閉じる

41,977view

後遺障害11級の慰謝料相場~認定基準と金額の相場

この記事で分かること

  • 後遺障害11級が認定される症状には、目、歯、耳、脊柱、手指、足指、内臓の症状がある
  • 後遺障害11級の後遺障害慰謝料は420万円、労働能力喪失率は20%
  • 後遺障害11級の認定を受けるためには、弁護士に依頼すべき
  • 後遺障害11級で、高額な賠償金を獲得するために、弁護士に相談しましょう

後遺障害11級が認定されると、高額な慰謝料や逸失利益などの賠償金を請求することができます。弁護士に依頼すると、認定を受けやすくなりますし、賠償金の金額も上がるので、事故で後遺障害が残ったら、必ず弁護士に相談しましょう。

後遺障害11級が認定されると、高額な慰謝料や逸失利益などの賠償金を請求することができます。弁護士に依頼すると、認定を受けやすくなりますし、賠償金の金額も上がるので、事故で後遺障害が残ったら、必ず弁護士に相談しましょう。

後遺障害11級が認められる基準

適切に後遺障害認定を受けよう

交通事故の後遺障害は、内容も程度もさまざまです。そこで、症状ごとに分類をして、「等級」が定められています。後遺障害の等級とは、後遺障害の「ランク」のようなものです。

後遺障害の等級は、重い方から1級~14級まであるので、11級はそれほど重い後遺障害という取扱いにはなっていませんが、実際には大きな不便があるため、当事者にとっては非常に大きな問題です。

後遺障害11級が認定されると、相当額の後遺障害慰謝料や逸失利益も認められるので、
症状があるならば、確実に後遺障害の認定を受けることが大切です。

後遺障害11級が認定される場合一覧

後遺障害11級が認定される症状は、以下の10つです。

11級1号 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
11級2号 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
11級3号 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
11級4号 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
11級5号 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
11級6号 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
11級7号 脊柱に変形を残すもの
※レントゲンなどの画像で圧迫骨折や脱臼が認められるもの。
11級8号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
11級9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
11級10号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

以下で、それぞれがどういった症状なのか、確かめていきましょう。

11級1号:両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

眼球の「調節機能障害」とは、遠くや近くを見るときに、ピントを調節する機能のことです。それが、健康なときの2分の1以下に制限されると、「調節機能障害」があると認められます。

眼球の「運動障害」とは、頭を固定して目だけを動かして見える範囲(注視野と言います)が狭まることです。注視野が2分の1になると、「運動機能障害」があると認定されます。

両眼に、調節機能障害または運動障害が発生すると、11級1号となります。片眼だけの場合には、12級が認定されます。

11級2号:両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

「まぶたに著しい運動障害を残す」というのは、以下のようなケースです。

  • まぶたを閉じても、瞳孔や角膜を完全に覆うことができない
  • まぶたを開いても、瞳孔の一部が隠れてしまう

まばたきをスムーズにできなくなったら、この後遺障害が残っている可能性が高いです。

2号が認定されるのは、まぶたの運動障害のケースです。つまり、「まぶたが残っていても、うまく機能しない」ために、眼球を覆ったり、露出させたりすることができないというものです。これに対し、「まぶたそのものが欠損してしまった場合」には、次の3号の問題となります。

11級3号:1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

「まぶたに著しい欠損を残す」、というのは、まぶたの全部や大部分がなくなってしまった場合です。まぶたを閉じたときに、瞳孔を覆いきれないときに、11級3号が認定されます。まぶたはあるけれども、うまく動かないので覆えない場合には、2号となります。

また、11級3号となるのは、片方のまぶたに欠損が生じたケースです。両方のまぶたが欠損した場合には、9級4号が認定されます。

11級4号:10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

歯科補綴(しかほてつ)、とは、交通事故で歯を損傷したり失ったりして、歯科で治療と処置を受けることです。たとえば入れ歯やクラウン、ブリッジなどによって治療を受けると「歯科補綴」したとことになります。

事故によって10本以上の歯を損傷し、歯科補綴が必要になったケースでは、11級4号が認定されます。対象になるのは永久歯のみであり、乳歯が失われても、後遺障害が認定されません。

また、歯は交通事故によって損傷を受けたことが必要です。虫歯などの他の原因で治療を受けたとしても、本数としてカウントされないので、注意が必要です。

11級5号:両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

11級5号は、聴力の低下に関する後遺障害です。両耳の聴力が、1メートル離れた距離から、人の小声を理解できない程度になってしまったら、11級5号が認定されます。聴力検査では、純音聴力レベルが40dB以上のケースです。純音聴力というのは、「ピー」などの単純な音を聞き取る聴力です。

