺障害と事故との相当因果関係の立証が困難
赤ん坊に奇形や神経麻痺など後遺障害が残った場合、後遺障害慰謝料を請求できますが、問題は事故との因果関係の有無を証明することが難しい点です。
事故後すぐに生まれた場合には比較的因果関係の立証は容易ですが、事故からしばらく経って生まれた場合、障害との因果関係を証明するのは簡単ではありません。
医学的な資料をそろえることが大切
赤ん坊の後遺障害と事故との相当因果関係を立証するには、医学的な資料を集めることが大切です。
事故の影響で障害が生じたことを医学的に証明できれば、加害者に有無を言わせず後遺障害慰謝料を請求可能だからです。
流産・中絶した場合は
一方、交通事故によって流産したり、中絶を余儀なくされるケースがあります。この場合はどうなるのでしょうか。
胎児の慰謝料請求はできないが母親の慰謝料増額で調整する
交通事故でケガを負った場合に腹部レントゲンを撮らなければならないケースがあります。しかしレントゲンは胎児に悪影響を及ぼし得ます。その結果、流産したり中絶の選択肢を取らざるを得ないこともしばしばあります。
子供の交通事故での慰謝料について知っておくべきこと
子どもが交通事故を起こしたときの、慰謝料の算出方法や大人との相場の違いについては解説した通りですが、入通院慰謝料についても押さえておくべき点があります。
キチンと入通院させることが大切
子供というのは概して病院を嫌がる、また怖がる傾向にあります。そのため入院になった場合も、早く退院したがったり通院をぐずったりすることも少なくありません。
けれどもお伝えの通り入通院院慰謝料は実際に入通院した日数を基準に算出されます。従って、子供には回復するまでは入院させ、通院もきちんとさせることが大切と言えます。
しかし必要以上の通院はNG
ただ、必要以上の通院や治療はご法度です。と言うのも、交通事故の入通院慰謝料および治療費は、事故との“相当因果関係”が認められる部分のみしか支払われないためです。
つまり、怪我は快癒しているにもかかわらず賠償目的で通院をしてもその分の慰謝料や治療費は支払われないわけです。
入院に関しては退院時期を早めることはできても患者の意向で入院期間を延ばすことはできませんが、通院に関しては不必要と判断された分については慰謝料も治療費も請求できないことを覚えておきましょう。
弁護士に依頼するのが得策
子供が交通事故にあった場合、基本は大人と同じ扱いになります。しかし妊娠時の事故で後遺障害が残った場合など、法的知識に乏しい素人が独力で対処するのが困難なケースがあります。ですから弁護士に依頼するのが得策です。
賠償金の額を最大限に引き上げられる
一般に慰謝料など損害賠償の支払い基準には「自賠責保険基準」と「弁護士基準(裁判基準)」、「任意保険基準」の3つがあります。
そしてその額は通常、自賠責基準>任意保険基準>弁護士基準となります。つまり弁護士に依頼した場合が最も多額の賠償金を得られることとなるわけです。
また妊娠時の事故により生まれてきた赤ん坊に後遺障害が残った場合など、高度な専門知識が要求される場面でも弁護士なら適切な対応ができます。
ただでさえ精神的に参っている状況の中、示談交渉をするのは辛いものです。
その点弁護士に依頼すれば、交渉も代行してくれますし、何より被害者の味方になってくれます。
子供の交通事故について、親が知識を備えておこう
交通事故はいつ何時起こるか分かりません。特に子供は大人が予想もしないような動きをするので事故に遭いやすいと言えます。我が子が事故に遭ったともなれば冷静ではいられないでしょう。いざと言うときに落ち着いて適切な対応ができるよう、親が知識を身に着けておくことが大切です。
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