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お金がないから離婚できない? 離婚でかかるお金ともらえるお金

この記事で分かること

  • 離婚するためには手続きのために裁判所や弁護士に支払うお金がかかる
  • 専業主婦の場合なら、離婚すると財産分与や慰謝料・養育費などのお金をもらうことができる
  • お金をきちんともらうためには、費用をかけても弁護士に依頼することがおすすめ

離婚に際して、特に専業主婦の場合なら、離婚後の生活のためにお金のことをしっかりと考えなくてはならないでしょう。特に、お金がないのであれば、夫から少しでも多くのお金をもらえるよう、弁護士と相談しながら有利にことを進めることが大切です。

離婚するのにかかるお金ともらえるお金はどのくらい?

それでは最初に、専業主婦が離婚をするためにかかるお金ともらえるお金にどのようなものがあるのか、概略を見てみましょう。

離婚するためにかかるお金

離婚するためにかかるお金は、次のようなものがあります。

離婚手続きのために裁判所に支払うお金

協議離婚をする際には基本的にお金はかかりませんが、裁判所へ離婚調停や離婚裁判を申し立てした場合には、印紙代や郵便切手代がかかります。

弁護士費用

離婚の手続きを有利に進めるために弁護士に依頼するためには、弁護士費用がかかります。

引越しなど離婚後の生活のための費用

離婚時の条件にもよりますが、離婚とともに引越しをしなければならない場合は、引越し費用や引越し先の物件の契約費用などがかかります。

離婚する際にもらえるお金

離婚する際にもらえるお金は、次のようなものがあります。

婚姻費用

婚姻費用とは、離婚前に別居した場合に、離婚するまでの間の生活費用です。収入の多い方が少ない方に対して支払います。

財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻中に共同して築き上げた財産を離婚時に分け合うことです。財産が夫名義であるか妻名義であるかを問わず、それぞれ2分の1ずつとすることが一般的です。

慰謝料

配偶者に浮気など離婚原因の責任がある場合には、慰謝料を請求することができます。

養育費

離婚時に未成熟の子がいる場合、親権者とならなかった親が親権者に対して子が成熟するまで養育費を支払います。

離婚後にシングルマザーとなった場合にもらえるお金

離婚してシングルマザーになった場合には、次のような助成金をもらうことができます。

  • 生活保護
  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • 児童育成手当
  • 母子家庭等の住宅手当
  • ひとり親家庭等医療費助成制度
ワンポイントアドバイス
離婚をする際には、専業主婦の場合なら、離婚後の新生活を立ち上げていくために大きなお金がかかることになるでしょう。離婚時の手続きでは、専業主婦ならもらえるお金がほとんどです。特に、お金がない場合なら、手続きを有利に進めてもらえるお金が少しでも多くなるよう、弁護士に相談しましょう。弁護士に相談すればそのための費用はかかりますが、それを差し引いても得をすることが多いです。

離婚する際の手続きにかかるお金の相場

専業主婦が離婚する際の手続きにかかるお金の相場について、さらに詳しく見ていきましょう。

裁判所に支払うお金

離婚手続きのために裁判所に支払うお金は、離婚の方法により異なります。協議離婚の場合なら、基本的にお金はかかりせんが、調停離婚・裁判離婚の場合には、印紙代と切手代が必要となります。

協議離婚

協議離婚とは、夫婦で話し合うことにより離婚条件を決め、離婚届に署名捺印して提出する離婚方法です。基本的に費用がかかりませんが、離婚条件を公正証書にする場合には5,000円~2万円程度の費用がかかります。

調停離婚

離婚調停とは、離婚するかしないか、および離婚の条件が夫婦の協議で決められない時に、裁判所に間に入ってもらって話し合いをする手続きです。裁判官1名と、法律の専門家である調停委員2名が協議に加わりますので、夫婦だけで行うよりも協議が前向きに進む可能性があります。

離婚することおよび離婚条件に合意できれば調停は成立となり、調停調書が作成されます。調停調書は、訴訟における判決と全く同じ効力があります。

調停離婚の際の費用は、印紙代として1,200円、および切手代が、裁判所によって異なりますが1,000円程度かかります。

裁判離婚

離婚調停が成立しなかった場合には、裁判所に訴訟を提起することができます。特に、親権や財産分与・慰謝料などについて夫婦間で大きな意見の食い違いがある場合には、訴訟を提起しなければならなくなることも多いでしょう。

離婚訴訟を提起するためには、印紙代として、離婚および親権者の指定を求める場合は1万3,000円、さらに財産分与や養育費などの付帯処分を求めるためには、それぞれについて1,200円かかります。

弁護士費用

離婚手続きのために弁護士に払う費用も、裁判所の費用と同様に、離婚の方法によって異なります。

協議離婚

愛情を失ってしまった配偶者と揉めることなく冷静に話し合うのはなかなか難しいものです。特に、親権や、財産分与・慰謝料などのお金がからめばなおさらです。したがって、協議離婚の場合でも、弁護士に仲介を依頼することにより、話し合いをスムーズに進めることが期待できます。

