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労働問題の解決方法とは?従業員とのトラブルに備えて知っておこう

この記事で分かること

  • 労働問題の解決方法は、話し合う方法と裁判所を利用する方法がある
  • 問題の種類に応じて、ふさわしい方法で解決の糸口を探ることが大切
  • 労働問題の未然防止や解決には、弁護士を利用するとさまざまなメリットがある

ここ数年で労働問題がメディアで取り上げられることが増えてきました。それに伴い、会社側も、自衛策として労働問題への対処方法を知っておくことが大切です。日頃から弁護士に相談することで、問題を未然に防ぐこともできるでしょう。

労働問題の解決方法について知っておこう

残業代の未払い請求・パワハラ・セクハラなど、企業活動をする上で従業員を雇用しているとさまざまな労働問題が発生することがあります。最近では、インターネットで知識を得た労働者が、会社に対して権利を主張してくるケースも珍しくありません。そのような場合、どのように解決を図ればよいのでしょうか。

労働問題の解決方法の種類とは

労働問題の解決を図るには、次の5つの方法があります。基本的に、相手方と直接話し合って問題解決を目指しますが、話し合いがうまくいかない場合は裁判所を利用して解決への道を探ることになります。裁判となると時間も費用もかかることから、できる限り話し合いで解決するのがベストです。

  • 裁判外での示談・和解
  • 団体交渉
  • 労働審判
  • 仮処分
  • 裁判

裁判外での示談・和解

解雇した従業員から突然、復職や未払賃金を要求する内容証明郵便が届くことがあります。そのようなときはまず、当事者同士で話し合って和解を目指すケースが多いですが、初動の対応を誤るとあとで問題が大きくなる可能性があるため、最初に会社側がどのように対処するかが非常に大切になります。

団体交渉

労働者が不当な扱いを受けたとして外部の労働組合に加入して団体交渉を申し入れてきた場合、何も知らないでいると会社側が不利な立場に立たされることもあります。そのため、弁護士などの専門家に指南を受けながら申入書への回答や団体交渉のスケジュール調整などの準備を進めることが必要です。

労働審判

労働審判とは、裁判官と、労働組合の担当者や会社の経営者・人事担当者が担当する労働審判員2名の計3名から成る労働審判委員会が審理を行い、妥当な解決方法を探る方法です。こちらで得た労働審判は裁判の判決と同等の効力を持ちますが、およそ70~80日で決着がつくため、裁判所から呼出状が届き次第、早急に準備を始めなければなりません。

仮処分

仮処分は和解と訴訟の中間のような手続きです。裁判となれば判決が出るまで年単位の月日を要しますが、裁判所に仮処分を申立てることで仮処分命令を出してもらうことができ、早く解決を図ることが可能になります。仮処分は特に、労働者の解雇に関する紛争解決によく使われる方法です。

裁判

労働審判の結果に対して異議申し立てがあった場合や仮処分でも解決ができない場合は、最終的に裁判で争うことになります。労働審判や仮処分と違って、裁判は1年以上かかることも珍しくありません。裁判では勝訴を目指すほか、和解に持ち込もうとすることもあります。

ワンポイントアドバイス
労働問題の解決には大きく分けて、話し合いによる方法と、裁判所を利用する方法の2つがあります。まずは話し合いで解決を図り、話し合いでどうにもならなければ裁判所で手続きをすることになります。

労働問題の解決方法例とは

では、実際に具体的なケースをあげて労働問題を解決する方法について見ていきましょう。それぞれのケースではどのように問題を解決していけばよいのでしょうか。

労働問題の解決方法①未払いの残業代請求

近年、「コストカットのため」などと称して、従業員が残業した分の残業代をきちんと支払わない会社が増えています。しかし、残業代を支払うことは法律で定められた義務であり、サービス残業は違法となりますが、このことをしっかり認識することが必要です。

もし、従業員から未払いの残業代があるとして請求を受けたら、まず事実確認をしましょう。雇用契約書や給与明細、賃金台帳、今までの勤怠など、その従業員に関するの資料を集めて従業員の主張内容に整合性がとれているかを確認し、会社側の対応方針や主張を決めます。このとき、会社側の主張のエビデンスとなるような客観的な証拠資料があれば、なおよいでしょう。

その後、会社側・従業員側双方の話し合いにより柔軟に解決方法を探ると同時に、訴訟など法的手続きを踏む場合にも備えておきます。特に退職者からの請求であった場合、通常支払うべき未払い分の残業代に14.6%もの利息をプラスして支払わなければならないため、早急に対応することが必要です。双方とも合意ができたら、その旨を書面に記しておきましょう。

労働問題の解決方法②解雇

会社の経営者の中には、「自分が雇った従業員は簡単にクビにできるだろう」と思っている人もいるかもしれません。しかし法律上、客観的に合理的な理由がない場合や社会通念上相当と認められない場合には、解雇は権利の濫用であるとみなされ、無効となります。そのため、簡単に従業員を解雇することはできないことを肝に銘じておくことが必要です。

