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離婚調停が不成立!その後の流れと対応のポイント
この記事で分かること
- 離婚調停が不成立となる主な原因は、調停で話し合っても合意に達しないこと、相手方が調停に来ないことである。
- 離婚調停が不成立となった後、「調停に代わる審判」によって離婚が決められることがある。
- 離婚問題は、最終的には離婚裁判によって解決される。
- 離婚裁判を起こすなら、弁護士に依頼することが一番である。
離婚調停が不成立になると、最終的には離婚裁判による解決となります。離婚裁判では、 法律知識と裁判実務経験が必須です。一般の方が対応するのは、きわめて困難です。離 婚裁判を起こすなら、法律知識と裁判実務経験のある弁護士に依頼するのが一番です。
目次[非表示]
離婚調停が不成立とされる2つの理由
離婚調停で、裁判官から「今回の調停は不成立とします。」と告げられることがあります。家庭裁判所は、どんな理由で、調停を不成立とするのでしょうか。
不成立になる2つの理由
せっかく離婚調停を起こしたのに、「何となく話がまとまらない感じ」などといった、裁判官や調停委員の抱く漠然とした理由で調停を不成立にされては、当事者はたまったものではありません。そこで法律は、家庭裁判所が調停を不成立とすることができる理由をはっきりと定めています。それは次の2つです。このいずれかの理由があるときにのみ、家庭裁判所は調停を不成立とすることができます。
当事者間に合意が成立する見込みがないこと
調停を開いたけれど当事者の一方が来ないため話し合いができない、当事者双方が調停に来たけれど話がまとまらない、当事者が調停不成立を求めている、といった事情により合意に達する見込みがなくなったことをいいます。
成立した合意が相当でないこと
当事者間で合意に達したけれども、その内容が、法律や社会倫理の上で、調停を成立させるにふさわしくないことをいいます。
離婚調停で合意に達する見込みがなくなったこととは
家庭裁判所が離婚調停を不成立とすることのできる理由のひとつとして、「合意に達する見込みがなくなったこと」があります。
調停を成立させるには、当事者間で話がまとまり、合意に達することが必要です。その見込みがなくなった以上、もはや調停を成立させる可能性はなくなり、不成立とすることができるのです。
合意に達する見込みがなくなったといえるときとして、次の3つのケースを挙げることができます。
- 双方とも話し合う気持ちはあるが、内容で合意できないとき。
- 相手方に、調停に出て来る気持ちがないとき。
- 当事者が、不成立を求めるとき。
このうち、1と2が多数を占めます。以下、この順序で解説します。
双方とも話し合う気持ちはあるが、内容で合意できないとき
双方とも話し合う気持ちがあるので、家庭裁判所に来て、調停に出席します。調停の席で、双方が話し合います。しかし、結局のところ、合意に達することができないというケースです。
どんな点について合意に達しないのかについては、次の2つのケースが考えられます。
離婚そのものについて、合意ができない
申立人が離婚を望むのに対して、相手方は離婚を望まないため、合意に達しないケースです。
離婚に関連することについて、合意ができない
「離婚に関連すること」とは、子どもの親権者をどちらにするかというような、離婚に際して必ず決めなければならないこと、または、財産分与や慰謝料のような、離婚に際して必ず決めなくてもよいけれども重要なことをいいます。これらについて、合意に達しないケースです。
相手方に、調停に出て来る気持ちがないとき
相手方のもとに調停の通知は来たけれど、調停に出る気持ちがないため、調停には出席しないケースです。
調停に出たくない理由としては、次の2つが考えられます。
相手方が離婚を望まない
相手方は離婚したくないので、調停に出て来ないケースです。
相手方も離婚を望むが、調停には行きたくない
夫から暴力を受けるかもしれない、調停を起こされたこと自体に納得できない、裁判所に呼ばれることは自分のプライドが許さないなどの理由で、調停には行きたくないと思うケースです。
当事者が不成立を求めるとき
多くはありませんが、当事者の側から、家庭裁判所に対して、不成立を求めることもあ
ります。権利としてではなく、あくまでも「お願い」です。
不成立を求める理由には、次のようなことが考えられます。
時間のロスを感じるから
早く調停を終わらせて裁判で決着をつけたい、話がつきそうにもないのに裁判所に行くの
は時間の無駄だ、などの理由です。
危害を加えられるおそれを感じるから
調停に行くと夫に暴力を受けそうなので早く調停を終わりにしてほしい、などの理由です。
合意の内容が離婚調停を成立させるにふさわしくないこととは
「合意に達する見込みがなくなったこと」と並び、家庭裁判所が離婚調停を不成立とすることのできるもうひとつの理由として、「合意の内容が離婚調停を成立させるにふさわしくないこと」があります。
当事者間で合意に達しても、合意の内容が、法律や社会倫理の上で、調停の成立内容とするにはふさわしくないと家庭裁判所が考えることがあります。家庭裁判所は、当事者に対して、調停成立にふさわしい内容の合意に修正するよう働きかけます。その働きかけを当事者が拒否すれば、当事者が合意した内容で調停を成立させる可能性はなくなり、不成立とすることができるのです。
