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交通事故の後遺障害を徹底解説!〜全等級の慰謝料相場と計算方法〜

この記事で分かること

  • 後遺障害が認定されるには、症状固定後である必要がある。
  • 後遺障害全等級の慰謝料相場は3つの基準によって異なる。
  • 後遺障害の慰謝料は被害者に過失があった場合、減額されることがある。

交通事故に遭い後遺症が残ってしまった場合に「後遺障害」と認定されると、慰謝料が請求できます。さらに後遺障害には第14級から第1級までの等級があり、第1級に近づくにつれて重い症状のことを表わし、慰謝料の額も比例して大きくなります。また、慰謝料を請求する場合は弁護士に依頼すると、裁判基準が適用され、自賠責基準より大幅な増額が見込めます。後遺障害の慰謝料を不足なく獲得したい方は、ぜひ弁護士に相談しましょう。

後遺障害とは

交通事故が原因の後遺症のことを「後遺障害」と言います。交通事故によって被害者が負ったケガ、もしくはそれに準ずる症状が、6ヶ月経過しても治る見込みがない時に、医師により「症状固定」と診断されると、自賠責の機関から「後遺障害」の認定を受けることができます。後遺障害は第14級から第1級まで等級が分かれており、それらに応じて請求できる慰謝料等が変化します。

後遺障害が認められるためには

後遺障害が認められるためには、「症状固定」が重要になります。症状固定がないと、治療をいつまで続ければいいのか判断ができませんし、加害者側の損害賠償金の負担に終わりが見えません。とはいえ、症状固定がまだ改善の余地があるのに確定してしまうと、それ以降の治療費は被害者負担になってしまうので注意が必要です。

症状固定

交通事故の治療費は加害者に請求することができます。しかし、医師から「これ以上治療しても症状は改善しない」と、「症状固定」の判断になると、これ以上治療しないということになり、治療費を打ち切られることになります。症状固定のタイミングは重要で、もし、これからも治療が続くにもかかわらず、症状固定扱いをされてしまうと、それ以降の治療費は被害者が負担することになります。

症状固定後に残った症状は「後遺障害」と認定され、等級に応じて慰謝料等を請求できます。後遺障害の認定には「症状固定」が必須となります。

後遺障害が認められるための5つの条件とは

保険会社から後遺障害の補償を受けるためには、「後遺障害等級認定」される必要があります。被害者がいくら「むち打ちの症状が続いている」とうったえたとしても、認定されていなければ、後遺障害として認められません。

後遺障害の認定には以下の5つの条件があります。

  • 交通事故が原因の肉体的・精神的な傷害であること
  • 交通事故と後遺症状に因果関係があること
  • 後遺症状の原因が医学的に証明できるものであること
  • 将来も回復は見込めないと医師が判断していること
  • 後遺症状が自賠責法施行令の等級に該当すること

後遺障害診断書

後遺障害認定を申請するためには、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、保険会社に提出します。この書類が損害保険料率算出機構に送られ、調査の後、認定されれば損害賠償金が支払われることになります。

ワンポイントアドバイス
保険会社に手続きを一任していると、知らぬ間に認定された等級に基づいて損害賠償金を支払われる可能性があります。保険会社は営利企業であり、少しでも支払わなければならない損害賠償金を減らしたい意向がありますので、安心しきっていると損をする可能性があります。そうならないためにも、弁護士に依頼することをおすすめします。

後遺障害の等級別慰謝料の相場

症状固定の後、慰謝料を請求することができますが、その慰謝料の額も自賠責基準か、任意基準か、裁判基準かによって大きく異なります。

後遺障害の等級別慰謝料の相場

以下の表を見ればわかるように、自賠責基準より任意基準が、任意基準より裁判基準が高くなっています。裁判基準は任意基準と比較して2倍近くの金額になっています。

等級 自賠責基準 任意基準(推定) 裁判基準
第1級 1100万円 1600万円 2800万円
第2級 958万円 1300万円 2370万円
第3級 829万円 1100万円 2370万円
第4級 712万円 900万円 1670万円
第5級 599万円 750万円 1400万円
第6級 498万円 600万円 1180万円
第7級 409万円 500万円 1000万円
第8級 324万円 400万円 830万円
第9級 245万円 300万円 690万円
第10級 187万円 200万円 550万円
第11級 135万円 150万円 420万円
第12級 93万円 100万円 290万円
第13級 57万円 60万円 180万円
第14級 32万円 40万円 110万円

