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ひき逃げの定義と罪状~ひき逃げ事件に対応するための基礎知識
この記事で分かること
- ひき逃げとは人身事故を起こしたにもかかわらず救護義務を果たさず逃亡する行為です。
- ひき逃げをすると救護義務違反や危険防止措置違反、事故報告義務違反、現場に留まる義務違反などに問われます。
- ひき逃げをしてしまった場合は自首するのが賢明です。
ひき逃げをすると救護義務違反や危険防止措置違反、事故報告義務違反、現場に留まる義務違反などに問われます。ひき逃げをしてしまった場合は、速やかに自首するのが賢明です。また、ひき逃げ被害者であれば、加害者両の情報の記録・目撃者の連絡先を聞くことなどが大切です。ひき逃げに巻き込まれたら、まず交通事故に強い弁護士に相談しましょう。
目次[非表示]
ひき逃げとは何か
交通事故にも様々なケースがありますが、中でもひき逃げは極めて悪質で重罪になります。そしてひき逃げに関しては前もって基本的な知識を持っているのといないのとではいざ当事者となった時の対応に大きな違いを生みます。そこではじめに、ひき逃げの定義や罪状など、基本的な内容を説明します。
ひき逃げの定義
ひき逃げとは、言うまでもなく人身事故を起こしたのにもかかわらず救護措置をせずそのまま現場から立ち去る行為です。ひき逃げは読んで字のごとく“轢いて逃げる”行為ですが、物件損害にとどまる事故の場合はひき逃げとは呼びません。
物損事故を起こして逃亡した場合は「当て逃げ」になります。一般的に“ひき逃げ”と言うと車vs歩行者や車vs自転車の事故で車が逃走するケースを連想しがちですが、車同士の人身事故でも逃走すればひき逃げに当たります。加害者側がバイクあってもひき逃げです。
ひき逃げの検挙数は減っているがなくならないのが現状
ひき逃げの取り締まりは年々強化されており、検挙数は減っています。しかし未だに年間1万件ほど発生していてまだまだなくならないのが現状と言えます。
ひき逃げの罪状は
気になるひき逃げの罪状は当然重いのですが、量刑は被害者のケガの程度や事故時の運転者の状況などによっても異なります。
ひき逃げそのものは救護義務違反や危険防止措置違反、事故報告義務違反、現場に留まる義務違反に問われることになるのですが、被害者が怪我をしている場合重い罪に問われます。
負傷者の救護と危険防止の措置違反
5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
事故報告の義務等違反
3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
現場に留まる義務違反
5万円以下の罰金
もちろん死亡事故ともなればより一層重罪です。具体的には以下の通りです。
過失致死傷罪
7年以下の懲役もしくは禁錮 又は100万円以下の罰金
危険運転致死傷罪
致傷事故の場合1月以上15年以下の懲役
致傷事故の場合1年以上20年以下の懲役
飲酒ひき逃げや無免許ひき逃げはより重罪
さらに飲酒運転が加わった場合、極めて悪質とみなされ、相応の処分が下されます。具体的には飲酒ひき逃げは、上記罪の内の複数の罪に問われる可能性があります。
ひき逃げ事件加害者側がとるべき初期対応・注意点
ではひき逃げ事件を起こしてしまった場合、加害者がまずとるべきはどのような対応なのでしょうか。
出頭する
ひき逃げの検挙率は重傷事故で約60%、死亡事故で95%となっています。しかしこの値は集計時点のものであり、捜査中の事件は母数に含んでいません。
ですから実際はもっと高い確率で捕まると言えます。従ってひき逃げをしてしまった場合、最善の策は警察に自首することなのです。
自首すれば減刑される可能性がある
もちろんひき逃げは許されざる行為ですが、仮にひき逃げをしてしまっても、自首すればそのこと自体でいくらかは量刑が軽くなります。
一方警察の捜査によって逮捕された場合、減刑はまずありえないでしょう。それゆえ結局は自首するのが賢明です。
弁護士と共に出頭することが大切
自首するときに重要なのは、弁護士と共に出向くことです。弁護士と一緒に出頭することでその場での逮捕を避けることや、不利な取り調べを受けないよう対策してもらうことも可能です。
弁護士に相談する
ひき逃げ事件は通常公判手続きを経て、加害者には懲役刑が科されます。
けれども不起訴処分になる可能性や執行猶予を獲得できる可能性もあり、そのためには弁護士の力が必要です。
こうした点からも、ひき逃げをしてしまったら弁護士に相談するのが得策と言えるわけです。
示談成立の可能性が高まる
交通事故の刑事事件はそのほとんどが略式手続きで進められるものの、ひき逃げを含む悪質なケースでは公判手続きがとられます。
とは言え、ひき逃げでも不起訴処分になる可能性や執行猶予を獲得できる可能性はあります。
例えば被害者が軽傷で済んだケースです。この場合、起訴される前に被害者との示談が成立していれば起訴は免れる可能性があります。
しかしひき逃げ事件では被害者側が憤慨するケースが多く示談を成立させるのは素人には難しいですし、そもそも被害者とコンタクトをとることすらできないでしょう。そこで、弁護士に相談することがすすめられるのです。
事故の不可避性を立証できる可能性が高まる
また、被害者に著しい過失があった場合も減刑されます。
