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離婚協議書を公正証書にするメリットとは?作成方法と注意点も解説

この記事で分かること

  • 離婚協議書を公正証書にするメリットは「給与等を差し押さえしやすくなる」こと
  • 離婚協議書を公正証書にするデメリットは「手続きの面倒」
  • 公正証書や離婚協議書に関する相談は、専門の弁護士へ

離婚する時に、お互いに財産はどれだけ持っていくといったことや、子供はどうするのか、あるいは養育費はいくらかといったことを決めます。このような取り決めを全て口頭だけで行っていたのでは、何年か後に忘れてしまいます。そのため、話し合いで決めた内容を離婚協議書という形でまとめていきます。今回は、この離婚協議書を公正証書にした方がいいのかどうかということに関して紹介します。

離婚協議書を公正証書にするメリットとデメリット

離婚協議書とは、いわゆる離婚した時に二人で話し合った様々な内容を記載した文書のことです。

一方で公正証書とは、この二人で話し合った内容を正式な公文書にしたもののことです。公正証書と聞くと、日常的に耳慣れない言葉ですので「どこで行うの?」といった疑問や「手続きはどうするの?」という疑問が多く聞かれます。

まずは簡単に離婚協議書を公正証書にするメリットとデメリットについて見た後で、これらの疑問について見ていきましょう。

離婚協議書を公正証書にするメリット

公正証書には、「強制執行することができる」「養育費や慰謝料を払ってもらいやすくなる」「事後の言いがかりを避けることができる」などのメリットがあります。このメリットについて説明していきます。

強制執行することができる

もし離婚する際に、調停や審判、裁判などを行ったのであればその結論が既に明確になっていますので、将来そこで行われた約束が守れなかった場合に、強制執行、つまり給与や財産の差し押さえをすることができます。

例えば、現在養育費が支払われているのは全体の25%程度ですが、離婚の際に裁判などをしていると相手の給与を差し押さえることができます。しかし二人の話し合いだけで決まる協議離婚は、話し合いの内容自体が公的なものではありません。このため、二人の約束が破られたとしても、そこに法的な効力を発揮することは難しくなります。

これを可能にするのが離婚協議書を公正証書にするメリットです。公正証書にすると強制執行がしやすくなるのです。

養育費や慰謝料を払ってもらいやすくなる

公正証書にするということは、法律に約束の内容を守ってもらえるということを意味しています。また上で述べたように、その約束を破った場合は強制執行ができるため、精神的な制約があり、養育費や慰謝料をしっかり払ってもらうことができるようになります。

当然100%もらえるわけではありませんが、もし裁判を起こした場合は、公正証書に記載されている内容に基づいて判決が導かれることになるので安心です。

事後の言いがかりを避けることができる

何度も言っているように、公正証書とは公的な文章です。そのため、「そんなことは言っていない」「それはお前が勝手に書き直したことだ」「本当は合意していなかった」という言い訳が後でなされても、効果がありません。公正証書にしておくと、このように事後の言いがかりを防ぐことができます。

離婚協議書を公正証書にするデメリット

離婚協議書を公正証書にすること自体に、デメリットはあまりないかもしれません。しかし、公正証書にするまでに、手続きが面倒であるということが主なデメリットになるでしょう。

夫と妻が予定を合わせて公証役場に行かなければならない

手続きに関してはまた後で詳しく見ていきますが、公正証書を作成するためには、それに関わる本人たちが公正証書役場に行かなければなりません。さらに公正証書に、専門家の目から見て足りない部分や訂正する箇所があった場合は、また足を運んでそれを訂正して提出するという形が必要になります。最低でも、提出の時と最後の確認の時に、二人の予定を合わせて行かなければならないので手続きが面倒だと言えるでしょう。

手数料がかかってしまう

また公正証書を作成するためには、手数料を支払う必要があります。この手数料は最低でも5000円かかり、慰謝料や養育費の合計によって高くなっていきます。場合によっては、この費用をどちらが負担するかについて話し合いが必要になるでしょう。

ワンポイントアドバイス
公正証書にするためには、ある程度文言を整える必要があります。また慰謝料や養育費の内容についても、法律に合うように作成しなければなりません。このような作成が面倒である場合は、専門の弁護士に相談することをお勧めします。

離婚協議書を公正証書にする手続きと注意点

次に、公正証書を作成する際に必要となる手続きについてみていきます。どこで行うの?手続きはやるの?といった疑問にも答えていきます。

公正証書はどこで作るの?

