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会社が倒産の危機!?弁護士に相談する6つのメリット
この記事で分かること
- 企業が倒産したら、たいていの場合経営者も債務整理を行なうことになる
- 倒産後は会社を整理し、従業員にも未払いの賃金・退職金を支払う必要がある
- 経営が危なくなったら、早めに弁護士に相談すると様々なメリットがある
倒産は今や他人事ではありません。倒産に追い込まれた企業が、倒産手続きをしたり債権者の対応をすることは、膨大な時間と手間を要することです。早めに弁護士に相談すれば、いざというときに物理的にも心理的にも負担をかなり減らすことができるでしょう。
企業がどうなったら倒産になる?
近年は、企業の寿命がどんどん短くなっています。今や、かつては「白物家電のパイオニア」とうたわれた某大手電機メーカーも粉飾決算を機に経営危機に陥り、「絶対につぶれることはない」とされていた銀行や証券会社でさえも倒産する時代です。そのため、どんなに経営が安定しているように見える大企業でも、経営危機や倒産とは決して無縁ではありません。
企業の倒産とは?
企業が倒産の状態になるときは、以下のような状態になったときであると言われています。
企業が倒産すれば、長年築き上げてきた実績や財産を手放すことになります。経営者は苦渋の決断を迫られますが、今後の従業員・取引先・何より経営者自身の生活を考えたときには、会社をたたみ、再出発の道を選ぶことも必要となってくるでしょう。
※(会社更生法に基づく会社更生手続き/民事再生法に基づく民事再生手続き/破産手続き/特別清算)
倒産後、企業経営者の生活はどうなる?
たいていの場合、企業が倒産すると同時に経営者自身も債務整理をしなければならなくなります。債務整理は、企業が抱えた負債を整理して経営者自身の生活を立て直すためには必要な手続きとなるので、ここは踏ん張り時です。
経営者が連帯保証人になっている場合が多い
会社が倒産する場合、経営者も連帯保証人として債務の弁済に迫られることになりますが、経営者自身も破産状態となって弁済できないことがほとんどです。そこで、経営者も個人的に債務整理をする必要があります。
債務整理の方法は個人再生か自己破産のいずれか
会社の負債総額は多額になるケースがほとんどです。そのため、任意整理では整理が追い付かないことが多いため、実際にとれる債務整理手続きとしては、個人再生か自己破産のいずれかになります。個人再生も、負債総額の上限が5000万円までと決まっているので、負債額がそれを超える場合は、とれる方法は自己破産しかありません。
自己破産しても最低限度の財産は残る
経営者が自己破産して住宅や車などの財産を手放すことになっても、個人の資産のうち最低限のもの(99万円以下の現金・古い車・少額の保険解約返戻金や掛け捨ての保険など)は残すことができます。これを元手に生活を立て直すよう努力することが必要です。
企業が倒産した場合、何をすればいいの?
企業が倒産した場合、とるべき手続きは法的整理を選ぶか私的整理を選ぶかで異なります。また、これまでがんばってくれた従業員への対応も、誠意をもって行うことが重要です。
倒産の手続きって何をするの?
倒産の手続には、大きく分けて法的整理と私的整理に分けられます。どちらの手続も一長一短があります。どちらを選んだほうがよいかについては弁護士に相談したほうがよいでしょう。
法的整理とは
法的整理とは、裁判所の管轄下で倒産処理を行う手続きです。裁判所の監督のもとで明確なルールに従って手続きが行われるため、債権者に対して公正・公平に手続きを進めることができます。法的整理は、「清算型」と「再建型」に分けられます。
清算型 | 債務者の全財産の清算を目的とする手続です。 例:破産手続・特別清算手続 |
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再建型 | 債務者の事業の再建を目的とする手続です。 例:再生手続・更生手続 |
私的整理
私的整理とは、裁判所での法的手続を経ずに、債権者と債務者の協議により自主的に財産関係の処理をする手続です。協議を円滑に進めることで事業規模や実態に合わせて柔軟に変更したり手続きを簡素化することができます。
従業員への対応や手続きはどうすればよい?