辞めてもらいたい従業員がいるときはできるだけ任意退職の形に持っていくのがベストですが、それができない場合は解雇することになります。この場合、客観的に見て合理的な解雇であることを裏付ける証拠を残さなくてはなりません。たとえば、「当該社員に対して問題行動を改善するよう促す文書や改善が見られない場合は相応の措置をとる旨の文書を送ったが、改善が見られなかったため解雇」とのストーリーに持っていくことが必要です。

結婚・妊娠・出産したことや内部告発をしたなどを理由とする場合など、解雇が法律で禁止されているケースもあるため、解雇するときにはこれらのケースに当てはまらないかどうか十分に注意しましょう。

労働問題の解決方法③メンタルヘルス問題

ここ数年、従業員のメンタルヘルス問題が話題になっています。2015年12月に広告代理店の新卒社員がうつ病を患った末に過労死したことをきっかけに、さらにこの問題が大きくクローズアップされるようになりました。

長時間労働が常態化している昨今では、従業員がメンタル面を患って休職することはどの企業でも起こりうることです。そのため、日ごろから従業員の心身の健康状態に気を配り、様子がいつもと違う従業員がいれば上司が話を聞くなどの対応が求められています。

万が一従業員がうつなどにかかってしまった場合には、適度に休憩を取らせる、休職させるなど個々の状態に合わせて措置を講じます。休職から復帰する従業員には、しばらくリハビリ勤務(出勤)をさせるなどして、無理なく職場に復帰できるように促しましょう。

ワンポイントアドバイス
考えられる労働問題の事例としては、このほかにもパワハラ・セクハラ問題や、賃金の引き下げ問題などがあります。それぞれの問題にあった解決方法を探ることが大切です。

労働問題の解決に弁護士が入るメリットとは

従業員側から何らかの請求があった場合、従業員のほうで弁護士や外部の労働組合を利用しようとしていることも考えられます。そのため、会社側としてもすみやかに弁護士に相談した上で、対策を練ったほうがよいでしょう。労働問題の解決にあたって弁護士に入ってもらうメリットは以下の3つあります。

労働問題を未然に防止することができる

弁護士が入るひとつめのメリットは、労働問題の発生を未然に防止できることです。従業員一人に問題が生じると、他の従業員のモチベーションや集中力にも影響します。また、会社との信頼関係にも影響することがあるかもしれません。

そこで、日頃から弁護士の協力を得て法的リスクやトラブルの発生を考慮に入れて就業規則や雇用契約書などの書面を作成しておくことが必要です。また、弁護士を講師に招いて管理職や人事担当者にコンプライアンス研修を行うのもよいでしょう。

そうすることで、万が一従業員とのトラブルが発生した時にも弁護士の協力を得て問題が大きくならないうちに対処し、円満に解決することができるでしょう。

労働問題が発生したときの初動が速い

弁護士が入る2つめのメリットは、労働問題が発生したときに迅速に対応することで問題の拡大や事態の深刻化を防止できることです。

突然、「辞めたはずの従業員から内容証明郵便が届いた」「休暇中の従業員から医師の診断書が送られてきた」などの事態になれば、人事担当者や上司はとまどうはずです。しかしこのとき、動揺のあまり初動の対応を誤ってしまうと、事態がますます深刻になってしまうこともありえます。

弁護士がついていれば、問題発生の段階で初動対応の仕方を間違うことなく、対処してもらえるでしょう。会社側としても、落ち着いて対応方針を決め、証拠となる資料を集めた上で従業員に向き合うことができます。

無用なトラブルを防止

労働問題に弁護士が入る3つめのメリットは、労働審判や団体交渉での無用な不利益を防いで迅速に問題を解決できることです。

労働審判や団体交渉になれば、十分な準備期間がとれません。そのため、社内だけで対応しようとすれば客観的な証拠をそろえきれず、会社側に不利な方向に話を持っていかれるおそれもあります。

弁護士がいれば、早急に弁護士に相談することで弁護士の指導の下、労働審判や団体交渉に向けて最適な戦略を練ることができます。場合によっては交渉の場に担当弁護士に同席してもらうことも可能です。そうすれば、無用な不利益を被ることが避けられるでしょう

ワンポイントアドバイス
弁護士と日ごろからコミュニケーションをとっていれば、従業員とのトラブルが起こった段階でそれ以上問題を大きくしないことができます。また、労働問題が生じても最小限に食い止めることも可能です。

労働問題を円満に解決するには、弁護士に相談を

労働問題を素早く円満に解決するには、やはり弁護士の強力が不可欠です。弁護士がいれば、法律的に見て最適な解決法を提案してもらうことができ、最初の対応を誤ることもありません。労働問題の発生に備え、ほんの些細なことでも日ごろから弁護士に相談するようにしてはいかがでしょうか。

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