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親権者変更調停の申し立て~手続の流れと親権変更可能な条件

この記事で分かること

  • 親権者変更のポイントは、子どもにとってその変更がプラスになるかどうか
  • 親権者変更調停では、調停員にしっかりと事実を伝える
  • 良い養育環境を維持できることをしっかりアピールして親権を勝ち取ろう

子どもの養育環境が悪いなどの理由で、子どもの将来を思うとやはり自分が育てた方が良いと、一度は失った子どもの親権を何とかして獲得したいと考える方は少なくはありません。親権者変更は子どもへの影響が大きいため、基本的には認められにくいのですが、それでも親権者変更調停で変更が認められる場合もあります。今回は、具体的にどういったケースで親権者変更が認められるのか、そして認められた場合と認められなかった場合にはその後どういった流れで手続が進んでいくのかについてご紹介します。

親権の変更が可能なケースとは?

離婚の際に親権が得られなかった場合、思うように子どもに会うこともできず辛いものです。それでも、子どもが新しい生活に順応して楽しく毎日を送っているようであれば自分を納得させることができますが、きちんと世話をされずに辛い毎日を送っていると知ったような場合には、「自分が引き取って育てたい」という気持ちを強くすることでしょう。

しかし、実際親権者の変更は法的な手続ですので、離婚の時に親権を決めたように二人の話し合いだけでは認められません。それでも、二人の間で親権者を変更する同意が取れていれば変更の手続はスムーズに進めることができますが、相手が交渉に応じず、反対した場合には親権の変更は非常に難しくなると言わざるを得ません。

しかしそれでも、親権の変更が可能なケースというのは存在します。まずは、どういたケースで親権の変更が認められるのかを具体的にみていきましょう。

「一度決めた親権者は簡単には変更すべきでない」という大原則

さまざまな事情を考慮して話し合いで泣く泣く親権を譲ることに同意したにせよ、親権を巡って調停で争ったにせよ、子どもの親権者となった者は子どもの養い育てていく義務を負います。そのため、親権者は自覚を持って子どもを育てていかなければなりませんので、原則的には一度決まった親権者を容易に変更することはできないということになっています。

しかし、親権者がしっかりと親権を行使していないケースではその限りではないため、親権者の変更が認められます。つまり、親権者変更が認められるという状況はあくまで例外的なものであるということをまずは認識しておいてください。

親権者の変更が可能になるケース

では、具体的にはどういった場合に親権者の変更が認められるのでしょうか。
以下に、その一例をみていきましょう。

子どもを虐待している

子どもに肉体的、精神的な暴力を振るっている場合には、もちろん親権者としての役割を果たしていない状況ですので、親権者の変更が可能になります。

ろくに子どもの世話をせず放置している

親権者がギャンブルや恋愛などに夢中になるあまり、子どもを放置してしまうケースも少なくはありません。そういった場合にも、親権者の変更は可能になります。

子どもが15歳以上で、親権の変更を希望している

子どもが15歳以上になると、自ら判断する能力を備えていると考えられるため、原則的に子どもが親権者の変更を希望した場合、その意向が反映されることが多いです。
また最近では、12歳程度でも子どもの意見が反映されやすい傾向にあります。

病気により子どもの世話が難しい状況

上記の2例のように親権者だけの責任とは言い難い状況ですが、病気による長期入院などで子どもの世話を十分にできない場合も、親権者の変更が可能となるケースがあります。ただしこの場合は、病気の程度など個々の状況に大きく左右されるので、一概に親権者の変更が可能とは言い切れません。

養育環境の悪化

失職などによって経済状況が苦しくなり、子どもに十分な食事や衣類などを与えられないような状況も、親権者として適当でないと判断されることになります。しかしこの場合も、実際どのくらい養育環境が悪化しているかは個別に判断されますので、親権者の変更が認められるかどうかはケースバイケースでしょう。

新たに親権を得ようとする側の事情も重要

親権変更にあたっては、現在の親権者だけではなく、新たに親権を得ようとしている側の事情も重視されます。新しい親権者に親権が委ねられた場合にも、あまり状況が変わらなかったり、最悪の場合悪化してしまったりするようでは意味がないからです。

具体的には、居住環境や教育環境、家庭環境などに問題がなく、現在の親権者と比較して子どもにとって良い環境といえるかどうかが重要になります。また、子どもに対する愛情が十分あって、心身ともに健康であることも、親権者を変更する上では重要視されます。

ワンポイントアドバイス
親権者の変更は、子どもの生活に大きな影響を与えることですので、簡単に認められないのはある意味当然のことです。そのため、今後の子どもの生活にとって、親権者を変更した方がプラスである場合にのみ親権者の変更は可能になるのです。

親権者変更調停の流れとポイント

上記のように、親権者の変更が認められる可能性がある状況の場合でも、親権者の変更は二人の話し合いだけで決められるものではありません。親権者を変更するためには、親権者変更調停を行って客観的に親権者の変更が妥当であると認められる必要があります。

親権者変更調停とは?