離婚する時に届出を出すのは市役所です。いわゆる公正証書も、市役所などで作ってもらえると思っている方がいるようです。しかし、公正証書は各地にある公証役場で作成してもらいます。公証役場には、公証人という公正証書を作成する専門の公務員がいます。

交渉人の多くは元裁判官や法律に詳しい人がなっています。公正証書を作るためには、この専門家が認めたものでなくてはならず、また離婚協議書の場合は、代理人という手もありますが、基本は離婚をする二人が公証役場に出向く必要があります。

公正証書を作るのに必要なものは?

もし公正証書を偽造されてしまうと、公的な文章ですので大変なことになってしまいます。合意していないにもかかわらず、自分が合意していると法律で認められるようなものです。上でも触れましたが、このようなトラブルがないよう、離婚の際に公正証書を作成する時は、それについて話し合った元夫と元妻の二人が公証役場に行く必要があります。そしてお互いが本人だということを証明するために、戸籍謄本と本人確認書類(免許証、印鑑証明書など)を見せる必要があります。

また年金分割をする場合は年金手帳のコピーや基礎年金番号のコピーが必要になります。代理人に申請してもらう場合はまた異なる手続きが必要ですので代理人となる専門の弁護士に聞くのがいいでしょう。公正証書を作るのに必要なものは、離婚協議書の内容によっても異なるため、まずは電話で必要書類を確認してから行くことをお勧めします。

公正証書を作るのに必要な費用は?

公正証書の作成手数料は、慰謝料や養育費などの合計価額に応じて、次のように定められています。

  • 100万円以下 5000円
  • 100万円を超え200万円以下 7000円
  • 200万円を超え500万円以下 11000円
  • 500万円を超え1000万円以下 17000円
  • 1000万円を超え3000万円以下 23000円
  • 3000万円を超え5000万円以下 29000円
  • 5000万円を超え1億円以下 43000円

手続きの流れと注意点

公正証書を作成するためには、通常の契約書のように、誰が、誰に対して、いつまでに何をするかということを明確に書くようにします。そしてそれができたら、公証役場に電話をし、財産分与や年金などの条件によって異なる必要書類について確認し、二人が足を運ぶことができる日程の予約を取ります。無事、文書を提出したら、公証役場から後日公正証書の案が提示されます。

そこで内容について問題がなければ、再度二人の予定を合わせ、印鑑証明と実印、そして身分証を持って、公正証書役場に行き署名捺印をして終わりになります。特に注意すべきなのは、この書き方です。いつ誰がどこで読んでも理解できるように、主語や述語、時期を明確にして書く必要があります。

ワンポイントアドバイス
離婚協議書の公正証書作成するためには、財産分与や年金分割をするかどうかによっても必要な書類が変わってきます。公正証書の作成代行や、文書のリーガルチェックなどを含めて、専門の弁護士に相談をするとこういったことをまとめて行ってくれるので、時間のない方や面倒事を少しでも避けたいという方は、弁護士に依頼をすることをお勧めします

離婚の際に公正証書の作成を弁護士に依頼するメリット

最後に、公正証書の作成を弁護士に依頼するメリットについて述べていきます。

公正証書にあった文章を作成してくれる

離婚協議書の公正証書は、一種の契約書とみなすことができます。そのため、上で触れたように、誰が、いつ、何をということを明確に書いておく必要があります。また、将来問題が起こったことを見据えて、有利になる文章などを盛り込んでくれたり、素人では気づかない様々な点について配慮したりしてくれます。

公正証書にするにあたって、本当にこの内容で良いのかといった疑問がわくでしょう。弁護士に聞けばこのような点も安心して、公正証書を作成することができます。

細かい点までサポートしてもらえる

弁護士に依頼をすると、公正証書にする前の離婚協議書についても相談することができます。子の養育費の金額が適切か、慰謝料の金額が妥当かといったことは、専門の弁護士でなければわからない部分があります。また、公正証書の送達証明などについても、しっかりとアドバイスしてくれるので安心です。

ワンポイントアドバイス
公正証書を作成するにあたって、代理人を立てるということもできます。しかし、代理人を立てるということも、実際には面倒な手続きが必要です。弁護士に依頼をすると、代理人の手続きに対してもアドバイスをもらえ、対処してくれるので、どうしてもまた別れた配偶者に会いたくないという方は、代理人を立てて手続きを行うようにしましょう。

離婚協議書を公正証書にするには弁護士に相談を!

離婚協議書を公正証書にするということは、離婚の際に二人で話し合った内容を、正式な公文書にするという意味を持っています。公正証書には、「強制執行することができる」「養育費や慰謝料を払ってもらいやすくなる」「事後の言いがかりを避けることができる」などのメリットがあり、離婚後もずっと法的な効力を持つようになります。

もし養育費や慰謝料の未払があった場合に、この公正証書があるのとないのとでは、その対応に大きな差が出ます。離婚の際にはこの公正証書の相談も含めて、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

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