例えば被害者が急な飛び出しをした場合など加害者側が注意していても事故は避けられなかったと判断されるケースでは、5年以下の懲役または50万以下の罰金となります。
この場合、事故時の道路状況の再現や目撃情報の収集などで事故の不可避性を立証しなければなりません。そうした作業は素人では困難なため、弁護士に相談すべきなのです。
ひき逃げの被害者がとるべき初期対応・注意点
前述の通り、ひき逃げ事案はまだまだなくならないのが現状です。某元アイドルグループの元メンバーが起こした飲酒ひき逃げ事件は記憶に新しいでしょう。
このケースでは加害者は出頭しましたが、ひき逃げ事件では自首することなくそのまま逃げ続けるケースも少なくありません。
ではひき逃げに遭った人はどういった行動をとればよいのでしょうか。初期対応や注意点を解説していきます。
ひき逃げ被害者がとるべき初期対応や注意点は
言わずもがな、交通事故による怪我の治療費や車両の修理代などの賠償請求先は加害者となります。しかしひき逃げの場合、加害者はその場から去っています。ではどうすればよいのでしょうか。ポイントと共に解説します。
相手方の車のナンバーや特徴を記録
ひき逃げに遭った場合、第一に相手方車両の特徴やナンバーを覚えるよう努めましょう。ナンバーの方を記憶できれば良いですが、その場では覚えられてもすぐに忘れてしまう可能性があります。
ですからメモをとる、それができない場合ナンバーを声に出し携帯電話の録音機能で録音するとよいでしょう。
あるいは周囲に目撃者を探し、連絡先を聞いておくだけでも後々加害者の特定に至る可能性がぐんと高まります。それが済んだら警察を呼びましょう。
なるべく早く受診する
そして病院に行くことも大切です。この時のポイントはなるたけ早く受診することです。
と言うのも、事故から受診までの期間が空いてしまうと怪我と事故との因果関係が立証できなくなるおそれがあるのです。
つまり、交通事故における治療費や入通院費などは事故と相当因果関係にあると認められる部分のみ請求できるところ、事故からの期間がひらけばひらくほど因果関係を証明するのが難しくなり、賠償支払いを受けられなくなる可能性が高くなります。
弁護士に相談するのが得策
加害者が不明なひき逃げでは、被害者自身による独力での対応が極めて困難です。
特に被害者側が軽傷で済んだ場合には警察としても、どうしても捜査への力の入れ具合が弱くなってしまいます。そこで、弁護士に依頼するのが大切になります。
賠償額も引き上げ可能
交通事故の賠償金の支払い基準には「自賠責保険基準」と「弁護士基準(裁判基準)」、「任意保険基準」があります。
そしてその額は通常、自賠責基準>任意保険基準>弁護士基準となります。つまり弁護士に依頼した場合が最も多額の賠償金を得られるのです。
後遺障害等級認定も得やすくなる
また交通事故で後遺障害が残った場合、後遺障害等級認定を得られれば等級に応じた慰謝料を獲得することができます。しかし後遺障害等級は最も低い14級でさえなかなか獲得できないものなのです。
その点弁護士に依頼すれば、獲得できる可能性が高まります。
ひき逃げに巻き込まれたらひとまず弁護士に相談を
ひき逃げをしてしまったら十中八九冷静ではいられないでしょう。精神不安定な状態で交渉に挑めば、必要以上の賠償支払いをする羽目にもなり兼ねません。
また、理不尽な被害に心身共に傷ついている被害者にとっても、相手方の保険会社と交渉するのは精神的に辛いものがあります。
交通事故、特にひき逃げでは個人での交渉は多くの場合良い結果を生みません。
ですから、ひき逃げでは加害者も被害者も弁護士に依頼するのがよいと言えます。
ポイントは交通事故に強い弁護士に依頼すること
ただし、交通事故、殊ひき逃げは高い専門知識を要する分野です。いくら他の分野に強くても交通事故案件の取り扱い実績が少ない事務所だと、被害者の望むような結果が得られない可能性があります。
それゆえ弁護士ならどこの事務所でもよいわけではなく、交通事故に強い事務所に依頼する必要があるのです。
交通事故事案に強い弁護士を見つけるには
しかし、日弁連の定めた規定で、専門の掲示は控えるべきとされているので広告から交通事故に強いかどうかを判断することはできません。では、交通事故に強い弁護士を見つけるにはどうしたらよいのでしょうか。
見るべきポイント
見るべきポイントとしてはまず交通事故の解決数・実績です。交通事故の実績がない場合、相手との示談交渉や後遺障害等級の獲得もうまくいかない可能性があるのです。
そんなときでも淡々と事務的に話を進めるのではなく、依頼人の話を傾聴してくれる弁護士を選ぶようにしましょう。
交通事故でひき逃げに巻き込まれないように、事前準備が大切
交通事故を予測することはできませんし、ほとんどの場合加害者も故意に事故を起こしているわけではありません。いざという時に適切な対応をとれるよう事前に基礎知識を備えておくことや、証拠を残すためにドライブレコーダーを装着しておくことが大切です。万が一、ひき逃げに巻き込まれてしまったら、速やかに弁護士に相談することを忘れないでください。
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
- 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
- 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
- 適正な後遺障害認定を受けたい
- 交通事故の加害者が許せない