離婚調停不成立後の流れ
離婚調停が不成立とされた後の大筋の流れは、次のとおりです。
「調停に代わる審判」とは
家庭裁判所が調停を不成立と判断した場合でも、調停を終了させる前に、調停手続のひとつとして、裁判官が、調停委員の意見を聴いたうえで、審判という方式で、離婚を決めることができます。これを、調停に代わる審判といいます。
「審判」という名が付いてはいても、実際の中身は、調停手続のひとつとして、当事者に調停案を示すものであることから、「調停に代わる審判」という名が付いています。
審判の目的は離婚裁判を避けること
余計な負担をなくし、離婚問題の早い解決を図る
慰謝料にささいな金額を上乗せするかどうかで話がつかないなど、わずかな食い違いのために離婚合意に達せず、離婚裁判に移るとすると、余計な時間・労力・費用を当事者が負担しなければならなくなります。こうした余計な負担をなくし、離婚問題を早く解決することが、調停に代わる審判の目的です。
異議申し立てにより審判は失効
離婚再協議か離婚裁判へ
審判に対して、当事者いずれかから異議申し立てがあると、審判は効力を失います。この時点で、調停は終了となります。
審判が効力を失った後も、離婚する意思があれば、離婚協議を再開するか、離婚裁判を起こすことになります。
異議申し立てがなければ審判は確定
審判に対して、当事者いずれからも異議申し立てがなければ、審判は確定します。この時点で離婚が成立し、調停も終了となります。
離婚届の提出が必要
通常は離婚調停の申立人が、家庭裁判所から審判書謄本と確定証明書をもらって、離婚届と一緒に市区町村役場に提出します。離婚届が受理されると、離婚したことが戸籍に記載されます。
「調停に代わる審判」を求めたい場合
調停に代わる審判を行うかどうかは、家庭裁判所が自ら判断します。当事者には、調停に代わる審判を求める権利はありません。
しかし、離婚問題を早く解決させることを第一に考え、相手からの異議申し立ては覚悟のうえで、調停に代わる審判をしてもらいたいと思うこともあるでしょう。その場合、家庭裁判所に対する「お願い」という形で、調停に代わる審判を求めてみましょう。それによって、家庭裁判所が調停に代わる審判をしてくれる可能性がないわけではありません。
不成立後、再度の離婚協議への取り組み方
調停では、調停委員を通じて、相手の本心を知ることができます。それは、ふたりだけで話し合った時とはちがうものだったりします。それをふまえて再度話し合えば、ちがった角度からお互いを見ることができ、円満解決に向かう可能性を見出せるかもしれません。
しかし現実は、「調停でダメだったのだから・・・」という気持ちが先行し、再協議はうまくいかないのがほとんどかと思われます。
強引な協議は禁物
再協議の呼びかけに対して、相手が拒んだら、無理強いはせず、再協議はあきらめましょう。仮に協議に持ち込めたとしても、協議に消極的な相手の心理状態からして、協議が成立する可能性はゼロに近いといえます。無駄な時間を費やすことはやめて、次の手立てを考えることが賢明です。
離婚調停で解決できない場合、離婚裁判へ
離婚調停、離婚再協議、調停に代わる審判によって解決できないときは、家庭裁判所での離婚裁判による解決となります。
離婚調停との違いは?
離婚裁判と離婚調停の主な違いは、次のとおりです。
離婚調停 | 離婚裁判 | |
---|---|---|
①公開性 | 原則として非公開 | 原則として公開 |
②解決方法 | 話し合い | 判決による強制的解決 |
③離婚原因 | 制限なし | 法律で定めるものに限定 |
④提出書面 | 柔軟に対応 | 厳格に規定 |
⑤当事者が行うこと | 家庭裁判所の指揮に従う | 進んで主張と証明 |
⑥不服申し立て | できない | できる |
⑦弁護士の呼び名 | 手続代理人 | 訴訟代理人 |
離婚裁判への対応は弁護士へ依頼するのが現実的
①から⑦のうち、当事者の活動に大きく影響するのが、③④⑤です。
③については、自分のケースが、法律で定める離婚原因に当たるかの判断が必要になります。④⑤については、法律で定められた書面の形式や提出期限を守らなかったり、必要な主張や証明を怠ることによって、自分に不利な結果が生じることがあります。
これらをクリアして、有利に裁判を進めるには、法律知識と裁判実務経験が必要不可欠です。一般の人には、きわめてむずかしいことです。離婚裁判への対応は、法律と裁判実務の専門家である弁護士に依頼するのが最も現実的な選択です。
離婚調停が不成立になったら、弁護士に相談を
離婚調停が不成立になった場合、調停に代わる審判や離婚再協議をするにしても、最終的には離婚裁判になることを覚悟しなければなりません。
離婚裁判では、法律や裁判実務についての知識と経験が必要不可欠です。これは、一般の人にはきわめてむずかしいことです。法律と裁判実務の専門家である弁護士に任せるのが一番です。離婚調停が不成立になったら、まず弁護士に相談しましょう。
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