倒産するにあたり重要となるのが、従業員の処遇についてです。会社自体が存続できなくなるため、従業員はほぼ全員解雇となりますが、倒産する時点での会社の財産状況によっては、未払いの賃金や退職金を支払うことができるかどうかが問題となります。
原則は全員解雇
破産手続きを行うために経理担当などは一部会社に残る場合もありますが、会社は存続できなくなるため原則的に従業員は全員解雇となります。従業員を解雇するためには、20日以上前から解雇予告をすることが必要です。それより前に解雇する場合は、解雇予告手当を支払わなければなりません。
未払い賃金の扱いはどうなる?
未払い賃金については、破産財団が形成されるかどうかで異なります。破産財団が形成される場合、破産手続開始決定3か月分の未払い賃金、退職前3か月間の給料の総額に相当する額の退職金は、「財団債権」として、優先的に破産管財人から弁済します。破産財団が形成されない場合でも、一定の条件を満たせば、従業員は未払い分の(最大)80%を労働者健康福祉機構から払ってもらうことができる「未払賃金立替払制度」を利用することが可能です。
失業保険についてはどうなる?
会社の倒産が理由で退職することとなるので、離職票上の離職理由としては「会社都合退職」となります。会社都合であれば、従業員は7日間の待機の後すぐに失業保険を受け取れる状況となるので、会社側は「離職票1・2」と「雇用保険被保険者証」を従業員にきちんと交付することが重要です。
倒産・破産手続きを弁護士に相談する6つのメリットとは
倒産や法人破産手続きは煩雑な上に、経営者にとって精神的苦痛を伴うものです。早めに弁護士に相談して協力を仰ぐようにすれば、心理的な負担も少しは軽くなり、前向きに手続きができるようになるのではないでしょうか。ここでは、倒産・破産の手続きを弁護士に相談するメリットについて6つあげてみます。
弁護士に相談するメリット
最善の解決策を提案、先導する
経営が立ち行かなくなっても、破産したほうがいいケースもあれば、事業を再建するほうがよいケースもあります。経営者だけではその判断はなかなかつかないので、弁護士に相談すれば、決算状況をみながら最善の解決策を提案し、場合によっては先導もしてくれるでしょう。
債権者からの取り立てがやむ・交渉も任せられる
弁護士に手続きを依頼した時点で、弁護士が債権者に受任通知を送るため、債権者からの取り立てがそこでストップします。また、弁護士がそのまま各債権者との交渉を代行してくれるため、経営者自らが債権者と話し合いをせずにすみます。
裁判所などの手続を一任できる
倒産・破産の手続きは裁判所が関わるケースが多いため、用意するべき書類の数も多く、かなり煩雑です。弁護士に相談すれば、経営者自身が関わるのは必要最低限だけで、あとは煩雑な手続きをすべて一任することができます。
少額管財事件として扱うことが可能
換金処分できる財産がある場合は、管財事件となります。そうなると、予納金が最低でも40万円ほどかかることになりますが、弁護士が代理人になれば、少額管財事件としてみなされる可能性があります。少額管財事件として処理されれば、所有財産の換金処分にかかる期間も短くなり、予納金も最低20万円程度に減額することができます。
免責許可決定が受けられる可能性が高い
破産の申し立てをしても、免責許可決定が受けられなければ意味がありません。弁護士を立てることで、免責許可が受けられるような書類の作成、審尋での受け答えをしてもらうことができます。
必要に応じて各士業と連携
弁護士に相談しておくと、必要に応じて公認会計士や税理士、司法書士などの士業と連携して業務を遂行してもらえます。経営者側からすれば、弁護士に依頼するだけでワンストップで対応してもらえるため、便利であると言えるでしょう。
倒産の危機に陥ったときには、早めに弁護士に相談を
債務超過などで会社の経営がどうにもならなくなり、倒産に追い込まれるのは経営者にとって苦痛なものです。しかし、従業員や経営者自身の生活を立て直すためにも、前向きな気持ちで倒産・法人破産手続きに臨むことが大切です。そんなときに弁護士に依頼すれば、いろいろアドバイスをもらいながら手続きを進めていくことができるでしょう。会社の経営状態が危なくなる前に、早めに弁護士に相談しておくことをおすすめします。
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