親権者変更調停は、離婚時に定めた親権者を変更することを目的とした調停で、親権者を変更する上では必要となる手続きです。親権者を変更することによるメリットとデメリットを考慮して、親権者を変更すべきかどうか判断されます。

親権者変更調停の流れ

離婚調停と同様に家庭裁判所で行われ、大きな流れも離婚調停とほぼ同じです。まずは親権者変更を希望する側が調停を家庭裁判所に申し立て、調停期日が決定し、実際の調停へと移っていきます。

必要な書類

親権者変更調停に必要な書類は下記になります。

  • 親権者変更調停申立書
  • 当事者目録
  • 申立人の戸籍謄本
  • 相手方の戸籍謄本

親権者調停申立書は裁判所のサイトにフォーマットや記入例がありますので、ダウンロードして記入しましょう。

家庭裁判所調査官の役割

家庭裁判所において親権者の変更を認めるかどうかを判断する上で重要となるのが、家庭裁判調査官の存在です。家庭裁判調査官は、直接家庭を訪問して家庭環境を見極めたり、親や子どもの意見を聞いたり、親権者変更の妥当性を判断するための調査を行います。

家庭裁判調査官は学校にも出向いて担任の先生などの話も聞いて、家庭だけでなく学校での様子も総合的に調査します。この家庭裁判所調査官の調査は親権を得られるかどうかに大きく関わってきますので、あなた自身の環境がきちんと子どもを育てられる状況であることをしっかりと伝えてアピールすることが大切です。

親権者変更を勝ち取るために

親権調停は、必ずしも弁護士に依頼しなければ申し立てをして進めることができないというわけではありません。しかし、親権者は親の意向でコロコロ変更すべきでないという基本的な考えがありますので、親権者の変更は難航してしまうケースも多いです。

親権者変更を真剣に勝ち取りたいと考えるのであれば、弁護士の知識や経験は大いに役にたつでしょう。

ワンポイントアドバイス
親権者変更調停は、親権者を変更することが本当に子どもにとって良いことなのかを客観的に見極めて判断されます。家庭裁判所調査官に自分の状況と相手の状況をしっかりと伝え、客観的にみて自分の方が養育環境が整っているということをアピールしましょう。

親権者変更調停後の流れ

親権者変更調停が終了すると、いよいよ具体的な親権者変更の手続に移っていきます。

調停が成立した場合

調停が成立し、親権者の変更が認められた場合には、新たに親権者となった者は届出を行います。調停が成立した日から10日以内に、調停調書謄本と父母それぞれの戸籍謄本を持参して、役場で手続きを行いましょう。

調停が不成立だった場合

調停が成立しなかった場合には、審判手続で審理の結論が示されることになります。審判手続では、調停調書の代わりに審判書謄本と確定証明書が発行されますので、親権者変更されるべきと判断された場合には調停が成立した場合と同様にそれらを持って役所で手続を行います。

残念ながら親権者変更が認められなかった場合でも、面接交渉権を現状よりも良い条件に持っていけるように話し合いましょう。

ワンポイントアドバイス
親権者変更調停後の流れは、親権を新たに獲得できるかどうかで異なります。晴れて親権を獲得できた場合には、役所での届出を10日以内に必ず行いましょう。

親権者変更調停を有利に進めたい…そんな場合は弁護士に相談を

親権者変更調停は家庭裁判所で行われますので、法律の知識やノウハウがあった方が有利に進めることができます。

また、親権者変更調停に至る前でも、自分のケースでは親権者変更が可能かどうか、そしてその可能性を高めるためにやるべきことはなにか等、弁護士に相談することで、的確なアドバイスを受けることができます。

まずは無料相談などを活用して、親権者変更の実現に向けた一歩を踏み出していただければと思います。

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