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給料差し押さえの仕組み!全額差押えや金額上限はある?転職など回避方法も解説!

この記事で分かること

  • 給料差し押さえとは裁判所の許可を得た強制執行の1つ
  • 差し押さえは給料の全額ではなく限度が定められている
  • 給料差し押さえを回避・解除するためには弁護士と相談のうえ債務整理が必要

借金を返済しないでいると、お金を貸した金融業者は給料差し押さえをしてくることになります。この記事では、給料差し押さえの仕組み、給料差し押さえがされる手続の流れ、および給料差し押さえを回避・解除するための方法をみていきましょう。

給料差し押さえの仕組みとは?

借金を返済しないでいると、金融業者は給料差し押さえをしてくることになります。

最初に、給料差し押さえの金額や期間など、給料差し押さえの仕組みについてみていきましょう。

給料差し押さえとは裁判所の許可を得た強制執行の1つ

給料差し押さえとは、裁判所の許可を得た強制執行の1つです。返済の滞納が続いた場合、お金を貸した金融業者は裁判所に対して債権差し押さえの申し立てをします。申し立てが裁判所に認められると、裁判所は勤務先に対し、差し押さえ命令を送ります。裁判所からの命令ですので、勤務先は差し押さえに従わなくてはなりません。

給料差し押さえの事前通知はない

給料差し押さえがされるまでのあいだに、金融業者から督促状が届いたり、裁判所から書類が届いたりするでしょう。しかし、給料差し押さえについては、裁判所から事前に通知されることはありません。

お金を借りた債務者が給料差し押さえを事前に知ると、退職したり、財産を隠したりなどの対策をとる恐れがあるからです。給料差し押さえの命令は勤務先に対してある日突然下されます。

給料の全額差し押さえはある?限度やボーナスは?

給料差し押さえの額は、全額ではなく限度が定められています。ボーナスも差し押さえの対象になります。

給料差し押さえの金額は税金などを引いた額の4分の1が原則

給料差し押さえの金額は、給料の全額ではありません。給料から税金や社会保険料などの法定控除額を差し引いた、残りの額の4分の1が限度と定められています。

したがって、例えば給料から税金などを差し引いた残りが24万円だったとしたら、6万円が差し押さえされることになります。

給料が44万円を超える場合は33万円を超えた額の全額が差し押さえされる

ただし、給料から税金などを引いた額が44万円を超える場合は、差し押さえの金額は上とは異なる方法によって計算され、33万円を超える金額が全額差し押さえの対象となります。

例えば、給料から税金などを引いた額が「50万円」だったとしたら、50万円から33万円を引いた「17万円」が差し押さえの対象となり、割合は4分の1を超えます。

ボーナスも差し押さえの対象になる

毎月の給料だけでなく、ボーナスも差し押さえの対象となります。差し押さえの金額は、給料の場合と同様に計算されます。

給料差し押さえの期間は?

給料差し押さえの期間について、上限は定められていません。金融業者は、貸したお金と利息が全額回収できるまで給料差し押さえを続けることができます。

給料差し押さえされた場合の会社の対応は?クビになる?

給料差し押さえの命令は、裁判所から勤務先の会社に対して直接送られることになります。したがって、給料差し押さえがされたことを会社に隠すことはできません。

給料差し押さえが会社に知られた際の、会社の対応が心配な人も多いでしょう。しかし、会社は、給料差し押さえがされたことを理由として従業員を解雇することはできません。

給料差し押さえがされることは、会社に何ら実害を及ぼすものではないからです。

ただし、クビになることはないといっても、給料の差し押さえがされたとなれば社内での風当たりが強くなることは覚悟しなくてはならないでしょう。

転職した場合給料差し押さえはされない?

転職して会社を変わった場合には、お金を借りた金融業者に転職先が知られない限り、給料の差し押さえがされることはありません。

お金を借りた金融業者が勤務先を知っているのは、お金を借りる際に勤務先を伝えるからです。返済途中で転職した場合には、自ら伝えない限り、金融業者が転職先を知る方法はないでしょう。

そのため、給料差し押さえの回避方法として転職は有効です。自分の業種にあった転職サイトなどを利用すると良いでしょう。

参考リンク:ジョブシフト

ただし、強制執行は給料以外に宝石や貴金属、土地、建物などに対して申し立てることもできます。金融業者に転職先を伝えないことにより給料差し押さえがされないからといって、強制執行自体がされないとは限りませんので注意しましょう。

ワンポイントアドバイス
「給料差し押さえがされそう」「給料差し押さえがされた」という場合には、できる限り早い段階で対策を講じることが重要です。段階が早ければ早いほど、講じることが可能な対策の選択肢が多いからです。給料差し押さえに対する対策を講じるためには、金融業者と交渉することが必要です。金融業者との交渉は、交渉のプロである弁護士に相談するのがいいでしょう。