自賠責基準

自賠責基準とは、自賠法に基づいて設定されています。被害者のための最低限の補償を行うもののため、その補償額は低い設定になっています。

意保険基準

自賠責基準だけではカバーしきれない損害の補償を受けるために、任意で加入する保険があります。それが任意基準と呼ばれる基準です。任意保険は、運転するものが自由に選べるものなので、加入者を増やすためには任意保険の保険料は低めの設定になっているところが多く、自賠責基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少な目になります。

裁判基準

裁判基準は弁護士に依頼すると適用される、判例等を踏まえた公正な基準ですので、高額となります。保険だけでは、高額な慰謝料を請求するのは難しいのですが、弁護士を依頼して示談する、若しくは裁判を行えば高額の慰謝料を獲得できる可能性が高まります。

慰謝料の計算方法

後遺障害の慰謝料の計算方法は特になく、上の表の該当する等級と、自身が選んだ基準に応じた額をそのまま適用されると考えてよいでしょう。
できるだけ、高い等級をとるためにも、後遺障害等級の申請をきちんとすることが重要になってきます。

後遺障害請求には、加害者サイドの保険会社に手続きを依頼する事前認定と、被害者自身が行う被害者請求の2つの方法があります。いずれの場合も、医師との交渉や書類づくりが要になるため、弁護士に相談することがすすめられます。

被害者に過失があった場合、減額される可能性があります。たとえば、被害者に20%の過失があった場合、第5級の後遺障害で裁判基準だと1400万円ですが、そこから20%減じて、1120万円が保険会社から支払われることとなります。

ワンポイントアドバイス
被害者に過失があった場合、減額される可能性がありますが、被害者が人身傷害保険に加入していれば、過失部分についても補償してもらえることがありますので、上の例では、減額された280万円を人身傷害保険から受け取ることができます。

後遺障害で無等級と認定されてしまったら

無等級と認定され、不満が残る場合には異議の申し立てをしましょう。不足していた情報を提出することによって、認定が覆る可能性があります。重要となるのは、「障害の回復は困難であるという事実」「一定の障害が残ったという事実」「交通事故と傷害の因果関係があるという事実」を確実に立証することです。しかし、異議申し立てには半年ほどかかる場合もあるので、それなりの覚悟をしなければなりません。そして、確実に認定を覆したいのならば、専門知識を持った弁護士に相談しましょう。

後遺障害に認定されにくい症状

後遺障害に認定されにくい症状として、以下の4つがあげられます。

むち打ち症

肩こりや首の痛みなど、悩ましいむち打ちですが、6か月以上通院し、通院した実日数が100日を超えてこないとなかなか後遺障害の認定はされにくいです。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

後遺障害は一生治らないもの、という前提があるため、「いずれ治るのではないか」と考えられやすいPTSDはなかなか認定されにくいです。命の危機をだれもが感じるほど、外傷体験が激烈であれば、第14級に認定される可能性はあります。

高次機能障害

高次機能障害は、脳実質表面に医学的な異常が現れないのに、認知障害や人格障害が起こる障害で、症状がひどければ社会復帰が難しいです。しかし、この認知障害や人格障害は交通事故の損害範囲とは言い難く、後遺障害の認定を受けるためには、早めに医師に受診することが重要です。

反射性交感神経萎縮症

詐称の疑いをかけられやすいのが、反射性交感神経萎縮症です。症状は決して軽くなく、激痛や筋肉収縮などの異常が現れます。しかし、医師が想像しない軽微な神経への刺激が発端となっているため、多くは原因不明とされ、後遺障害の認定が難しいです。

ワンポイントアドバイス
後遺障害の認定を受けるためには、それぞれの等級の条件などをきちんと把握していなければなりません。そのためにも、早めに弁護士等に相談し、助言をもらっておくだけで、後遺障害の認定獲得が可能になるケースもあるようです。

後遺障害の慰謝料の計算については弁護士に相談

後遺障害は、事故後の生活を補償するために重要です。手間を惜しまず、病院に通い、適切な症状固定を受けること、そして、情報を不足なく提出することで、ようやく認定を受けられます。しかし、後遺障害の認定に全く無知である状態では、本当ならば受けることのできた認定が受けられなくなってしまう可能性があります。そうならないためにも、交通事故に詳しい弁護士に相談することが得策です。一人で抱え込まずに、専門家を味方につけて、損害を少しでも補填できるようにしましょう。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
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