5号の後遺障害を判断するためには、耳鼻科にかかって、純音聴力調査を受ける必要があります。

11級6号:1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの

11級6号も、聴力に関する後遺障害です。こちらは、片耳の聴力が「40センチメートル離れると、人の普通の話し声を聞き取ることができなくなった場合」に認定されます。

この症状を確認するためには、純音聴力と明瞭度を調べる必要があります。純音聴力の基準としては、70dB ~ 80dB未満が基準となります。明瞭度とは、人の発する言葉(音)を、「言葉」として聞き取ることができるかという基準です。明瞭度が50%以下になると、11級6号が認定されます。

このように、聴力の後遺障害については、聴力検査の結果が非常に重要となってきます。聴力の専門医は耳鼻科ですから、交通事故後、耳が聞こえにくいと感じたら、すぐに耳鼻科に行きましょう。

11級7号:脊柱に変形を残すもの

脊柱(せき柱)とは、背骨のことです。交通事故によってせき柱に大きな損害を受けると、背骨が変形したままになってしまうことがあります。

具体的には、以下のようなケースで、11級7号が認定されます。

  • レントゲンやCTなどの画像により、背骨の圧迫骨折が明らかに確認できる場合
  • 脊椎固定手術を実施して、人工関節などを埋め込んだ場合
  • 3つ以上の脊椎に「椎弓切除術」という手術を行った場合

11級7号のポイントは、「レントゲンやCTなどの画像によって、明らかに圧迫骨折や脱臼などの異常を確認できる必要がある」ことです。また、脊柱に変形が発生しても、麻痺などの運動障害は発生していない状態です。運動障害があると、より高い等級の後遺障害が認定されます。

11級8号:1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

11級8号は、片手の人差し指、中指、薬指のうち、どれか1本を失ったケースで認定されます。「指を失った」というのは、親指以外の場合、第2関節(根元に近い方の関節)より先の部分で指がなくなったケースです。

右手か左手かの区別はなく、人差し指、中指または薬指がどれか一本失われたら、11級8号が認定されます。

11級9号:1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの

11級9号は、足指の後遺障害です。第1の足指とは、親指のことです。片足の親指を含む2つ以上の指の「用を廃した」場合、11級9号が認定されます。

用を廃したというのは、以下のようなケースです。

  • 長さが2分の1以下になった
  • 親指の場合には第1関節、その他の指の場合には第2関節の可動域が、健常な方の足と比べて、2分の1以下になった

11級9号が認定されるのは、親指を含めて2本または3本または4本の指の用を廃したケースです。すべての足指の用を廃した場合、等級が上がって9級15号が認定されます。右足か左足かの区別はありません。

11級10号:胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

胸腹部臓器というのは、心臓や腎臓、胃腸などの消化器などの内臓のことです。
内臓機能に障害が残り、仕事に相当低度な支障が発生している場合に11級10号となります。

ワンポイントアドバイス
胸腹部臓器の後遺障害について「労務に相当程度の支障」とありますが、これは、かなりあいまいな基準です。実際には医師による診断内容や、具体的にどのような支障が発生しているかを説明することが重要となってきます。

労務に対する支障の程度が上がると、認定される等級も上がるので、この種類の後遺障害が残った場合には、状況を正確に説明し、慎重に対応する必要があります。

後遺障害11級で請求できる慰謝料と賠償金

後遺障害11級が認定されると、相手に対して慰謝料やその他の賠償金を請求することができます。以下で、それぞれどのくらいの金額になるのか、説明します。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、事故で後遺障害が残ってしまったことによる精神的苦痛に対する賠償金です。後遺障害が残ったら必ず認められるので、11級が認定されたときにも、当然認められます。

11級の場合の後遺障害慰謝料の金額は、420万円です。

ただし、これは弁護士基準で計算した場合であり、任意保険基準では150万、自賠責基準の場合には135万円となります。

弁護士基準で計算すると、他の基準の3倍程度になります。弁護士基準を適用してもらうには、示談交渉を弁護士に依頼する必要があります。そこで、後遺障害11級が認定されたら、必ず弁護士に相談をして、示談交渉をしてもらうようにしましょう。

入通院慰謝料

後遺障害11級が認定されるケースでは、入通院慰謝料も請求することができます。入通院慰謝料は、事故でけがをして入通院治療を受けたことに対する慰謝料です。後遺障害が残っても残らなくても、入通院治療の期間に応じた金額が支払われます。

入通院慰謝料の金額は、入通院の期間によって、異なります。たとえば後遺障害11級のケースで、入院2ヶ月、通院5ヶ月だった場合には、入通院慰謝料が173万円程度となります。通院10ヶ月なら、145万円です。

この数字は、やはり弁護士基準で計算したものです。入通院慰謝料についても、自賠責基準や任意保険基準で計算すると、大きく下げられてしまいます。

逸失利益

後遺障害が残った場合には、逸失利益を請求することも可能です。逸失利益とは、後遺障害が残ったことによって、将来得られなくなってしまった収入です。後遺障害が残ると、労働能力が低下するので、その分収入が減ってしまうという考え方です。等級ごとに、「労働能力喪失率」が決まっており、その割合に応じて逸失利益を計算します。