協議離婚を仲介した場合の弁護士費用は、仲介する話し合いの内容や担当する弁護士事務所によって異なりますが、30万円程度(獲得金額の10~20%)が相場となります。

調停離婚

離婚のための調停は弁護士を立てずに行うこともできます。しかし、弁護士に依頼することにより、話し合いをよりスムーズに進めることができるでしょう。

調停離婚のための弁護士費用の相場は、40万円~70万円です。

裁判離婚

離婚のための訴訟が提起されれば、配偶者も弁護士を立てて来ることが予想されます。弁護士なしで有利な判決を勝ち取ることはなかなか難しいといえるでしょう。

裁判離婚のための弁護士費用は、30万円~40万円が相場です。

ワンポイントアドバイス
離婚の手続きを弁護士に依頼するためには費用がかかります。しかし、弁護士費用の安い事務所を探す、あるいは無料相談・着手金無料を利用するなどのことにより、弁護士費用を抑えることができます。また、どうしてもお金がない場合には、公的な機関である法テラスによる弁護士費用の立替えを検討することもできます。まずは、弁護士事務所に相談してみることがおすすめです。

財産分与や子供の養育費など離婚する際に請求してもらえるお金

財産分与や子供の養育費など、離婚する際に請求することによりもらえるお金を見てきましょう。

婚姻費用

婚姻費用とは、離婚前に別居した場合に生活費として支払われるお金です。夫婦のうち収入の多い方が少ない方に、収入に応じた金額を離婚するまでの間支払います。

別居すると、一般に、生活費を相手に渡さなくなることが多くなります。その場合には、裁判所に調停を申し立てることにより婚姻費用を請求します。

婚姻費用の請求調停は、離婚調停といっしょに申し立てることもできます。どのようにすれば最も有利にことが進むかを判断するには、弁護士と相談するのがおすすめです。

財産分与

財産分与は、婚姻中に夫婦が共同で築いた財産を離婚時に分け合うことです。共同で築いた財産であれば、夫名義であっても妻名義であっても財産分与の対象となり、2分の1ずつの割合とするのが一般的です。

財産分与の種類

財産分与には、清算的財産分与、扶養的財産分与、および慰謝料的財産分与の3種類があります。

清算的財産分与

一般的な財産分与で、離婚に際して共有財産を分け合うものです。

扶養的財産分与

専業主婦が離婚する場合など、夫婦の一方がすぐに働ける見込みがない時に、離婚後しばらくの間毎月10万円を支払う約束をするなどのことがあります。

慰謝料的財産分与

一方が浮気をしたために離婚した場合など、その慰謝料を含めて財産分与を行うことです。

財産分与の対象となる財産

財産分与の対象には、婚姻中にお互いの協力によって築いたすべての財産があたります。

現金・預貯金

現金・預貯金は夫婦どちらの名義であっても財産分与の対象となります。妻のへそくりであっても、財産分与の対象となりますので気を付けましょう。

生命保険

積立型の生命保険で解約返戻金があるものは、財産分与の対象となります。子供の学資保険も、親の収入によって積み立てられたものであれば、財産分与の対象となります。

株券・出資金など

株券や出資金などは、その時に時価によって評価された額が財産分与の対象となります。

家・不動産

家などの不動産も財産分与の対象となります。やはり、購入額ではなく時価によって評価されます。

退職金

すでに支払われている退職金が財産分与の対象となることはもちろんですが、まだ支払われていない退職金でも、退職金が確実に支払われると見込まれる場合には財産分与の対象となります。

財産分与の対象とならない財産

財産のうち、財産分与の対象とならないのは次のようなものです。

特有財産

独身時代に貯めたお金や嫁入り道具、親の遺産などは、夫婦それぞれの特有財産とされ財産分与の対象となりません。

別居後に築いた財産

別居後に築いた財産も、財産分与の対象とはなりません。

借金

夫婦の一方がサラ金で借金をしているような場合には、その借金は財産分与の対象とはなりません。

年金

年金は、財産分与の対象となりません。「離婚時年金分割制度」を利用して、財産分与とは別に分割します。

財産分与の割合

財産分与の割合は、双方が2分の1ずつとするのが一般的です。裁判所で争う際には、基本的に2分の1ずつとなります。ただし、協議や調停で決める場合は、割合を自由に決めることができます。

財産分与を行う際には、夫婦のそれぞれの財産をすべて洗い出し、評価額を計算しなくてはなりません。また、夫婦の話し合いで双方が納得できない場合には、調停や訴訟を申し立てる必要もでてきます。早めの段階で弁護士に相談するのが良いでしょう。

慰謝料

離婚時の慰謝料として代表的な例は、相手が浮気(不貞行為)した場合です。また、DVを受けていた、長期にわたってセックスレスであった、生活費を渡さない、働かない、などの場合にも慰謝料が請求できます。不貞行為が離婚の原因である場合の慰謝料の相場は、200万円~300万円程度となります。

ただし、慰謝料を請求するためには、不貞行為などの立証する有効な証拠がなくてはなりません。また、訴訟となることがほとんどですので、法廷での戦術も考えていくことが必要でしょう。弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

養育費

養育費は、未成熟の子がいる場合に、親権者とならなかった親が親権者に対して子供が成熟するまで支払います。数万円程度とされることが一般的です。

ワンポイントアドバイス
離婚時にもらえるお金は、財産分与や慰謝料をはじめとしてさまざまにあります。ただし、これらを実際に受け取るためには、財産を洗い出して評価額を計算する、証拠を集める、あるいは話し合いや裁判で請求するなどの、積極的な手続きが必要とされます。少しでも有利に手続きを進めるためには、弁護士の力が必要だといえるでしょう。

離婚する際のお金の問題は弁護士に相談しよう

信頼していた相手と離婚の手続きを進めることは、悲しい気持ちにもなるでしょう。しかし、離婚後の生活を考えた場合には、少しでも有利にことを運ぶことが大切です。まずは、弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

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