給料差し押さえ手続きの流れ

給料差し押さえがされるまでには、金融業者や裁判所から多くの通知が行くことになります。差し押さえがされるまでの手続の流れをみていきましょう。

電話や郵便で督促される

借金の返済を滞納すると、金融業者から電話や郵便で督促されるようになります。督促は、次第に厳しいものとなっていくでしょう。

一括返済の通知書が届く

督促されても返済をしないでいると、一括返済を求める通知が金融業者から届くでしょう。その際に、「支払がない場合には裁判や強制執行をします」と書かれているのが一般的です。

訴状が裁判所から届く

それでも返済をしないでいると、金融業者は裁判を申し立て、今度は裁判所から書類が届きます。それでも支払をしないでいると、判決が確定して給料差し押さえができる状態となります。

裁判所から勤務先へ給料差し押さえ命令が届く

金融業者が裁判所に給料差し押さえの申し立てをすると、裁判所から勤務先へ給料差し押さえの命令が届き、差し押さえが始まります。

ワンポイントアドバイス
給料差し押さえは事前に通知されることはありませんが、何の前触れもなく開始されるわけではありません。金融業者からの督促を始めとし、手続は徐々に進んでいきます。借金の返済が滞るようになったら決して放置せず、早めに弁護士に相談することにより、給料差し押さえを回避することができます。

給料差し押さえを回避・解除する方法

最後に、給料差し押さえを回避・解除するための方法をみてみましょう。

給料差し押さえを回避する方法

給料差し押さえを回避するためには、金融業者と交渉し借金の返済計画を立てなくてはなりません。その場合、弁護士と相談することにより、金融業者との交渉がより有利になるでしょう。

早期に借金の返済計画を立てる

借金を返済しないでいる限り、金融業者は、いずれは給料差し押さえの強硬手段をとってくることになります。給料差し押さえを回避するためには、金融業者と相談のうえ借金の返済計画を立てることが必要です。借金は、返済しないでいれば利息や延滞金で膨れ上がっていくことになります。返済計画は、できる限り早期に立てることが必要でしょう。

弁護士に相談して任意整理を行う

とはいうものの、一般の人が金融業者と交渉をするのは簡単ではありません。借金を返済しないのは多くの場合、「返済ができない」ことが理由でしょう。しかし、一般の人に対して金融業者が、返済条件などについて歩み寄ってくれる可能性はそう多くありません。

その場合には、弁護士に相談するのがいいでしょう。弁護士と相談することにより、今後の利息がカットされて返済がラクになることが見込まれます。また、弁護士に依頼することにより金融業者からの督促状などが届かなくなりますので、精神的な余裕もできます。

給料差し押さえを解除する方法

給料差し押さえが一度開始されてしまうと、金融業者と交渉することにより差し押さえを解除することは困難です。給料差し押さえをすれば、給料の4分の1は毎月回収できますので、それより良い条件を出さない限り、金融業者は差し押さえを解除しないからです。したがって、一度開始されてしまった給料差し押さえを解除するためには、個人再生または自己破産を弁護士と相談のうえ申し立てることが必要となるでしょう。

個人再生を申し立てる

個人再生とは、裁判所の力を借りることにより、債務を概ね5分の1と大幅に減らすことができる債務整理の方法です。残った債務は3~5年で返済すればよく、また住宅などを所有したまま債務整理ができるため、生活の立て直しがしやすいことが特徴です。

個人再生を申し立て、「個人再生手続開始決定」が裁判所から出ると、給料差し押さえは中止されます。ただし、給料差し押さえは中止されても、差し押さえ分の給料が金融業者に支払われなくなるだけで、債務者がすぐに差し押さえ分を受け取れるわけではありません。

差し押さえ分を債務者が受け取れるようになるのは、自己再生を申し立ててから6~7ヶ月後の、自己再生計画案が裁判所によって認可決定された時になります。ただし、差し押さえの取り消し手続をすることにより、それより早く差し押さえ分の給料を受け取れる場合もあります。

自己破産を申し立てる

自己破産とは、裁判所に申し立てることにより、すべての借金を免除してもらうことです。自己破産手続の開始決定が裁判所により出されると、給料差し押さえは失効し、給料の全額を再び受け取れるようになります。自己破産をしても、破産開始決定後に支給される給料は新しく得られる財産であるために、自己破産にともなう差し押さえの対象とはなりません。

ワンポイントアドバイス
給料差し押さえがまだされる前にそれを回避するためには、弁護士を通して金融業者と交渉すればいいのに対し、開始されてしまった給料差し押さえを解除するためには、裁判所を通した複雑な手続が必要となります。また、差し押さえられた給料を実際に受け取れるようになるまでに時間がかかることもあります。給料差し押さえは、少しでも早く対策を講じることが必要だといえるでしょう。

給料差し押さえは少しでも早く弁護士に相談しよう

「借金の返済を滞納するのは自分が悪い」と強く思ってしまうあまり、誰にも相談することができないこともあるでしょう。

しかし、借金を返済しないでそのままにしてしまえば、事態はより悪化して給料差し押さえにまで至ることとなります。

そのような時は、法律の専門知識をもつ弁護士に少しでも早く相談してみることをおすすめします。

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