後遺障害11級の労働能力喪失率は20%となっており、ちょうど健常な状態の5分の1です。

逸失利益を計算するときには、以下の計算式となります。

  • 事故前の基礎収入(年収)×0.2×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

11級の場合の逸失利益は、数千万円になることも珍しくなく、相当高額になります。

休業損害

後遺障害11級が認められるケースでは、相当酷いケガをしているので、治療のために仕事を休まなければならないことも多いです。その場合、休業損害を請求することができます。

休業損害の計算式は、以下の通りです。

  • 1日あたりの基礎収入×休業日数

自賠責基準や任意保険基準の場合、1日あたりの基礎収入を下げられて、休業損害を減額されてしまうこともあるので、注意が必要です。

治療費等の積極損害

後遺障害11級が認定されるときには、病院で治療費を支払っていますし、通院交通費もかかっているでしょう。付添看護費用なども必要です。このような積極損害についても、すべて相手に請求することができます。

ワンポイントアドバイス
交通事故の損害賠償金を請求するときには、慰謝料、逸失利益、休業損害、積極損害などをすべて合計した金額を計算しなければなりません。1つ1つの損害項目を、漏れなく弁護士基準で計算することが、賠償金アップのコツです。

後遺障害11級で争いになりやすいポイント

後遺障害11級で、争いになりやすいのは、以下のようなケースです。

11級4号 歯科補綴のケース

まずは、4号の歯科補綴のケースです。この場合、歯を治療することによって、元のように噛むことができるようになっているわけですから、労働能力が低下していないと言われることが多いです。すると、逸失利益が否定されます。

ただ、10本もの歯に大きな損傷を受けて入れ歯などになっているわけですから、何の影響もないはずがありません。特に、スポーツ選手など、歯を食いしばることが必要な職業では、大きな支障が発生する可能性があります。歯科補綴のケースでも、逸失利益は認められることがあるので、諦める必要はありません。

11級7号 脊柱の変形のケース

7号の脊柱の変形のケースでも、逸失利益が否定されることが多いです。11級の脊柱変形は、特に日常生活に支障が発生していない程度のときに認められるものだからです。ただ、体幹の重要な背骨が変形しているのですから、将来何らかの不調が現れる可能性があります。そうなったときに、さまざまな問題が具体化することも十分考えられる野で、後遺障害を認める余地があります。相手の保険会社が後遺障害を否定しても、諦めずに弁護士に相談しましょう。

ワンポイントアドバイス
逸失利益性が争われるケースでは、逸失利益を完全に否定するのではなく、労働能力喪失率を低めに抑えることで調整されることもあります。また、万一後遺障害逸失利益が否定されても、慰謝料を増額することによって調整してもらえることも多いです。交通事故に強い弁護士に相談したら、戦い方を教えてもらえるでしょう。

後遺障害11級の認定を受ける方法

事故の後遺症が残った場合、きちんと「等級認定」を受けないと、後遺障害慰謝料や逸失利益の支払いを受けることができません。11級にもなると、相当高額な慰謝料・逸失利益が支払われることになりますから、確実に認定してもらうことが重要です。

後遺障害の認定を確実にするためには、良い専門医と良い弁護士を探すことが大切です。後遺障害は医学的な判断ですから、まずは医師が重要なことは、明らかです。交通事故患者に理解を持っており、交通事故の後遺障害診断書を作成した経験を持っている人が望ましいです。もちろん、その症状自体に詳しく、しっかり治療してくれる医師であることも重要です。

そして、後遺障害の申請を通すには、弁護士によるサポートが必須です。被害者が自分で後遺障害の等級認定請求をしても、なかなか上位の等級を目指すことは難しいです。微妙な事案では、等級が下がってしまうこともよくあります。確実に症状を立証し、自賠責保険で高い等級の後遺障害を認めさせるには、等級認定についての知識とノウハウを持った弁護士に依頼することが、もっとも近道となります。

ワンポイントアドバイス
弁護士に依頼すると、後遺障害認定を受けやすくなりますし、高額な弁護士基準で賠償金を計算することができます。弁護士費用を支払っても十分におつりがきますから、お金のことを心配する必要はありません。また、自動車保険に弁護士費用特約がついていたら、無料で弁護士に依頼できることも多いです。

後遺障害11級になったら、弁護士に対応を依頼しよう!

後遺障害11級となったら、日常生活にも仕事にも大きな支障が発生しているはずです。適切な救済を受けるためには、法的な知識と対応が必要です。被害者が自分で示談交渉や後遺障害認定をしても、なかなか成功しません。

事故で後遺障害が残ったら、まずは交通事故に強い弁護士を探して相談してみることをお勧めします。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
  • 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
  • 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
  • 適正な後遺障害認定を受けたい
  • 交通事故の加害者が許せない
上記に当てはまるなら弁護士に相談